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作家 田口ランディの新刊・イベント情報・近況をお知らせします。 


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政府が「もんじゅ」の廃炉方針を固めました。「もんじゅ」というのは福井県にある実験用の「高速増殖炉」のこと。きっと名前は聞いたことがありますよね。

でも、高速増殖炉ってなに?って説明できる人は少ないと思います。
増殖炉っていう名前の通り、プルトニウムを増殖させてしまおうというすごい研究。

原発というのは、濃縮ウランを原料にして、人工的に核分裂を起こし、そのとき発生する熱を電気エネルギーに変えて利用しています。

構造はふつうの原発と同じなんだけれど、高速増殖炉では、「高速」の中性子を利用して原発から出たプルトニウムを再利用し、さらに増殖させてエネルギーにしようという、一石二鳥のような夢の計画だったのです。

だから、「もんじゅ」の中では、プルトニウム原料を囲うようにウラン238が置かれています。なぜかというと、ウラン238は中性子を吸収してウラン239に変わる性質があるから。

ふつうの原発は、ウランやプルトニウムの核分裂で飛び出した中性子(2〜3個が出る)のうち1個だけが次のウランにぶつかって核分裂の連鎖が起こって熱が出る仕組み。

「もんじゅ」は中性子の一つを連鎖に使い、もう一つの中性子を周りのウラン239に吸収させようってわけ。するとプルトニウム燃料が燃えているのと同時にさらに新しいプルトニウム239が生まれる。

原発の冷却水っていうのは中性子のスピードを落とすために伝われるのね。だから「もんじゅ」は冷却水は使わず、高速のまま中性子を使うためにナトリウムを使い、プルトニウムを増殖させてしまう。

これは、理論的には凄いけど、想像しただけでも「危なそう」って思うよね。でも、日本は資源がないから「核燃料サイクル事業」の中核として、使用済み燃料を再処理して有効利用するためにプルトニウムを増やす「高速増殖炉」の研究が進められていたの。

でも「もんじゅ」は事故続きで研究は進まなかった。根本的に仕組みに問題があるのは明白。だって最初からうまくいかないのだから。だけど、始めてしまったものを止めることができなくて、「もんじゅ」はまあ、言い方は悪いけれど植物状態のまま延命措置を受けていた感じです。

これは国の研究事業だからたくさん税金がつぎ込まれた。国の税金を使った事業をやって失敗すると、責任問題が生じるわね。豊洲の移転だって、いま問題なってる。

「もんじゅ」も誰がここまで赤字を増やしたってことになるわけだね。当然、誰も責任を取りたくないから、逃げちゃうよね。なんとかうまく四方丸く収めて時間稼ぎみたいなこともしたい。

そういうわけで「もんじゅ」の廃炉方針が決っても、政府は「高速増殖炉」の研究は進めるっていう表明を出したの。でもね、研究を進めるって言っても、また新しい施設を作るとなると膨大なお金がかかるよね。えー?って感じだよね。失敗したのに。

フランスと共同で研究するとか言っていたけど、フランスの態度も微妙だね。高速中性子を当てて、ナトリウム剤を使わずに一気にプルトニウムを増殖させるのは、相当危険なことだから、施設だって安いものは作れないよ。

こんな国益に反することはダメ、って経産省は言ってる。「もんじゅ」の管轄は文科省。「もんじゅ」は国の研究施設だからね。文科省はプライドあるから最後まで廃炉はヤダって言っていたけど、国もこれ以上お金かけるの無理ってことになったわけです。

廃炉ってなると、問題がいろいろ出る。高速増殖炉ではプルトニウムを使います。プルトニウムは核兵器の原料。いま、日本にあるけど、それは高速増殖炉を実現するために置いているのであって、うちら核兵器を作る気は毛頭ありませんよ、ってことで、日本はプルトニウムを持っているわけです。

だから「高速増殖炉やめます」って言ってしまうと「おいおい、だったらそこに持っているプルトニウムどうする気だよ、ちゃんと処分しろよ。日本は核を持たないって約束してるだろう、プルトニウム持ってるってことは核兵器作れるし、ほんとは作る気じゃないの?」って疑われちゃう。

日本人は「私たち核兵器なんか持たない平和が好きな民族です」って思っているんだけど、世界はそう見ないわけ。「いや日本人は第二次世界大戦で気が狂ったことやった恐ろしい国だったから、いまだってなにするかわらない」って思われてるところもあるわけ。

よその国の人から見たら、日本はヒトラーと同盟を組んでたわけだしね。でも日本人は原爆を二つも落とされた経緯もあるし、どちらかといえば第二次世界大戦に関しては、いま、気分的に被害者になっているから、世界の感覚とは若干のズレがあるんだよね。(日本が核兵器を持っていると思っている外国人はわりと多い)

「もんじゅ」が失敗し、廃炉へという決定を安倍政権が出したということは、ほんとうにほんとうに「これ以上、金がかかったらたまらん」ということだよ。だから、それくらいの莫大なお金をつぎこんで失敗したんだ。それはね、税金なのね。バイト代からだって引かれるでしょ。

で、日本の原発事業は「核燃料サイクル」という、「高速増殖炉」の稼働を前提にした壮大な夢の事業だった。ところがその中心にあった「高速増殖炉」が、もはやダメってことになると、全体の見直しが必要。それは誰だってわかる。

この「見直し案」というのが曖昧なの。

原発は危険だというのは、福島第一原発の事故でみんな実感した。だから安全基準が厳しくなって、いま日本のほとんどの原発は稼働していないね。これは歴然とした事実だ。

福島第一原発はそのうち廃炉になりますし、もんじゅも廃炉になります。そうすると、「日本政府さん、そこに置いてある「使用済み燃料」は、どうするのですか?」ってことになる。
使用済みの放射性廃棄物は自分の国内で処分してね、っていうのが世界のきまりね。そうだよね、他人の領土に埋めるわけにいかないし、海洋投棄も禁止されてる。
 
世界的な流れとしては「地中に埋める」って方向で、使用済み燃料、つまり高レベル放射性廃棄物の最終処分が検討されているのだけれど、いま世界で埋める場所が決っているのって、フィンランドと、スウェーデンくらい。

日本の場合は地震国でもあるし、国土も狭いし、みんな不安だよね。だから「最終処分地になってくれるところ、手を上げてくださーい」って国が言っても、16年間どこも手を上げなかった。唯一上げた地方自治体の首長は即刻リコールされて白紙に戻った。

じゃあ、いまその使用済み燃料ってのはどうなっているのかってことなんだけど、それぞれの原発に置けるだけ置いてあって、いっぱいになると青森県の六ケ所村に「仮置き」って形で預かってもらっているわけです。

