引き継ぎ

角川書店のみなさんが、担当者引き継ぎのために湯河原に。
せっかくだから、温泉旅館で引き継ぎをすることにして、みんなで温泉に入ってご飯を食べた。
わざわざ温泉町に来たのだから、東京とは違う楽しみ方をしてほしい。

担当のナルト君とは、なんとなく気が合っていたので淋しい。大きな出版社は担当の移動というのが頻繁にある。新しい担当のスエヤスさんは落ち着いた感じのよい素直な方だった。いきなり裸のつきあいになってしまった。

長いこと御世話になっていながら、いっこうに小説が書けないので、だんだん申し訳なくなってきて、この動機が正しいのかどうかは疑問だが、編集者のみなさんへの義理を果たすためにも書かねばと思うようになってきた。日本人だなあ、と思う。

「野生時代」がだんだん電話帳のように厚くなってきて、すごいなあと思う。自分の書いているものなんてまさにどうでもいい取るに足らないものだ……という気持ちが、厚い雑誌を見ているとわきあがってくる。そういう自分が可笑しい。いままでだってなにもかも取るに足らないものだっのに、なにを今更……。

自分に対するデフレとインフレを日々繰り返していて、バカだなと思う。しょせん私は私で私でしかないのに、私を越えてみたり、私を縮めてみたりする。でも自我のデフレとインフレの構造は実は同じで、世界を見なければ自分が大きくなるし、世界を見れば自分が小さくなる。視点の違いだけだ。

世界のなかの私……という視点は、とても持ちにくい。なんでも対立させて認識する癖がついちゃってるからだろう。世界に含まれる者としての私と、世界を含むものとしての私。そこに立とうと思うのだが、なんかズレちゃうんだ。

編集長が「僕なんか定年退職しちゃってどこかに消えちゃっても、きっと田口さんは若い編集者と80になるまで仕事してますよ」と言うので、笑ってしまった。すごいなぐさめ方だが、妙にうれしかった(笑)
by flammableskirt | 2008-05-10 11:23

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