元気が出ること
2009年 04月 25日
『蝿男』という短編集は、私にとってはエポックな作品で、真面目になりすぎるところをどうやって開き直るか、というような試行錯誤から生まれた。それが成功しているのかどうかはさっぱりわからない。読者が決めることなのだが、読者の感想というのを聞く機会もほとんどなく、それが作家という仕事なのだろうけれど、ただ悶々としながら作品を書き続けている。なにかこう、そこはかとなく不安で、結局こんなものを書いても誰も喜びはしないし、なにも感じてなんかくれないのじゃないか……という、妙な虚無感と抱き合わせで生きている。でも、その虚無よりも好奇心が勝るから、こうして作家を続けていられるんだなあと思う。あるとき虚無が勝ったら、もう書けないだろうな、と思う。
小説を読んで、感想を言ってもらえるのはありがたい。
ほんとうに暖かい声援で、彼女の器のデカさをあらためて思い知る。
3月10日の日記です。
ほとんどどんな書評からも相手にされていないこの作品に、目を向けてくれたことに感謝。
どこかにいるかもしれない、この本を必要とする人に、届きますように。