いのちのエール「田口ランディさんとの出会い」
2016年 06月 15日
イベントに寄せて
「私にとっての田口ランディさん」
森のこもれび 山崎直
田口ランディさんは、私にとって衝撃を与える作家です。
作品との最初の出会いは、「春秋」という冊子に佐藤初女さんのことを書いた短編でした。読んだ時、私はあまりの衝撃で言葉を失いました。
初女さんのことを私は、何も分かっていなかった
…このことを思い知らされたのです。
初女さんは、おむすびの作り方を教えているのではなく、本当に伝えたいことは信仰。でも、なかなか理解されず、おむすびの話になってしまうので、ランディさんにそれを書いてほしいと言われたのです。
信仰とは祈りだと…
私はおむすび講習会を企画し、初女さんのおむすびを結ぶ姿は数え切れないほど見てきたのに、何も分かってなかったのです。
初女さんが大切なことを頼む、田口ランディさんはどんな方だろう…そして、この短い文章の中に初女さんはめったに笑わないと、正直に書いてあったのに驚き、どうしても会ってみたくなったのです。
この日の出会いが、初女さんとの対談に繋がっていきました。
講演会が済んで、出演者と主催者という
私たちの関係も終わるものと思っていましたが、年末に、お約束はしてなかったのですが初女さんが、私たちが来るのを待っているという連絡があったのです。92歳の初女さんを待たせてはいけないと、年が明けて弘前に飛んで行きました。
殆ど交流のなかった作家との旅行…この展開に私は緊張していましたが、
会って程なくランディさんって初女さんと似ていると思ったのは、
どんな人にも分け隔てなく接して下さるということです。
これは、簡単そうでなかなかできないことです。
それと、さり気ない心使いも…直ぐに打ち解け楽しい旅となりました。
初女さんはその時「ぬか床は生物多様性だと思うの。
ランディさんに生物多様性のその先を書いて欲しいの」と言われたのです。
初女さんが一番伝えたいことを託す人、それが田口ランディさんなのです。
私はこの難問の宿題を貰ったランディさんを他人事のように見ていました。
ところが、つい最近
『みんな初女さんを見ているけれど、本当は初女さんの横に立って初女さんと同じものを見つめなければいけないのよね』
というランディさんの言葉に出会い衝撃を受けました。
私は初女さんが見ているものを見ようともしていなかったのです。
ランディさんの本質を突く言葉に立ち止まされ、自分を見つめる私
語りたくても言葉にできなかったものを、ランディさんに託す初女さん
初女さんにとっても、私にとってもランディさんは大切な人です。
このランディさんと共に、初女さんのことをわかち合いたい!という思いで
「いのちのエール 初女おかあさんから娘たちへ」の準備をしています。
心響く集いになることを、心に描きながら…
山﨑 直
いのちのエールイベント特設ページ