地表に置いてあるというのが、かなり危険なのだよね。テロとか、地震とか、何が起こるかわからないし。国としては「いつか地層処分したい」って意向を表明している。

いま政府は原発を続けるよ、という方針。ということは、地層処分で地中に埋めるんだから、まだ使用済み燃料出してもいいじゃん、だから原発をもうちょっと続けようよ、みたいなことを考えているふしもあるわけ(杞憂かもしれないけれど)。

莫大なお金を費やした「もんじゅ」の廃炉にだって莫大なお金がかかるし、廃棄物を処分するのにだって相当お金がかかるわけだよ。だってね、最終処分の候補地を調査させてもらうだけで10億円を払うって国は言ってるわけだから。でも10億円をもらっても「うちへどうぞ」というとこがあるかなあ。使えなくなった原発の廃炉費用、いくらかかるかな。何年かかるかなあ。

高速増殖炉の研究を進めるとか、地層処分実験地での研究を進めようなどと言うまえに、「段階的に原発は廃止」の計画を出すほうが現実的ですよね。政府が、将来エネルギーの20パーセントを原子力でまかなう、なんていう曖昧なエネルギー政策を出すから電力会社も「まだやれるかも」って思ってしまうわけ。政府が場当たり的なの。

冷静に「段階的に減らして、二十年後のはゼロ%」とか方針が決まれば、やっと「地層処分をどうするか?」という議論に入れるんだ。そして、「埋める方向で最終処分を決定した」という表明が出せれば、とりあえず世界にも言い訳が立つ。それだって、実現までには百年かかると言われている。候補地選びも含めていろんなトラブルが起きるだろうし、お金がたくさんかかるけど、少なくとも現状の無間借金地獄的連鎖は終わる。
 
一歩、進めるためには「高速増殖炉と核燃料サイクル事業」をここでしっかり諦めて、原発の段階的な廃止を決めて、最終処分方法の検討を進める。
ぐずぐずしているのは一番危険だし、国益にも反する。

原発の問題は八方塞がりであちらを立てればこちらが立たずの、優柔不断政策の結果として、ややこしくなった。利権の争いもあるけど、プライドの争いでもある。原発は儲からない、経産省がそう考えているのは今回の経緯で明白。やめてもっとお金になる政策を考えてほしい。

廃炉事業を公共事業として、社会保障と雇用を整備したり、代替エネルギーの開発に国家予算を投じたり、理工系の大学に「廃炉課」を作って、廃炉技術を世界に売ったりするような、そういうアイデアを考えようよ、と思う。

9月1日に高レベル放射性廃棄物最終処分実験地を見学してきました。
ここはあくまで実験地であって候補地ではないので誤解しないでくださいね。
世界の流れが地層処分であっても、政府主導で地層処理の問題が進められるのは一番よくない。
高速増殖炉は廃炉方向へ向けた政府は、地層処分計画を進めていることを世界にもアピールしたいはず。
プルトニウムをもっている言い訳が必要だから(核兵器になる原料をもっている国に世界は厳しい)。

だけど、放射性廃棄物処分の方針を決める前提に「原発の段階的な廃止、その廃止までの明確な時間」を公約しなければ、
「埋めるんだから原発を稼働して廃棄物をもっと出してもいいでしょう」って言い出しかねないと、みんな不安に思うよね……。
そういう中途半端な政策が、原発の問題をこじらせてきたことをちゃんと見なければ。

最後に、「もんじゅ」を支えてきた技術者の方たち、研究者の方たち。プルトニウム増殖の研究を続けていた方々はたいへん失望しているだろうし、研究への意欲を断たれて長い間、宙ぶらりんのなかで仕事を続け、ほんとうにごくろうだったと感じます。研究者の方たちの知識が廃炉へと活かされるますように。そして「もんじゅ」を受け入れてきた福井県民の方々にとっても、今回の国の決断は「なにを今さら」でしょうし、複雑な心中はとても察することができません。

原発に関わる技術者、研究者の方々の数は激減しています。大学の学課もいまは消えました。でも原発はこれから廃炉へと向います。
安全に炉を解体し、使用済み燃料を処分する方法に情熱をもって研究する人たちが必要です。
文科省には、技術と人を活かす政策を、と願います。
このような状況で、原発推進をいまだ語る政治家の方がいるとしたら、たいへん失礼ですけれども、エネルギー政策と経済政策に関してあまり勉強をなさっていないのだな、と思います。



# by flammableskirt | 2016-09-23 17:24
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着なくなっちゃったシャツ、襟の形が古くて着回しがきかないようなの……とか、もうどうしようもなくダサいワンピース(リサイクルショップで200円で売ってる)みたいな服に、絵を描いて好きな服にする……のが楽しい。始めると勢いがついちゃって止まらなくなり、どんどん服を作っちゃう。イマイチなガラのTシャツとかも、上書きして変えちゃう。

みすぼらしいものがピカって生まれ変わるのって、元気になるしうれしいよ。

シャツは襟があると暑苦しいから、裁ちばさみで切り取ってしまう(切ってもほつれないから大丈夫、縫い目のちょっと上をジョキジョキ)。袖も長いのが嫌いだからじょきじょき。切りっぱなしで折って着る。背が低いので袖は七分よりやや短めでちょうどバランスがいいカンジ。

寺西化学工業の油性マジックインキ16色セットが、絶対に色落ちしないし発色が良くて大好き。このマジックインキはなんにでも描けてとっても便利。ピンクとか茶色、どの色も好きな発色!布に描くときれいなんだ。(マジックインキの色はやや暗いのが多いけど、ここのは明るいよ)

c0082534_8331521.jpg下描きはしないでいきなり描く。そのほうが失敗しない。ちょっと変なくらいのほうが面白くなる。ダサいワンピは、アシンメトリーの模様を入れるとがぜんかっこよくなる。あんがい、売っていないんだよね、アシンメトリー柄って。

この、ダサいワンピの柄が面白く出来たので、いつかイベントで来てみよう(着るとめっちゃかわいい)。

1枚に30分くらい。考えてしまうと描けない。服にいきなり絵を描くのはドキドキするし楽しい。ものすごくストレス発散になる。わくわくするし、着た時がスペシャル幸せです。
# by flammableskirt | 2016-09-14 08:40

ビョーキは感染する。いつもべてるの家(※)の人たちから言われていたこと。
「ベてるの家」とは北海道浦河町にある社会福祉法人。かなり重度の統合失調症の人たちが点在するアパートに住まい、半共同生活している。地場産業を支えるほどさまざまな事業を立ち上げ、成功させているが、主体は精神障害をもつ当事者。年商●億円を稼ぎ出すこの不思議な集団に、年間に二〇〇〇人もの見学者が集う。

一時期、この「べてるの家」の人たちと親しかった。よく浦川に訪れて一緒に飲んだりした。行くとみんなから「ここに来るとビョーキになるから」つまりビョーキがうつると言われた。「もともと、ランディはちょっとビョーキだから悪化するよ」

