地に足をつけた暮し
2009年 08月 30日
スウェーデンに取材旅行に行ったとき、スウェーデン人が「政治は自分たちで変えられる」とかなり確信していたことにショックを受けた。そういう確信が私には全くなかったからだ。そのあと、小泉劇場と呼ばれる選挙があって、ほんとうに絶望的な気分になったのだった……。その当時に自分のブログを読み返すとかなりナーバスになっている。ほんとうにあの夏が嫌だった。日本人をやめたいと思ったし、どこか海外にでも移住したいと考えたりした。その頃、団塊世代の成功した友人たちと酒を飲んで政治の話になったら、彼らが「日本はこの方向で大きく待ちがってはいないでしょう」と言ったので、そうなのか……、そう思っているんだね……と、またがーんと落ち込んだ。余裕があって、老後が安泰で好きなことをしている人たちにとっては、この国はすごくいい国なんだと思った。
君は別に生活に困っているわけでもないし、なにが不満なの? みたいなことを言われたので、私は自由業で本が売れなくなればただのプーだし、退職金もないし、蓄えもない。こんなアメリカの植民地みたいな国で老後は不安だよ、と言った。そうしたら「ランディがそんなに反米だとは知らなかった」と笑われたんだよな。
反米って、いうんじゃないけどね。アメリカは日本よりずっと民主主義が徹底しているし、いいとこいっぱいあると思う。日本は日本でしょ。だから日本人のメンタリティに合った、生活とか文化とか政治のあり方があると思う。そういうものを、ていねいに一つずつ、たぐりよせていくような、そういう、自分たちで考える方向に行きたいだけなんだ。もっと、地に足をつけた暮しをしたいだけなんだけどな……。
彼らは今回は誰に投票したのかな、聞いてみたい気がする。終わってから。