家族修行

おととい、91歳のおばあちゃんが、階段を一段踏み外して転んだ。
頭にすごいたんこぶを作り、腕を骨折する。
見ていると、ふらーっふらーっとするので、怖くなるが、ふだんは絶妙のバランスで歩いている。
階段を踏み外したのは、たぶん左目の視力がほとんどないためだろう。

今日、おじいちゃんは家の鍵を忘れて外出。
たまたま夫も私も留守にしていたため、家に入れず二人で家の外にいたという。
近所の人が気にして奔走してくれて、なんとか夫と連絡が取れた。
おじいちゃんも、おばあちゃんもものすごく耳が遠い。

おじいちゃんは、私に電話をしたのだと言っている。
だが私には電話がかかっていない。だが、電話で私と会話して、
「じき帰るから」と言われたので待っていたという。
携帯電話の通話履歴を見ると、誰だかわからない人に電話している。
謎である。でも、おじいちゃんは私と話したと思い込んでいるようだった。

ここのところ、おじいちゃんはちょこっとボケが始まっている。
ふっと物忘れをする。自分がなにをしていたのかわからなくなる。思い込みが激しい。
いよいよなのだなあと思う。二人とも90歳を越えた。いくら元気だと言っても、
永遠に元気ということはない。老いていっている。急激に。

まだ日常生活は自分たちでできるが、それも時間の問題なのだろう。
いよいよ高齢者介護に突入か……と、ここ数日の出来事で思った。
少し、老人を中心にすえて生活のたてなおしをしないといけないかもしれない。
いままでは、中学になった娘を中心の生活だったが、
おじいちゃん、おばあちゃんをもっとフォローする必要がありそうだ。

覚悟はしていた。去年の一月に父が亡くなって、一年間は平穏に過ぎたが、
今年に入って家族は新たな局面を迎えつつある。
思春期の娘、ボケてきたおじいちゃんとおばあちゃん。
家族というものも、時間とともに変化していく。
私たち夫婦にとっては、最後の難関ともいえる時が近づいて来ているようだ。
まったく一難去って、また一難である。
両親を看取って、子どもが巣立った頃には、自分たちの老後の始まりだ。
人間の人生というのは、ほんとうに修行のようだなと思う。
by flammableskirt | 2009-05-26 20:00

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