寝ながら本を読む最適な方法は?

どういうわけか今朝起きたら右肩が痛くてつらい。たぶん、これが世に言う五〇肩という奴なのだろう。見事に五〇で痛くなったのには驚いた。友人たちがいうには、とにかくいつのまにか治るのだそうである。
思い当たるのは、ここのところ、夜ずっと寝ながら本を読むこと。本を顔の前に持ち上げて支えている。あのせいではないか。というのも、この夏、眼鏡をかえたのである。ふだんは裸眼なのだが、本を読むときだけ眼鏡をかける。乱視が進んだためにレンズを替えたところ、ものすごく本を読むのが楽になってやたらと本が早く読めるにようになった。なんだ、眼鏡が合わなくて疲れて読めなかったのか、バカだなあ。早く替えれば良かったと思った。

ゆっくり温められたお湯で死んでしまう蛙といっしょで、じわじわ乱視が悪化していることに気づかなかったのである。自分の具合が悪いことがわからない。情けないが事実である。人間は自分のことが一番見えにくい。だからこそ嫌なことを率直に言ってくれる友人は大切なんだ。自分に違和を突きつけてくる相手が大事だ……と思い、なるべく私自身もそうであろうと思っているのだが、かなり失敗も多い。

昨日もある学会に行って、出会った発表者の方と昼飯を食べていた。そこにもう一人、同席している方の友人らしいやや年配の女性がやってきてテーブルに座った。私の真ん前だった。彼女が挨拶をした時に、歯になにかニラの葉のようなものがくっついているような気がした。でも眼鏡をかけていなかったのでよく見えない。食事時だし、食べたものが歯にはさまっているのかもしれないと気になり、どうしても口元に目が行ってしまう。なにかがはさまっている。言うべきかどうか……。考えて、私は小さな手鏡を取りだして前の席の女性に渡した。彼女はびっくりして「あ、なにかついていますか?」と言う。そして、自分の口を確認したのだが、そのまま手鏡を私に返してきた。その時に、私はそれがどうやら歯にはさまった食べ物ではない……ということに気がついたのである。だったらなんなのか、もちろん聞かずに席を立った。

で、五十肩だが、本がすらすら読めるのでうれしくて、毎晩、寝る前に本を何冊も枕元に積んで、一、二時間も読書していた。そうしたら、今朝、手が上がらなくなっていたのだ。なぜ、私はいつも度を越してしまうのだろうか。こんなことを続けていたら乱視だってさらに進むかもしれないというのに。
しかし、本がすらすら読めて楽しくてたまらなくて、Amazonで毎日注文してしまい、夕ご飯を食べたらお茶と本をもってベットに入り、それをだらだら読むことの幸せなこと……。

寝たままで本が読めるブックスタンドがあるらしい。その購入を考えている。だが、それだと寝返りして身体の位置を変えられないのではないか。そうなると今度は腰や首が悪くなりそうだ……。
by flammableskirt | 2010-09-06 11:31

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