ラース・フォン・トリアー

生きていれば当然のごとく陥る「落ち込み」の周期にはまり、
さらに当然のことながら体調もシンクロして、
どんよりとぱっとしない日々を過しております。
自分で言うのもなんだがこの3カ月、よくがんばった……と思えるので、
きっちり落ち込んでやろうと思うのだが、
やっぱりキツイ。体が動かない、夜中にうなされる、夢見が悪い。
だんだん、どろっとしたぬかるみのような精神状態になってくる。

こりゃあショック療法しかないと思い、
世界ヘビー級に重たくて残忍で救いもないような、
鬼才ラース・フォン・トリアー監督の映画をデビュー作から一挙に見る、
という恐ろしいような行動に出てしまった。
もう、これでもかこれでもかこれでもかと暗い、悲惨、不条理、たまらん。
しかし、これが快感なのである。
落ち込んでいる精神に、さらにDVを与えているようなマゾ的な快感。
ラース・フォン・トリアー、すごすぎる。
まとめて見ると、頭がくらくらして、暗闇に放り出されたまま宇宙空間に消えていく、
ような気分になる。それがたまらない。
この感じが好きなんだ。昔から。
こんな趣味の私の書く小説であるのだから、暗いに決っておる、
と妙に自己納得した。
ふつう、この監督を一挙に見ないよな、やっぱり……。
「奇跡の海」「ダンス・イン・ザ・ダーク」「ドッグヴィル」と続けざまに見て、
さすがに疲れたので、間になぜか
別の監督の「レディ・イン・ザ・ウォーター」を息抜きで見た。
このファンタジーに救われる。
そして、ヨーロッパ三部作を見て、
今日は「マンダレイ」である。
トリアーを一週間で制覇するのは、富士山に登るよりもきつかったが、
あまりにどろどろの作品群なので、かえって清々しい。
こういう暗いやつを書いてやろう、という野望に目覚めて、
仕事する気力が戻ってきた。
by flammableskirt | 2008-12-08 10:44

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