淋しさのゆくえ
2025年 01月 11日

一人になるとすごく淋しくて、胸に穴が空いたみたいな気持ちになるんです……と二十歳の同級生が言う。
そういえば、二十歳の頃は私もそうだったなあと思いだした。二十歳の頃のノートに「気が狂いそうなほど人恋しい」と書いてある。誰といても何をしても、ふと一人になると淋しかったな。土曜日の夜や日曜日一人でいると世界から置いてけぼりにされた気がした。ちっぽけで取るに足らない自分を持て余して、誰かと一緒にいることで気を紛らわせていたけれど、一人になると不安になる。そんなことの繰り返し。
「そういう淋しさはさ、けっこう長く続くんだよね」
「五五歳からはどうなったんですか?」
「それがね、不思議なんだけど急に淋しくなくなった」
「何かきっかけがあったんですか?」
「うーん、まあ、言うなれば底尽きしたって感じかな。だからさ、今はあんまり淋しくないんだよね。あの頃のことを思いだすと、ああ、なんて楽になったんだろうって思うのよね」
「そうなんだ〜、そういう日が来るのか!」
「来るんだよね〜。だから長生きしたほうがいいよ。楽になるよ〜」
「淋しくないって、どういう感じなんだろう」
「そうねえ。自分がいればそれでいいって感じかな。一人でじゅうぶん満ち足りちゃうみたいな感じかなあ」
一人で満ち足りてるから、友達といると「ものすごく満ち足りる」もうありあまるほど満ち足りて、なんかうれしさが溢れこぼれちゃって、じょわーっと幸せな気持ちになる。
十分にすべてが整っている世界に、さらにいいことがあると、きらきらの光があふれて世界が金色の洪水になるみたいな感じだな。ちょっとしたことでも、金色が溢れてくる感じだな。
よかったら、淋しさについて聞かせてください。
by flammableskirt
| 2025-01-11 17:32
| 日々雑感

