「死の棘」
2008年 04月 08日
しかし、何度観てもすごい。特に「死の棘」は小栗作品のなかで一番好きな映画。
劇場に行ってみたら、開演30分前なのにロビーは人でいっぱい。それもかなり年配の方から若い方まで、入り交じってさまざまな人が待っていた。びっくりした。平日の昼、しかも雨である。それなのに、劇場が満席になった。
お弁当を食べながら待っている老夫婦、一人で来ている若い学生風の青年、それぞれがほんとうに映画を観に来たことを楽しんでいる様子で、とてもうれしくなってしまった。
「死の棘」は映画が始まった瞬間から、そのすさまじいまでの緊張感に鷲掴みにされてしまう。ほんとうにすごい映画で、演劇など、身体表現の勉強をしている人には、この映画の松阪慶子と岸部一徳の極限まで押さえ、しかも、張りつめた演技をぜひ観てほしいなあ、と思う。なぜ、これほど押さえた表現が、これほど雄弁なのか。過剰なテレビドラマの演技に慣れている私たちには、新鮮で、目から鱗がこそげおちる思いだ。ほんとにかっこいい。