死を宣告された人と会うのは苦手だった。
お見舞いに行っても何をしゃべっていいのかわからない。痩せて、力なく横たわる人に、かける言葉も思いつかない。元気になったらまた会おう、という言葉が嘘っぽく感じる。腰が引ける。居心地が悪い。申し訳ないとも思う。
なにかもっと、かける言葉があるんじゃないか。できることがあるんじゃないか。
でも、触れていいのかもわからない。相手はどう思っているんだろう。何を望んでいるんだろう。わからない。そわそわしている自分がいやだ。病室を出てほっとする。
……そういう体験を繰り返してきた。
どうしたら、具合の悪い人、もしかしたら死んでしまうかもしれない人のそばに落ち着いて寄り添えるだろうって、考えてきた。せめてもっと、かける言葉がないのか?
たくさん場数を踏んだ。いろんな人を見送った。
生きている限り他者は死んでいく。それが人生だと知った。
年をとってきて、だんだん、自分の死と他者の死が重なってきた。
あなたの死が、わたしにも関係ある死になってきた。
死んでいく人の思いに少しずつ立てるようになった。
どうしてほしいかとか、どんなことを考えているかとか、想像ができるようになった。
正解ではないかもしれない。だけど、以前よりは落ち着いていられる。
なにをしてほしいか、聞くこともできる。目を合わせて話すこともできる。
病室でおどおどすると、相手は悲しいんだってこともわかった。
しっかり向きあえば、痩せたからだのなかに以前とおなじその人がいるのがわかる。
変化したのは身体で、その変化に人はすぐ適応するものだ。
気にならなくなる。そして、自然に笑えるようになる。
ひるまないこと。そして、触っていいんだ。そっと。ていねいに。
死者の視点に立てば、世界は逆転して見える。
死んでいく人の視点に立てば、自分は何者かがわかる。
「死者の祭」を開催します。10月29日、30日、31日です。
看取りや、死についての体験をていねいにシェアします。
それぞれの偏見を修正しつつ、考えを深め、死者を弔う対話をします。
共にろうそくの火を灯しませんか?
そして、死んでいく人からのメッセージを受け取りましょう。
生きる智恵を受けとりましょう。
「死者の祭」は死について考えてきた3人の連続セミナーです。
死者と一緒に楽しむためにこのタイトルをつけました。
ふだん、あまり考えないことかもしれないけれど「死」を見つめるのは面白いです。
深刻になることはなく、死神と宴会をしましょう。
3夜連続でご参加くださいね。
死神からいいアドバイスが受けられるはず。
死者の祭へようこそ今年のハローウィンに「死者の祭」という連続講座を開催します。
作家 田口ランディ
医師 新城拓也
臨床心理士 佐野浩子
ジャンルの異なる3人がそれぞれの仕事を体験から「死」の謎に迫ります。
「死者」や「死に逝く人」の声に耳を傾け、
死の叡知を生に取り入れようという試み。
「死者の祭」に参加しませんか?
古代ケルト人のように、
死を通して、太陽の焚き火に火を灯しましょう。
Covid-19の感染拡大とともに、誰にとっても身近なものとなった
「死」ですが、死もまた大切な生の一部です。
Something happens on Halloween 2021