「蛇と月と蛙」これは現代のアニミズムの物語
2011年 02月 15日
昨年はデビュー10年だったので自主休業をして一年間、新刊の出版をしませんでした。
(新刊の出版は、執筆とはまったく違う気苦労があり、けっこうしんどいんです)
毎日執筆は続けていたので、今年は本がたくさん出ます。
(2月、5月、6月、9月、11月が刊行予定)
今年の第一段です。じゃーん!

「蛇と月と蛙 」朝日新聞出版
私の書く小説は、誰が読んでもおもしろいというものではありません。
私の小説は、いま満ちたりて特に悩み事もない幸せな人には不要な小説だと思います。ですから、そういう方にはおすすめしません。私の本は辛い時に読むほうがよいでしょう。人生が順調な時に読むべき本ではありません。著者がそう言うのだから間違いありません。行き詰まったり、絶望したり、気持ち悪いことに遭遇したり、混乱して訳がわからなくなったり、いままでの人生がイヤになったりしたときに読むと、かなりいいかもしれません。
そうねえ、ちょっとキモカワイイというのが、この作品集です。
著者が言うのだから間違いありません。
人間は死ぬときに影はどこに行くのか……。そんなことを考えて母親の死を題材に書いた小説。
口蹄疫や鳥インフルエンザで殺されていく動物の映像を見ながら考えたこと。
チャウチェスクの独裁政権から復活し活気あるルーマニアで感じた日本と同じ陰鬱。
沖縄出身の写真家の友人の死に捧げたオマージュ……。
人間がどんなに偉そうにしたって、私たちの人生の痛みや苦しみを分かち合ってくれるのは、お空のお月さんであったり、犬の目であったり、蛙たちの鳴き声であったりします。虫けらのような小さな存在、自分がふだんは踏みつぶしたり、殺虫剤で殺したりしているような小さな存在がふと気になるとき、それはだいたい命の淵に立って、自分の暝い足元を見つめている時なんです。
もう生きているのがいやになるような時ほど、けなげな小さな命の愚かさ、はかなさ、悲しさを感じる。
そういう瞬間を描いてみたかった……ように思います。
人間は動物や植物、そして月や海とひと続きで繋がって生きている。
現代に生きる私たちだって、ほんとうは、ちゃんとそのことを感じて生きている。
もちろん古代人と感じ方は微妙に違うかもしれないけれど、今なりの感じ方で繋がっている。
生きるとか、死ぬとか、生まれるとか、そういうせっぱ詰った場面でぼやっと誰もが感じること。
それを描いてみたんです。とても好きな世界だから書いていたときはうんと楽しかった。
ユーモラスではあるけど、暗いし、原因や結果やストーリーなんてものをほとんど考えていないから、オチも特にないし、エンターテイメントを読みたい人は買わないほうがいいです。
植物や、動物や、命や死や、それから生まれるってことの不思議や……、
古い神話の意味や、人間の影の世界に興味がある人なら、ちょっとはわくわくして読んでもらえるかもしれません。
この作品には「恋愛もの」は入っていません。
ミステリーもありません。
かといって、昔話でもありません。現代のお話です。
ほんとうに身近な現代のお話です。

