遠い昔に見た夢を 思い出させる雨上がり

 
 宇梶静江さんから、詩が届きました。
 宇梶さんは、北海道の浦河出身。アイヌ文化の継承者であり、アイヌ解放運動の運動家でもあります。詩人、絵本作家でもあり、昨年は吉川英治文化賞を受賞なさいました。
 私は宇梶さんとは面識がないのですが、昨年、友人からファックスされた「大地」という詩をブログに紹介したことがきっかけでお知り合いになりました。

 今回の詩は、昨日、私が福島県川内村から戻って受けとりました。
 川内村では、友人の案内で村民の方たちに夕ご飯をご馳走になり、いっしょにお酒を飲んだり、とりたての野菜をいただいてお話しを伺ったり、温泉に入ったりと楽しく過ごしました。下川内は三十キロ圏内を含むため、3.11直後は町内にバリケードが作られ、行政機能も郡山に移転していました。いまは一部の地域を除いて、生活ができるようになりました。放射線量はとても低い地域なのですが、帰村しない住民の方も多く、そのほとんどは子どもを育てている人たちで、子どもたちへの放射線の影響を案じているのです。いまもお米を作ることが禁じられていますが、合鴨農法で稲を育てている農家の方とお会いして、自然と共に生きる苦渋の決断、決意を伺ってきました。昨年の玄米には放射線はゼロ……。検出されませんでしたが、まだ稲作が許可されていない現実を「文句を言っても始まらん。農業を続けて、結果を出して、進んでいく」と語っていました。「作って、検査を受けて、結果を積み重ねていかねば……」と。

 この地域は、日本でも数少ない「湧き水」を生活用水としている土地で、地下の深いところから染みだしてくる水は浄化せずにそのまま飲めて、放射線は検出されません。ほんとうに冷たくておいしい水で、農業用水路にまでイワナが上がってくると言っていました。
 モリアオガエルの生息地であり、この土地を愛した草野心平が夏の間はずっと過ごしていたそうです。
 そんな川内村から戻って来た日に、この詩が届いていたのでした。
 北海道浦河の大自然のなかで育った宇梶さんを、川内村に案内したいなあと思いました。

 山に登れば原発が肉眼で見える場所にあって、あの土地の地下水は美しく冷たく、稲からは放射能が検出されない現実を見たら、なにを感じられるだろうかと。
 もちろん、現実は多様であり、川内村のなかにも線量の高い土地もあり、川内村よりも原発から遠い場所に放射能の雨が降り、いまもまだ人が帰れない土地がたくさんあります。
 風や水の流れに沿って人は生き、暮らしているのであり、この大自然のなかで私たちはひとつながりの命です。線引きなど不可能なのです。山があり、谷があり、森があり、池があり、そこに流れる水があり、霧があり、風があり、その自然の流れといっしょに放射線を出す粒子は動き続けているのですから……。
 もはや、安全も危険もない、ただ、水と大気の大循環によってひとつながりであること。日本全土が被曝した……という視点に立って、医療、農業、これからのことを考えていけばいいのではないか。
 この現実を受け止め、与えられた場所で試行錯誤しながら、結果を積み重ねていくこと……、そういう粘り強い生活者として自然と共生きること……それが、これからの自分の生き方だと思えてきました。


 

        “遠い昔に見た夢を 思い出させる雨上がり”
   宇梶静江

  時の流れが早すぎて  思いとどめる間などなく
  過ぎ去って来た日々
  急ぎ足であるいた青春を思い出させる雨上がり
  黒髪をなびかせ見た夢は  七色の虹ににて美しく
  未来にたくした幸せを思い出しつつ
  白髪の今は  また  はげしくゆらぐ  時の流れの中にいて
  ただ思うのは  ただ思うのは  平和であれと  そればかり
  あの遠い昔にみた夢をふところに  ただ ただ そればかり
  あの遠い昔にみた夢を  ふところに  ただ ただ  平和よ
  平和だよ  幸せだよと  愛は力だよと  こぶしをふるわせ  さけびつつ
  原発阻止の 輪の中にいて




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おいしい湧き水と合鴨によって作られた自然農法のお米。昨年のお米から放射線は検出されませんでした。検査結果の書類も見せてもらいました。このお米を収穫しても出荷はできません(国からは作ってはいけないと言われているのです)。でも、それでもお米を作り続け、結果を見せて、そして進んでいくしかない……という秋本さんの言葉、強かったです……。

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「今年のは甘くねえよ」と言われたけど、うそ〜!とっても甘いともうもろこしだった。畑でトマトをもぎってその場でいただきました。甘くておいしい〜。おみやげにきゅうりもたくさんもらいましたよ。朝はきゅうりのみそ汁を作りました。

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明治大学の若い人たちと、おいしいお蕎麦をいただきました。水がおいしいから、お蕎麦の味も格別です。
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丘の上から肉眼で見た福島第一原発。いまも……外壁が壊れたまんま。これも現実なんだなあ……。

ヒロシマ、ナガサキ、フクシマ: 原子力を受け入れた日本 (ちくまプリマー新書)

田口 ランディ / 筑摩書房


すべてを明日の糧として―今こそ、アイヌの知恵と勇気を

宇梶 静江 / 清流出版


by flammableskirt | 2012-08-27 10:25

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