どうなるんだろうとドキドキしていたけれど、悪化することはなかった。「べてるの家」と疎遠になったころ「アール・ブリュット」という障がい者の描く芸術に興味をもつようになった。厳密にはアール・ブリュットは「生の芸術」という意味で、障がい者に限定するものではない。画家の田島征三さんなどは自ら「アール・ブリュット」を名乗っている。

アール・ブリュットは摩訶不思議な魅力をもっていた。観ていると気持ちがざわざわしてくる。頭蓋骨の蓋を吹き飛ばして、創作ビジョンと繋がりたいという妙な欲求がわいてくる。それは、アール・ブリュットの作家が常識の世界を超えた、自由で広大な場所に立って、他人の評価もお金も名声もなにも考えず、ただ感じたままを表現しているからだ。あざとさが、みじんもない。
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美術家の中津川浩章さんは、学生時代から障がい者の絵に興味をもち、まだアール・ブリュットという名称が日本になかった頃(エイブルアートと呼ばれていた)から、障がい者の絵に魅了を感じ、福祉におけるアートの可能性を直感していた。

中津川さんは、アール・ブリュットの業界(というのも変だけれど)そこに関わる人たちの間では有名だったので、どんな方だろうと思っていた。川崎の岡本太郎美術館が、「岡本太郎とアール・ブリュット」という企画展を行ったとき、中津川さんはキュレーターとして奔走していて、展示会場で始めてお会いした。

自宅が小田原と聞いたので、湯河原に近いし、またお会いしましょうと名刺交換をした。わたしが想像していたよりずっと気さくで、パワフル。そして、すごく繊細そうだった。中津川さんの印象がすこぶるよかったので、いつかお会いしたいなあと思っていた。

初対面で中津川さんの眼に惹きつけられた。「あ、このめ眼は芸術家の眼だなと思った。こういう眼の人にときどき会う。覚醒しているとうのかな瞳孔が大きくて、力強く、澄んでいる。和太鼓奏者の友人や、音楽家の巻上公一さん、ソプラノ歌手の友人……みんなこの目だ。

この目の人はちょっとイッちゃってる感じなんだよな、と思った。純粋で、ウソがつけない眼。パワフルで、好奇心が旺盛で、自我を世界に明け渡して芸術に満たされることが快感な人たちの目。

作家という仕事は文字を扱う。ことばをこねくりまわしているうちに、だんだん保守的になってくる。文化人的な扱いを受けるし、コメントなど頼まれても無難なことを言わないといまどきバッシングが恐ろしい。

16年作家をやっているうちに、わたしはほとんど自分が思ったことを書かなくなってしまった。あたりさわりのないことしか書かない(書けないのではなく、書かなくなった・単なる自己規制)。私が考えていることはけっこう反社会的だし、一般常識から逸脱している。初期の作品はそうだった。中身は今も変わらないのにそういう自分が出せなくなっていた。変な人と思われたくない。 ふつうに生活しているのに作品から怪しい人を想像されるのが辛かった。

発病して気でも狂わないととてもじゃないが、これから先、じぶんが書きたいものは描けないかもしれない。そういう危機感をここ数年もっており、昨年から「学者さんとのシンポジウムは出ない」「文化人的な仕事はしない」「しばらく執筆を休む」「本は全部捨てる」つまり、自分をリセットしようとしてみた。人生、そう長くないのになんで書きたいことを押さえて生きるのか。ここでいい人ぶってちゃだめだ。

新転位21の舞台に出演するのも、身体の感覚を取り戻し、世界との回路をつなぎ直すためだった。山崎さんの舞台は厳しいし、かなりシャーマニックなことを要求される。そういう自分を思いきり表現してみたかった。そのために、自律訓練方や瞑想も以前より真剣に取り組んだ。

絵を描く、写真を撮る、演じる、文章以外で自己表現するのはめっちゃ楽しいし、なにやってもOK、すごく自由だ。

ゆうべ、中津川さんと小田原で会って、飲んだ。いろいろな話を聞いた。面白かった。でもここで強調したいのは話じゃない。波動。中津川さんのもっている波動は、高い。ああ、この人は日々、インスピレーションを身体に下ろして生きているんだと感じた。そういう相手と、三時間以上、向かい合っているだけで、やばい感じになった。うわ、感染しそうだとわくわくした。わたしは感染したい。発病しちゃいたい。

そして、どかんとあの不気味な私の内的世界に潜り込んでしっちゃかめっちゃかやりたい。それを抑えているのは理性とか恐怖とかいい人でいたいというくだらない自意識なのだが、目の前に繋がっちゃっている人がいると、どんどんボルテージが上がり、あの感覚が甦ってくる。

なにかに憑依されて自分じゃないものに自分を明け渡してしまうときの快感。まったく意図しないものが次々思いついて、一日で100枚もお筆書きのように書いてしまうドライブ感。疲れたら眠れば夢の中で続きを見れる、トランスの状態。ああいうものに、まだ自分は入って行けるんだろうか。体力的に無理なんじゃないかと弱気でいた。正直、あれは身体はすごくしんどい。

いや、やれるんじゃないか、いけるんじゃないか、なんだかできそうだ、と誇大妄想的になってくるのが発病の兆候で、いいや、好きなことやっちゃうしかないし、話している間にも、どんどん構想がわいてくる。くだらなくて、とるに足らなくて、どうでもいいつまらないことを思いつき始め、やたらと愉快になってきた。ビジョンってのはさほど高尚じゃない、めっちゃ低俗なところからひっかかってくる。

やっぱり、こういう人のそばにいるとうつるんだ。いままであまりに理屈をこねる頭でっかちが多すぎた。もっと気が狂った人に影響を受けないとぶち破れない。そう思ったから、四谷シモンさん、大久保鷹さんたちの舞台に一緒に立とうと思ったのだもんな。めっちゃ狂ってる人たちだから。

人生って思春期と思秋期があって、どっちも精神的に危うくなるのだけれど、わたしは当然、思秋期のほうで、一度、歯垢みたいにこびりついた思考をこそげ落し、酵素で分解し、スカッとしたい。いわば家庭内暴力で暴れてる中学生と同レベルだ、とよくわかった。

思春期で激しく荒れていた子たちも、自己表現ができると落ち着く。中津川さん自身もそうだったと、若い頃のことをいっぱい語ってくれた。おばさんもそうなんだよ。もうやなんだよ、なんかかた苦しくて、予定調和なことやってるのうんざりなんだよー。

芝居だって、美術だって、やりたいことをやればいいし、その先に文章があるのかもしれない。今日は久しぶりに気持ちよく書いてる。そういや最近、ちょっとずつまた文章が、楽しくなってる、仕事じゃないことを書くと解放される。

