仕事場移転ときもの
2008年 09月 16日
新しい仕事場は広いので、なんだかぽつんとした感じだ。そのうち慣れるだろう。
今日は新しいiMACが届く。
かれこれ5年使っているので引っ越しを機に買い替えることにしたのだ。
とはいえ、設置はりゅうぞう君が来てくれるまでできないのだが……。
仕事場にファックスとコピーも入った。ずいぶんハイテク化したなあ(笑)
これまでは自宅にしかファックスがなかったのだ。
買えばいいのだが、めんどくさいのと、狭い部屋にOA機器がひしめいているのがイヤだった。今度はファックスを入れてみたのだ。
考えてみたらファックスなしでよく仕事していたなと思うのだが、こういうものはなきゃないでどうにかなるのだ。ゲラはほとんど郵送でやりとりするし……。
15日は国立能楽堂にお能を観に行った。
ときどき気が遠くなり、失神するように寝てしまったが、船弁慶、恵比寿毘沙門、高砂、
恵比寿毘沙門は、このあいだ観た南インド最古の仮面舞踊クーリーヤッタ厶にとてもよく似ていて、芸能におけるインドとの深い繋がりを感じた。
船弁慶は、嵐の場面、悪霊と対峙する場面と盛り上がり、お囃子の素晴らしさにわくわくした。
お囃子っていいなあ、ああいうふうにお囃子に乗せられてみたい……と思う。
気持ちいいだろうなあ。頭のなかでお囃子が鳴り続ける男の話を思いつく。
今度書いてみよう……などと、空想しつつ銀座へ。
銀座の「らくや」は着物コーディネーターの石田節子さんのお店だ。
店内には石田さんが見立てた着物がずらり……、どれもこれもすばらしいセンスで、愛らしく手のこんだ織物ばかりで、ただただ見とれてしまう。ああ、いつか「すてきだわ〜、これぜーんぶいただくわ」的な買い物がしてみたい。いや、それはあまりに品がないか。
織り手の愛情を感じるていねいな紬がほんとうに良心的なお値段で並んでいたが、それでも、仕事場を引っ越ししたばかりだし、着物を買うよりもまずiMACだろう……と、私のなかの現実的な私が呟く、その後ろで「買っちゃえ、買っちゃえ、買っちゃえ」と先程のお囃子が鳴り響く。
石田さんは、え?この方があの有名な石田さん、とびっくりするほど気さくな方で、にこにこしながら次々と反物を説明してくれる。そのどれもがほおずりしたくなるほど愛らしい織物で、見ているうちにもう自分ではなくなってしまいそうだった。ものすごく欲しい帯があった。アジアのどこかの国で織られたものだ。大胆で、それでいて懐かしいような色と織りだった。
……が、やはり、事務所移転にはまだまだ費用がかかりそうなので諦めました。
せっせと仕事をして、原稿料をもらったらまた来よう。
しみじみ思ったが、きもの屋さんに行くと、冷静な心理状況ではなくなり、なにか違う自分になってしまうのを感じた。私の人格なんて脆いものだ。織物を見ただけで崩壊しちゃうんだからなあ。買いたいけど買えないという葛藤のせいで(笑)妙なテンションの自分になっており、家に戻ってちょっと落ち込んだ……。
仕事しよ。

