京大の数学者、望月新一さんが数学界の超難問である「abc予想」の証明に成功した……というニュースは知っていたけれど、それがどんなものかなんてもちろん理解できるはずもなし。
2022年4月に放送されたNHKスペシャル「数学者は宇宙をつなげるか? abc予想証明をめぐる数奇な物語」、暇ができたので見てみた。面白いが、やっぱぜんぜんわからない。当然だよね。ははは!
番組には当事者の望月新一教授は登場しない。なぜだろう?と望月さんのブログを検索すると、そこに「2022年4月のNHKスペシャルに対する「合格発表」: 前半はぎりぎり合格、後半は不合格」という、番組制作者にとっては厳しい投稿があった。
読んでみると、なるほど確かに望月さんが指摘する通りの誤解を私もしていた。望月さんが懸念している通りの誤解をしていたので、ブログに辿り着いて良かった〜と思った。やっぱ、NHKの番組の内容が常に史実や事実に乗っ取って正確である、という思い込みはいかんな、と改めて思う。人間のやることだから間違いもある。自分で検証してみることは大事だ。
……とはいえ、こんな数学界の巨星たちでも悲鳴を上げるような難しい「宇宙際タイヒミューラー理論」を(すでに名前からしてちんぷんかんぷん)理解するというのは到底無理な話。そこで二コ生にあった、東工大の加藤文元教授の【MathPower2017】 07_講演「ABC予想と新しい数学」
を見てみた。_
この動画も相当難しかったのだけれど、前半までは加藤教授の説明がとてもわかりやすかったので、なんとかついていけた。最後はやっぱちんぷんかんぶんだった。
この「abc予想」で学んだのは、「かけ算よりもたし算のほうが難しい」という数字の構造?っていうか……数学の考え方?
えー、たし算ってただ足せばいいんじゃん?と私なんか思ってしまうんだけど、数学的にたし算というのはとっても破壊的な構造を持っているそうなんだ。なぜ?って思うよね。
考えたこともなかったけど、たし算とかけ算では「構造」が違う。
1から始まる自然数は、1という数からたし算によってすべてを作ることができちゃう。よって、たし算で数を作ると数はとってものっぺらぼう(無個性)になっちゃう。
ではもし、かけ算しか知らない人がいて、かけ算だけで自然数を復元しようとしたら……。たとえば、かけ算的に考えると12と13はどえらい違いなんだ。12は3×2×2だけど、13は「素数」ってなわけ。かけ算には素数という概念が登場する。素数は無限にあるから、無限の数を知らないといけなくなっちゃう。たし算は1さえあればすべての数を作れる。その分、数に個性が出ない。
それに、かけ算で出た答えには、かけ合わせた数それぞれの遺伝子みたいなんが残るんだけど、たし算は遺伝子が残らないので、答えからの演算が難しい。
で、このかけ算とたし算の間の関係を完璧に理解した人は、まだ数学界に1人もいないってことなんだよ、えーー?こんな単純なことがそんなに難しいんか?びっくりだ。
そんで、数学界の難問はどれもこのたし算とかけ算という異なる構造が混じり合って生まれるっていうわけ。かけ算とたし算は、一緒になっちゃうとものすごく扱いづらい、だけど、それを分けるなんて不可能ってなくらいに考えられていた。
望月新一教授はこの「かけ算」と「たし算」を分離して関連づける「abc予想」を証明した……ってことかな……。「かけ算」と「たし算」の間にはこんな関係があるんだよ、ってことが証明されれば、数学的な難問がみんな解けちゃう……ってなくらいすごい発見だそうだ。
で、望月さんの証明って、細かいことはてんでわかんないんだけど、どうやら「たし算」と「かけ算」を別々の構造世界に置いてみた……。それまで統一場で考えられていたものを分けた……ってことかな。発想の転換。入れ子状の世界を想定して、そこを「対称性」という情報でつないでみた……みたいな感じかなあ。そうすると、誤差が出るんだけど、その誤差の、つまり不均等の範囲を特定した……それが「abc予想」みたいな。
なんっか不思議だよね。同じ数を使いながら、それをかけ算するのかたし算するのかで別世界みたいな話。たったそれだけで、ぜんぜんちゃうのに、実際には渾然と混じり合って使われているって面白いよね。
生きてるとか死んでるなんてのも、あんがいそんな感じなのかもなあ……みたいなこと思った。同じ要素なわけだよね。生きてる時も死んでいる時も。でもきっと微妙に誤差があるんだろうな。その誤差が生死の分け目みたいな(笑)
……とか、わかったふうなこと書いているけど数学的な言語が使えないので、いいかげんなこと言ってるよ。ここら辺の説明はあんまり信じないでね。私、分数計算だって出来ないくらい算数苦手なんで。
数学は「素数」のゼロ点が一直線上に並ぶのか?という命題が、いまや「原子核のエネルギー値の不確定な変動の間隔と関連性がある」ということから、この宇宙の成り立ちを証明するかも?と期待されていたり、最近、数ってトレンドでとっても面白いのだけれど、頭がついていかんなあ……。
トピックを追うだけでも目が回る。でも、なにかが確実に近づいている感じはある。なにかって? うーん。なにかこれまでの認識を完全にひっくり返すようなすごいもの。うん。なんかわくわくするね。小学校の算数はもっと楽しく勉強できたらいいのにな、って思う(あ、もちろん国語も)。
10月は創作を通して自分に向うにはよい季節なので「クリエイティブ・ライティング」を開催します。2ヶ月ぶりの開催です。
10月29日〜30日の土日の午前中です。