64冊も本を出してんだから、あとは好きなことを書いて、好きなことをやっていればいいか。

ものすごくテンションが上がったのでゆうべは眠れずに、結局、睡眠導入剤を飲んだ。ベッドに横になりながら、飛行機のこと考えていた。

中津川さんの、飛行機の作品が好きだ。あれが諸星大二郎の「マッドマン」の、枯れ葉と枝で飛行機を飛ばすシーンからインスパイアされたと聞いたときは、「やっぱり」と思った。わかる、この世界のことばの裏側に遍在していて、いつも、こちらに誘いかけてくる。そういう、呪術が電波のように神経を伝えって脳に刺激を与える線と陰影、それが中津川さんの作品。あれはね、感じる人が見れば、その背後にある超自然的な力がわかる。

完全に感染した。ありがとう中津川さん。
こんど一緒にトークと、ライブペインティングのイベントをしたいね。

表現はすばらしい。表現ができるとどんなに荒れている人も穏やかになる。
自分を出すことで、落ち着く。そして、幸せになる。
こんなすばらしいことを、もっと伝えていきたいよね。
自由すぎるようで、縛りの多い時代。
いっぱいいろんな人を感染させてしまいましょう。





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■ファシリテーター
タグチ・ランディ


【ご予約の方法】

件名は「大人のためアート講座」と記入
①お名前(フルネーム・ふりなが)
②当日ご連絡の取れるお電話番号(携帯電話など)
③ご住所

以上を明記の上
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# by flammableskirt | 2016-09-13 16:59 | イベントのご案内
チケットは完売いたしました。
現在、キャンセル待ちをお受けしています。
ありがとうございます。

劇団新転位21の最新公演「骨風」に出演するよ。

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山崎哲さんのお芝居、最高におもしろいよ。
時空間がジグザクになる至極の演劇体験をお届けします!

※12月18日(日)千穐楽は完売です。有難うございます。
◎新転位・21第23回安保由夫追悼公演
『骨風(こっぷう)』(泉鏡花賞受賞作品/文藝春秋刊)
原作・篠原勝之 作構成演出・山崎哲
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◎チケットの予約問合せ先
芝居屋・劇団羊のしっぽ info@hitsujinosippo.com
携帯電話 090-4748-8087 (制作・森島朋美)
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◎チケット購入時の注意事項
・発売開始=9月1日午前0時~
・お1人様1日3枚までの限定販売となります
・メールは受信順に開封、返信致します
・電話は着信順に応対致します
・完売日時の場合、ご予約可能日時のご案内になります
・チケットについては
「お振り込み、郵送」「お振り込み、受付渡し」の
いずれかをご選択ください
・開場は開演45分前です
・「整理券」は開場1時間前より配布し、
開場と同時に整理番号順にご入場いただきます
(開場が早いのは特典を用意しているからです)
※小劇場のため客席総数が限られています。そのためチケット販売も限定されたものとなります。ご理解いただけますようお願い致します。
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《公演概要》
新転位・21第23回安保由夫追悼公演
『骨風(こっぷう)』(泉鏡花賞受賞作品/文藝春秋刊)
原作・篠原勝之(文藝春秋刊) 作構成演出・山崎哲
◎2016年12月8日~18日 全13ステージ
◎開演 平日18:30 土曜14:00/18:30 日曜14:00
◎高田馬場ラビネスト RABINEST 090-4748-8087(制作・森島朋美)
◎前売り5,000円 当日5,500円 一般前売り開始9月1日
※良い舞台をできるだけ安い入場料で。を転位・21以来モットーにしていますが、今回は自前の稽古場がない、キャスト・スタッフ・ゲストが豪華過ぎる(笑)等で制作的に厳しい状況にあり、いつもの公演より少し高めになっています。申し訳ありません。ご理解頂けますようお願いいたします。
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◎出演
四谷シモン 中嶋夏 十貫寺梅軒 佐野史郎 石川真希 井浦新
田口ランディ 林海象 田村信 大輪茂男 大久保鷹 谷川俊之
吉沢健 篠原勝之
宮脇麻那 おかのみか 徳弘沙江 武井翔子 紀那きりこ
起代美 白木愛美 富田裕子 世良啓 そのだりん 森島朋美 
◎スタッフ
舞台美術 = 石丸正広 八雲 花 
光デザイン = 海藤春樹 伊集院もと子
音楽 = 安保由夫 半田充(MMS)
衣装 = 伊藤佐智子 
ポスター美術 = 篠原勝之
宣伝美術 = 渡部通子 
舞台監督 = 武川喜俊
制作 = 森島朋美 佐々木聖 石丸桃麻
制作協力
住空間創造Gallery ATOM CS TOWER 上田嗣夫
芝居屋・劇団羊のしっぽ
演出助手 = 佐々木峻
音響協力 = 拾参号倉庫
小道具 = 甲斐菜摘 辻洋子
制作助手 = 東優華 村野瑠美 佐藤仁美 竹内泰子 イワセマツリ
撮影班 = 三浦仁 高嶋芳男
協力 = 合田ノブヨ 丹羽蒼一郎 三反崎美子 井形和正
 (株)エクス・アドメディア
◎アフタートーク・ゲスト(順不同)
李麗仙(俳優) 嵐山光三郎(作家) 桑原茂夫(詩人) 村松友視(作家) 
立花義遼(山中湖望湖亭亭主) 大月雄二郎(画家) 天童荒太(作家) 
伊藤俊也(映画監督) レオニード・アニシモフ(演出家) 
七字英輔(劇評家) 流山児祥(演出家) 神山睦美(批評家) 
原マスミ(シンガー) Gee藤田(映画監督) ほか出演者
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# by flammableskirt | 2016-09-08 00:00 | イベントのご案内

シン・シン・ゴジラ

地下500メートルにヤモリがいたけど、あれはどう見てもトカゲじゃないか、という話で朝の食卓は盛り上がった。
「トカゲだよ、縞々があったし」
「でも、案内の人はヤモリって言っていたよ」
 私と娘は高レベル放射性廃棄物を地下に埋めるための研究所を訪ねて、穴に潜って見学をしてきた。その時に、地下坑道に小さな爬虫類がいた。
「あのトカゲが、放射能を浴びたらゴジラみたいになるのかなあ」
「ゴジラは、物語でしょ」
「でも巨大化することはあるって言ってたよ」
 確かに。
「シン・ゴジラ、面白かったなあ」
 シン・ゴジラも娘と二人で観に行って、それからすぐに穴を見学に行ったものだから、ゴジラの世界と現実が混じり合ってしまう。
「ねえ、シン・ゴジラのゴジラはあのあとどうなると思う?」
「えっ?」
「きっと、人間は貪欲だからゴジラを生かしたまま原子炉として利用して、生体エネルギーでタービンを回し発電する仕組みを考えるよ。ゴジラは、植物状態になったまま、永遠に人間にエネルギーを送り続ける」
「そんな……、ゴジラがかわいそう。それは動物虐待でしょう?」
 娘が泣きそうな顔をする。
「いや、でもね。中国では漢方薬として珍重される熊の胆汁を採取するために、生け捕りにした熊の腹に穴を空け、カテーテルを差し込み、生かしたままの状態で胆汁を抜き続けるんだよ」
「ひ、ひどい!熊を生きた動物だと思っていないんだね」
「それを言うなら、人間が住んでいる都市に原爆を落とすほうがもっとひどいんじゃない?」
「うーむむむ」
「人間ってなんでもできるのよね。どこまでも残虐にだってなれるのよ」
「お母さん、ダメ。朝からする話題じゃない」
 そうだね……。

