緊急事態宣言の会見を見て思ったこと
2020年 04月 08日
総理の緊急事態宣言の会見を見てから考えました。
緊急事態宣言は「8割人と会うのをやめて家にいてください」という国民への要請でした。その要請にあたって、冒頭に医療従事者に対する感謝、ねぎらい、そして尊敬の言葉が述べられました。温かい言葉を聞くことはうれしくて、どんな発表がなされるのかと思って聞いていました。
ですが、国民の目線に立った発言を数々なさっていたのにもかかわらず、内容は私にとって不可解なものでした。
会見の内容を、私はこう受け止めました。
「緊急事態なので、お願いですからあなたは家にいてください。それを要請します。しかしこれは強制ではないんですよ、あなたの良心と正義感に訴えているのです。お願いしますから家にいてくださいね、自己責任で。そして、あなたが仕事を休んだ分は、少しは補償してさしあげますが、すべてではありません。また、あなたの年収が補償のラインに達しない場合には補償はできません。政府はたくさんお金を投入しましたが、それですべてを補償なんてムリですから。ですが、あなたが家にいることはあなた自身の命や、家族の命、まわりの人の命を救うことになります。もし、自分も助かり、他の人たちを救いたいのなら、収入がなくとも、がんばって努力してください。そしてあなたが、それをできないと、感染が広がって大変なことになるのですが、総理はその責任を取れるというものではありません。責任はあなたが取るのです。公共交通機関や高速道路は封鎖しません。物流や医療関係の人たちは経済を維持するために働いてください。ですが、他の人は家にいてください。でも、強制ではありませんから。あなたの良心に訴えているのです。でも、補償はできません」
どうやら、もし、私が自己判断で移動したり、外で人と会って働いたりしたことで感染が拡大していったら……その時は、様子を見て、もっと強制力のある手段に出ますということらしいです。
私は、2月以降、わりと早い時期から仕事をオンラインに切りかえています。それは私のような執筆業だからできることで、会社がテレワークに理解がなかったり、接客中心のお仕事だったりしたら、なかなかこんなことはできないと思います。もし、会社の経営がどうしてもヤバい、自分が行かなければならない……ということになれば会社員の方なら、上司を押し切って休むことは難しいだろうと思います。私は、権力が強制力をもつことは怖いと思ってきました。でも、いま必要なのは、なかなか休めない人たちのために、国家が強制権を発動して生活費を補償することだと思います。
twitterでは「ケチ政権」という言葉が、ハッシュタグで使われていました。物事を批判するよりも、なるべく前向きに捉えようという気持ちはあります。総理が語った、医療従事者や国民への思いやりの発言を、素直に受けとりたいという気持ちもあります。不平不満は言いたくないと思ってきました。
ですが、昨日の会見を見終わってから「同情するなら金をくれ」という、昔の流行語が浮かびました。この無意味な同情ではなく、生活保障をしてロックダウンしろ。そうすることで、差別や偏見、コミュニティの断絶を超えた、一体感が生まれるのではないかと感じました。いまのままだと、自己判断を委ねられすぎていて、他人ばかりが気になり、疑心暗鬼になり、不平不満が増えて、コミュニティがますます断絶するような、そんな気がしました。
オンラインを駆使して、なるべく対話の場を持ちましょうね。そしていま起きていることを話し合い、情報共有し、なにがいま求められて、どうしたらいいのか、さまざまな単位でダイアローグしていきましょう。分断されることなく助け合うために、つながりあいたい。それが可能な時代だから、試してみたい。ネットワークの可能性を。