私の愛した男について

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12月22日に新刊が出ます。
「私の愛した男について」(角川書店)


装丁の写真は友人である写真家のにのみやさをりさんの作品。
短編集です。四つのお話を収録しています。
表題作は、妻子ある男性との肉体関係に悩むアラサー女子のお話です。
それ以外の作品はどれも、障がいをもった人の傍らでなにもできずにただおろおろする健常者のお話です。
長年、福祉関係の取材を続けていますが、障がい者を主人公にした物語はまだ書けません。
そういう意味で、私はまだ私に限界を設定しそれを超えられないのだなあ……と思います。
でも、こういうことは長くかまえていればいいんでしょう。
だんだん私も病気がちになり、能力も衰え、昨日は網膜剥離の治療をしてきました。
レーザー光線を眼に打ち込まれ、神経にずーーーんと響く痛みを感じながら、こういうことがこれからもっと増えるんだなあ……とぼんやり思いました。
目が見えないということについて、少しだけ、深く考えるようになった。
体験しないと、人の考えはなかなか深まらないものです。

おっと、作品の話でした。
そんなわけでこの短編集は、表題作だけが異質に見えるかもしれませんが、私のなかで、根っこはひとつなので四作品にまとめました。
どうひとつなのか、うまく言葉で言えませんが、きっと読んでいただければわかると思います。
ちょっと痛いんだけど、読み終わると優しい気持ちになれるんじゃないか……と、
勝手に思っています。
春を内包した冬を感じる静かな装丁、とても気に入っています。

田口ランディ
by flammableskirt | 2011-12-20 12:13

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