 でも、なぜか頭の中で、無数のチューブを差し込まれスパゲティ状態になったゴジラが、生体エネルギーを放出しながら点滅している様子が浮かんで消えないんだよ。電力会社のマークがゴジラになって、私たちは永遠のエネルギーを手に入れました、なーんて宣伝している妄想が……。
# by flammableskirt | 2016-09-05 18:22
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岐阜県の瑞浪に行って来ました。
ずいぶん前ですが、この近くの川で化石を掘ったことがあります。
大昔、このあたり海だったんだよなあ……などと思いつつ、実験地へ。

瑞浪には「地層処分のための実験地」があります。
原子力発電を使うと、放射性廃棄物(人体に有害な放射線を出すゴミ)が出ます。
これまでもずっと出続けていました。
原子力は化石燃料と違ってクリーンエネルギーと言われていますが、放射性の廃棄物が出ます。この廃棄物は現在、青森県で仮に保管されています。

世界的にも放射性廃棄物の処理は問題になっていて、いま、フィンランドとスウェーデンが最終処分地……つまり原発で出たゴミをどこに埋めるかを決めています。決っているのは世界で二カ国だけです。
日本も、なんとか埋める場所を探そうとしているのですが、この16年間、まったく決らず。

北欧諸国は国民と政府の信頼関係があり、十年の時間をかけて住民との対話を続けて、地層処分へ具体的に進んでいます。日本は、というと、政府と国民の信頼関係はあまり良好ではないし、国民は政治家を信じていない。対話も成立していない状況。

放射性廃棄物の処分は、世界的に地層処分……つまり、地下に埋めましょうという流れです。もともとウランは地中から掘り出したもの。それを人工的に核分裂させてエネルギーを取り出したのが原子力発電。

地中に埋めて、だいたい千年くらいで放射線の放射がぐっと低くなります。それでも、人間が近づくのは危険。もちろん、作業はぜんぶロボットがしなければなりません。

いま日本には、地層処分のために地下500メートルまで穴を掘って、地層や地下水の研究をしている施設が二つあります。その一つ、瑞浪の実験地に見学に行ってきました。

19歳〜80歳という幅広い年齢、職業の女性たち12名で地下500メートルに。
関心のある人もない人も、一緒に地下に降りて、実感してみようというツアー。
それぞれが感じたことを自由にブログとか、facebookにアップしてもらいました。
何も発信しなくてももちろんよし、参加するだけでOKのスタディツアーです。

みんな、いろんなことを感じたままに書いてくれています。
19歳の女子「学校の授業では廃棄物が出るなんて教えてもらっていない。原子力発電を始めた人はゴミのことをどうして考えなかったのかな?」と素朴な疑問。

そうだよね。昔からトイレのないマンションと言われていた原発。
始めた人たちは「そのうち無害化する技術が生まれる」とか「海底に捨てる」とか「宇宙に捨てる」とか、とにかくあまり具体的に捨てることを考えていなかった。そのうちどうにかなるだろうと、思っていたみたい。

日本は被爆国だから、原子力にはアレルギーがあったのだけれど、アメリカからたくさんの学者がやってきて「夢のエネルギー」で「安全」で「これを使えば豊かになる」と、メディアを使って大宣伝活動を行ったものだから、世論がコロッと変わってしまった。

そのころ、日本は戦争に負けてとても貧しかったので、みんな夢を見たかったんだと思う。

どうにかなるだろうと思っていた、放射性廃棄物の問題がどうにもならない。そして原子力発電所も耐久年数を過ぎてきて、いよいよ廃炉を考える時代に。いま日本のほとんどの原発が止まっています。

なにかを決断しなければいけない瞬間に向かって、時計の針はちくたく、ちくたく……と進んでいる感じ。

世界の流れで地層処分と言っても、日本は地震国。
地底に埋めて大丈夫なの?
どんな研究が進んでいるのか、実際に見て、話しを聞くことができます。
(小学生くらいから見学可能)

原子力のこと、少しわかってくると、話しもしやすくなりますね。
まったくさっぱり知識がないのでは、興味も持てないですものね。
今回は女子ばっかりで、気楽に無知をさらけ出しつつ、みんなで考えてきました。
(次回の「穴を見るツアー」は男子部です)


# by flammableskirt | 2016-09-05 13:21
12月の舞台「骨風」の稽古が始まっています。

8月19日初稽古で台本を渡してもらいました。
右から私、十貫寺梅軒さん、石川真紀さん、佐野史郎さん。
この日は出演希望の人たちのワークショップを見学してから居酒屋に。
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8月23日、梅軒さんと、読み合わせ。めっちゃ緊張しますよー。
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最終がなくなるのでひと足お先に。舞台は楽しい。わくわく。
公演まであと3カ月。気合い!
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前売りチケットは9月1日から発売開始になります。
詳しくはこちらのページをごらんください。

# by flammableskirt | 2016-08-28 15:35 | イベントのご案内

オオミズアオ

蛾のなかで最も美しいといわれる、オオミズアオ。
十年くらい前まではこの町でもよく見かけたけれど、ここ数年は全く姿が見えず。
今日、朝早くに散歩をしていたら道路に白く光るものが。。
近寄ってみたら、オオミズアオの死骸でした。
まだ、美しくて羽もきれい。
日が高くなると、車にひかれてしまうのかも。
生き物は死んで魂になるときみんな透きとおっていきますね。
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夏の終を感じます……。
# by flammableskirt | 2016-08-28 15:19

8月のイベントも募集と同時に満席に。
少人数で仲間と出会うイベントを企画しているので、どうしてもすぐ満員になってしまう。
申し込んでくれた人には次回のお知らせをお送りします。
情報発信はtwitter とブログとホームページで行っています。

8月6日〜7日
原始感覚美術祭「即興朗読劇ワークショップ」
誰でも参加可


8月20日〜21日
湯河原色えんぴつ「親子サマースクール2016」
一泊二日のアートワーク

満員御礼
(今回は超豪華ゲスト陣で参加者は三倍お得!)

8月22日
橘川幸夫さんデメ研夏の忘年会
誰でも参加可

学生と無職は参加費2000円
面白い出会いがあるかも。私もブース出典しますよー!
お楽しみに!

