あたりさわりのない一日

黄金週間で友人たちが遊びに来るので、娘は昨日の朝、早起きをしてお弁当を作った。
初めて作るきんぴらごぼうや、モンゴルのお菓子、台所はしっちゃかめっちゃか。
そのうちに友人たちがやってきて、みんなでおむすびをにぎって、お弁当をもって海岸に出かけた。海岸で潮の匂いをかぎながらおむすびやきんぴらを食べた。

食べ終わってから、磯の岩場に行き、潮が満ちてくるまで遊んだ。
遊んだといってもぶらぶらして、主に石を拾っていた。
すべすべだとか、真ん丸だとか、三角だ……とか言いながら大人が石を拾う。
拾っていると自分と相性のいい石というのがある。
どこがいいのかわからないが、多くの石のなかからそれを拾うのだ。

石を拾って家に戻り、庭にパラソルを開いて夕暮れ近くまでビールを飲んだ。
いろんな国で買ってきた楽器を吹いたり、石に絵を描いたりしてだらだらすごした。
日が暮れたので部屋に入り、さらにダラダラ写真集を見たりした。
それから温泉に行き、お湯に浸かり、帰って来てから炭火でラム肉を焼いて食べた。
炭の匂いと肉の匂い。新タマネギを丸ごと炭で焼いて食べた。

なにひとつ生産的でない、なにも目新しいことのない、ありきたりの休日だった。
あたりさわりのないくだらないことをしゃべり、石を拾い、食べて飲む。
笛を吹いたり、おむすびをにぎったり、食べては片づけ、片づけては食べ……。

日は昇り、日は暮れた。
晴れたり、曇ったり、雨が降ったりした。
ほんとうにあたりさわりのない一日であったけれど、そういうことがあるときふと懐かしく思い出されるのかもしれない。一人っきりだと感じるようなとき、海岸で食べたおむすびを思いだすかもしれない。べつに、なんてことない、ちっぽけな私たちでも、寄り合ってささやかな時を過すことで、お互いがふとなぐさめられ、優しい時間が過ぎていく。
by flammableskirt | 2008-05-05 19:13

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