8月23日
「田口ランディのクリエイティブ・ライティング連続講座一回目」
満員御礼(キャンセル待ちあり)
申し込んでくださった方には、次回の講座を早めにお知らせしますよ!
# by flammableskirt | 2016-08-03 10:38 | イベントのご案内

Tシャツをつくろう

今年の湯河原サマースクールは「Tシャツに描こう」がテーマ。
イベントの前に予行練習してみました。
楽しかった。259円のTシャツに百均の布用絵の具で描いたよ。
今日は一日、ハートのTシャツでごきげんだ。

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# by flammableskirt | 2016-07-28 20:04
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ありがとうございます!定員に達しましたので締め切らせていただきます。ただいまキャンセル待ちの状態ですので、それでもよろしければご連絡くださいね。

創作のための心の育て方
田口ランディのクリエイティブ・ライティング
三回連続講座開催のお報せ


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クリエイティブ・ライティングとは?

数年前に尊敬する作家エイミー・ベンダーさん(「燃えるスカートの少女」という素晴らしい短編集がある)が来日したとき、一日どれくらい執筆するのですか?と聞いたら「2時間です」と言われてびっくり。正直「たったのそれだけ?」と思った。
彼女は控えめに「作品に敬意をもって……」と呟いた。
当時、私の執筆時間は一日8時間、多い時だと10時間だった。
彼女はふだんは大学で「クリエイティブ・ライティング」を教えているとのこと。
「クリエイティブ・ライティング」ってなんだ?と思った。
日本ではカルチャーセンターに「文章講座」があるけれど、大学で作家が講義する場は少ないように思う。

ミステリーのような小説なら書き方のノウハウを学べるかもしれない。
でも、文学、たとえば純文学と呼ばれるものの書き方のノウハウはない。
起承転結で物語のプロットを作るなんて無理。
そんな書き方をしたことは一度もない。
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書き続けてきて、一番大事なのは「書きたい」という衝動。
なにかが降りてくる状態を維持すること。待つこと。自分の感覚に敏感であること。
表現の頼りになるのは、ひたすら自分。自分がなにを見て何を感じているか。
過去の記憶。五感。そしてインスピレーション。


エイミー・ベンダーは「書く状態にあるため」にていねいに生きている人だった。
文章を書くだけでなく、あらゆる表現をする人にとって「いまどんな心の状態か」はとても重要。なにを感じ、どんな気分でいるかに意識を向ける。

表現したい、という衝動は感動を忘れると出てこない。
記憶の扉が閉まっていてはなにも呼び出せない。
潜在意識にアクセスするためのパスワードを忘れてはダメ。
表現をする人は、無自覚かもしれないけれど、自分を「いい感じの状態」に維持するために日々、体と心の基礎トレーニングをしている。
表現が生まれてくる「ベストの状態」を知り、その状態に「自分をもっていく」ための工夫をしている。クリエイティブ・ライティングは、そのための講義だと思う。

いま、朝の4時半。曇り空がに青みがさして、鳥たちが鳴いている。
夏の朝のこの時間は、一日のうちでいちばん心が落ち着く時間。
いつ、どんな気分になるか。どんなときわくわくするか。
じぶんをよく知ることがすべての表現にとって必要なこと。

今回、若い編集者の勝俣さんが「ぜひに!」と企画してくれた。
「以前、田口さんの文章講座を一度だけ受けてすごく面白かったんです」
(ちなみに文章講座は一度しかやったことがなかった。その一回を受けた人が楽しんでくれたならこんなにうれしいことはない)

8月からの三回講座です。継続して受けてくれる方に。
詳しい案内はこちら。
https://www.facebook.com/events/1615229148769195/


詳細
作家の田口ランディさんが、少人数制の「クリエイティブ・ライティング(文章講座)」を下北沢にて開催いたします。
8月23日からスタートの全3回コースで、テーマは「創造的な心を育てる」。

文章や小説の書き方やノウハウではなく、「どうやったら子どものような創造的な状態になれるか?」ということをお伝えしていきます。
文章を書きたいと願うなら存在としてクリエイティブになること。創作の衝動、他者に伝えようとするパッションを生みだせば、表現はおのずと生まれてきます。

文章だけでなく、創造活動全般、アートでも、ビジネスでも、子育てでも、いかに自分が「クリエイティブ」な状態にいるか、それだけで人生が楽しくなり、才能も開花していきます。そのためには「クリエイティブな感じ」がどういうものか体験し、その状態に在るよう意識していくことが大切。

作家・田口ランディさんから創作実習を受けられるとても貴重な講座です。
席数に限りがございますので、お早めに下記のメールアドレスよりご予約を!


【日程】
8月23日(火) 19:30~21:30
 第1回「発見する」 
・じぶんの感じ方に意識を向ける(自分を見る)
・俳句を味わいながら意識がどう内面に向けられるか知ろう


9月20日(火) 19:30~21:30
 第2回「観察する」
・見ていないものを見つける(世界を見る)
・海外の優れたエッセイを題材にして観察のすばらしさを体験
   
    
10月18日(火) 19:30~21:30
 第3回「潜在意識」
・忘れていたことを思いだす(表現をする)
・身近なことを題材に短編小説を書いちゃおう


※講座は、毎回創作実習がございます。
※講座内容は、一部変更になる可能性もございます。あらかじめご了承ください。



■参加人数 限定25名

■参加費(全3回)  28,000円(税込)


【開催場所】
下北沢のイベントスペース「dii jang(ディージャン)」
東京都世田谷区代沢5-28-17-201
HP (diijang.com)


■講座企画・進行
勝俣利彦(フリーランス編集者)


【予約方法】
件名は「田口ランディのクリエイティブ講座」と記入
①お名前(フルネーム・ふりなが)
②当日ご連絡の取れるお電話番号(携帯電話など)
③ご住所

以上を明記の上、 ka2ka2_104@icloud.com にメールにてご予約ください。



<注意点>
※参加費は事前払いになります。

※お返事はメールを頂いてから土日を除いた3日以内に致しますのでお待ちください。
3日を過ぎてもお返事のない時はお手数ですが、再度ご連絡ください。

※1週間前までのキャンセルの場合料金の50%、前日・当日の場合料金の100%のキャンセル料がかかります。ご理解の程、何卒宜しくお願い致します。
# by flammableskirt | 2016-07-26 05:16

 パク・チェヨンさんという作家の方から「佐藤初女 自分を信じて」(藤原書店)という本が送られてきた。お手紙がついていた。初女さんが亡くなる1年前からずっとインタビューを続けて来られたとのこと。お電話をしてみると繋がった。
「初女さんからよくランディさんのことを聞いていました。とても気にかけていらっしゃいましたよ」
 と聞いて、そうだったのか、でもどうして、と、素朴に不思議だった。
 パクさんに、初女さんがわたしについてどういうことをおっしゃっていたのかを聞いてみた。すると意外なこたえが返ってきた。
「あの方は、信仰を求めているんだと……、どうやったら信仰をもてるか探していらっしゃるの。でも信仰は降ってくるものだから。そうおっしゃってたのを覚えています」
 信仰……。
 確かに初女さんと初めてお会いしたとき「祈りってなんでしょうか?」と質問した。もう16年も前のこと。わたしは「祈り」というものがよくわからなかった。
 たとえば原爆の日などに黙とうして「祈りなさい」と言われるけれど、いったいみんな何を思い、何を考えて、何をしているのか。
わたしはそっと目を開けてみんなの顔を見たものだった。冥福を祈るとはどういうことなのか……さっぱりわからなかった。
 それは大人になってからもずっとそうで、祈っている人の内面を知りたいと思っていたから、ほんとうに単純に「祈るとき何をしているんですか?」と聞いた。
 そのとき初女さんがどう答えたか、忘れてしまったのだけれど、きっと変な子だと思っただろうな。

 わたしは神様を信じているいる人に会うと、必ずこの質問をした。
「祈りってどうしたいいんですか?」
 初女さんは、そういうわたしを心にかけていてくれたんだな。そしてパクさんは、
「初女さんはもしかしたら洗礼を受けてほしいと思っていらしたかもしれないですね」
 と、おっしゃった。
 これもまた意外でびっくりしたのだけれど、ああ、そうだったのかもしれないと思った。
 何年か前に初女さんにキリストの遺体を包んだという布(キリストの姿が転写されている)の実物大の写真をさしあげたことがあり、それを広げて一緒にしみじみと眺めたことがあった。
 森のイスキアには青いマリアの絵がかかっている部屋がある。その部屋に泊めていただいたとき、夜中にコバルトブルーの光の線がマリアの中心から現れて発光しているのを見た。そのときは家族も一緒で、夫と娘と3人で「この絵にはなにか仕掛けでもあるのかしら?」と不思議に思って眺めていた。
 翌朝、初女さんにその話をすると「ずいぶんたくさんの人があの部屋に泊まったけれど、そんな話を聞いたことは一度もないわ」と言われ、びっくりした。
 夜のイスキアの庭に、白いヴェールのようなものが舞い降りてきて「あれは何ですか?」と聞いたら、そのときは初女さんは「あなたにもあれが見えるのね」とおっしゃった。「ここの土地は特別みたいなの……」と。
 そして、確かに初女さんはわたしに「信仰というものを書いてほしい」と、確か二度目に会った時におっしゃったのだ。「でも、わたしは自分が信仰をもっていないし、信仰がなにかなんてまだ書けません」と答えた。

 パクさんから本が送られてきたのも偶然であって偶然ではないのかも。
 初女さんは信仰について語ってほしいと思っているのかも。
 そんな気がした。

 信仰……と言えるかどうかわからないけれど、祈りについて問うことはなくなった。
 何が祈りなのかわかった。どうしてわかったのか、降ってきたとしか言いようがない。わたしの祈りがある。それが他の人と同じかどうか永遠にわからない。人はじぶんの祈りを誰もがもっているのに、人と比べてしまうのでわからなくなってしまう。
 わたしに祈りはあったのに、それを祈りだと気づかなかった。どこか他に「祈り」というものがあると思っていた。だから降ってきたというのは、もともとじぶんのなかにあったものを認めた、認めざるえなかった、あるいは……再発見した、そんな感じかもしれない。
 だからパクさんの本の副題「自分を信じて」はわたしにもあてはまるなあと……。
 あなたはあなたでいいからじぶんを信じて。
 それを伝えてくれたのかもしれない。そして、それを伝えてくださいと言われているのかもしれない。

 なにかに守られ、抱きしめられ、愛されていることを感じる。強く。
 感謝がちろちろと小さな泉の水のようにわいてくる。
 感情の上がり下がりがあるにはあるけれど、それほど悩まなくなったし、悪い気分をいつまでも抱いていることもなくなった。年をとったからだと思っている。
 欠点はたくさんある、いくらでも短所を探せる。そしてそれを克服しようとしてずっと闘ってきたような気がする。でも、人生は短くて、短所を直している暇はあまりなく、むしろ長所を伸ばせば短所もまた個性になっていくと知った。
 
 信仰の基本にあるのは、あなたはあなたでいい、わたしはわたしでいい。
 どちらも尊い。じぶんと他人を分けない、差別しない在り方だと思う。
 じぶんを大切にしているから、他者も大切にする。
 じぶんを大切にするから、よく食べ、よく眠り、よく学び、よく遊ぶ、よく働く。人生を楽しむ。それが人と同じでなくていいし、人に同じことを求めなくていい。
 他人に求めるときは、じぶんを満たしていないとき。
 では……わたしを満たしているものはなんだろう。
 わたしを越えたわたし、わたしのなかにある魂のようなもの。
 わたしであってわたしを越えているなにかが、誰にでもある。
 すべての人が、光の大河の一滴であるという、感覚。
 実感。
 最初からあって、一度忘れて、また思いだす。
 その過程で、わたしはいろんな人と出会った。
 その人たちと同じものを求めて、でも、けっきょくそれはわたしのなかにあった。




 
 
# by flammableskirt | 2016-07-03 06:45
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湯河原色えんぴつ主催
サマースクール募集要項2016

ありがとうございます!満員御礼!募集を打ち切らせていただきました。
現在はキャンセル待ちとなっています。


大好評をいただいている「親と子のサマースクール」を今年も開催いたします。
このイベントは、湯河原で活動している「一人ひとりの個性をだいじする会・色えんぴつ」が主体となって、今年で五回目を迎えます。発達障がいをもっているお子さんを連れて、なかなか泊まりがけで遊びに行くのが難しい、というご家族のために企画したものです。もちろん、健常のお子さんの参加も大歓迎。昨年は障害をもつ方の参加が三分の一くらい。「うちの子が参加できるかしら?」と心配されていたお母さんもびっくりするほど、アートワークに夢中になって、みんな仲良しに!

二日間、絵画やボディワーク、声を使った遊びなど、さまざまなアートワークが特徴のサマースクール。お母さんお父さんも子どもに戻って楽しめるのが人気。今年はいったい何が起こるでしょうか。毎年多彩なゲスト参加者が(今年もお楽しみに!)。温泉、朝のお散歩、みんなで夏の湯河原を満喫しましょう。

ボランティア参加してくださる一般の方も、毎年たくさん応募してくださってほんとうにありがたいです。基本的にボランティアの方も5000円の実費を払っての参加になりますのでご了承くださいね。というのも、この企画はほんとうに実費だけで運営しているんですよ。一泊二日、保険代から食費、材料費、すべて込みの参加費です。

夏の日の思いでづくりを湯河原で。
みなさんのご参加を待っています。

2016年「色えんぴつサマー・スクール」
大人も子どももアートで遊ぼう!
8月20日(土)~21日(日)


●今年のアート・サポーターは超豪華!
音楽家 巻上公一さん
馬頭琴奏者 美炎さん
アーティスト 中津川浩章さん
作家 田口ランディ

●わくわくなアート・ワークショップ 
●声を出し体を動かして思いきり遊ぼう
●カレーを食べながら楽しいおしゃべり
●こごめの湯で温泉入浴
●寝る前のエンターテイメント、本気の朗読劇
●子どもたちが眠ってから飲みながらの本音トーク
大人も子どももみーんな楽しい。みーんな幸せ!


場所:宮上幼稚園 
JR湯河原駅前より2番ターミナル(温泉場方面)のバスに乗車、6つ目の「宮上会館前」で下車。
車道を渡った右手の「石倉商店」横を左に進むと、50m程で「みやかみようちえん」の正門があります。
奥の外階段を上がった園庭の左手に幼稚園園舎の玄関があります。
※車でいらっしゃる場合はカーナビの誤表記に注意してください。幼稚園の入り口は敷地の南側だけです。
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参 加 費 : おとな5000円
     こども4000円
(お一人あたりの料金です・四歳以下のお子さんは無料です)
布団代 、食事代 、入浴料、保険料、材料費込み

募集人数:30名
申し込み締め切り:8月10日
※定員になったら締め切りますのでお申し込みはお早めにね!

□お申込はメールまたは FAXで!
m.youchien@nifty.com
(FAX) 0465-62-9417
ファックスをお持ちでない方は 宮上幼稚園までお電話ください。
0465-62-3994(担当・井上)

●申込記入事項
代表者氏名、参加人数・氏名年齢 住所、電話番号、FAX番号

●サマースクール対象年齢
5歳~小学校6年生とその保護者


スケジュール

● 20日 1 2 : 4 5 集 合
13:00 ワークショップ 1(からだと声のあそび)
14:00 自己紹介タイム
15:00 ワークショップ2 (Tシャツにお絵書きしよう)
17:30 夕食
18:30 温泉へ出発
19:00 温泉入浴(こごめの湯)
20:00 幼稚園へ到着
20:30 田口ランディ作演出/音楽・舞台美術 井上誠
 大人と子どもよる朗読劇 

● 21 日
6:00 起 床
6:30 湯河原散歩(朝市)
8:00 朝ご飯
9:00 ワークショップ 3(いまはまだ秘密だよ)
  わかちあい
11:00 現地解散

●持ち物
タオルケット・まくら・パジャマ・おふろに必要なもの(シャンプーなどは備え付けもあります)・ 翌日の服・洗面用具・クレヨンかクレパス

●保護者同伴であればお友達の子どもさんといっしょに参加していただくことが出来ます。お子さんだけの参加はできません。

●主催:一人ひとりの個性を大事にする会 湯河原色えんぴつ
# by flammableskirt | 2016-07-01 18:09

「ふきのとうの歌」

佐藤初女さんのことを歌にしたいな、と思って詩を書きました。
初女さんと同じ弘前在住のシンガーソングライター、koyomiさんが曲をつけて歌ってくれました。
写真は初女さんと縁のある写真家の方たちが提供してくれました。

写真を曲に合せて編集するのは大好きだから、夢中になってもう夕方。
やっと完成。一日かかった。でも、そのあいだずっと初女さんと一緒にいた気持ち。
いろんな人にあったかーいイスキアの雰囲気が伝わるといいな。
それだけでも元気になる人もいるかも。
そんなことを思いながら。

楽しんでいただけたらうれしいです。






7月15日のイベント残席わずか。詳細はこちらです。
https://peraichi.com/landing_pages/view/mavv8
# by flammableskirt | 2016-06-30 17:43
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「マアジナル」


「6人のうちいったい誰がUFOを見たのか」

KADOKAWAの文芸誌「野生時代」に連載された長編小説。角川文庫化版が電子書籍に。UFOを目撃した6人の少年少女の異世界体験を描くSF的な作品。大人になったガンダム世代は何を夢見るか。

著者は本作品を執筆前に石川県羽咋市在住の僧侶でありUFOの研究家でもある高野誠鮮氏から、石川県においてUFOの目撃例が非常に多いことを聞く。高野氏はUFOで羽咋市を地域活性化したことでも有名。UFOの国際会議も開催したUFO研究の第一人者。高野氏の全面取材協力のもと、UFO遭遇者と接触。取材を始めると予想外に多いUFO遭遇者に驚くと同時に、人間の意識とUFOが関連していることを知る。

文明が侵食していない古い土地には、人間の潜在意識をひらく「夢みる力」が残っている。中学時代に遊び半分でUFOを呼んだ6人の少年少女。そのうちの一人の少女が失踪して行方不明に。遺された5人も数奇な人生を歩むことに。再びそれぞれの人生が重なったとき少女が転生しUFOが現われる……。

UFOの存在は人間の潜在意識を揺さぶる。特殊な変成意識体験は若者の心にどんな影響を与えるのか。この現実は真実なのかそれとも幻……? カント哲学から量子論へ。冥王星の発見者パーシヴァル・ローエルの意識が時空を超えて現代と繋がり合う。見えないものが見えたとき、人はその無意識の力に抗えるのか? 

KADOKAWA代表取締役専務井上伸一郎に「これは実験的思想小説」と言わしめた異色作。単行本初版発売は2011年。

 「『想定外』の出来事が起きた今だからこそ、この作品は私の魂をこれほどまでに震わせたのだろう」——香山リカ(精神科医)


詳しくはカドカワ電子書籍のポータル「ブックウォーカー」へ!
https://bookwalker.jp/deb7dc243e-926a-4951-a88b-d0d7bae586e3/マアジナル/
# by flammableskirt | 2016-06-21 10:35

「水の巡礼」


不思議満載な旅行記「聖地巡礼」の角川文庫版「水の巡礼」が電子書籍にエントリー。
この機会にぜひ、知られざるパワースポットの旅をごいっしょに。

楽天ブックスはこちら
http://books.rakuten.co.jp/rb/3973340/

booklive!はこちら
https://booklive.jp/search/keyword?keyword=水の巡礼&use_search_box=1


「水の巡礼」紹介

 KADOKAWAの情報誌「ダ・ヴィンチ」に連載された異世界旅行記「聖地巡礼」が角川文庫化に際して改変され「水の巡礼」に。
 二〇〇〇年にベストセラー小説を出版、彗星のごとく文壇にデビューした作家田口ランディが日本の知られざる聖地を巡る。超能力者、シャーマン、占星術師と毎回多彩なゲストが登場。事実は小説より奇なり。完全ノンフィクションの不思議ワールドが展開。節分の前に鬼をお泊めするという天河大弁財天社の儀式「鬼の宿」から始まり、多摩川の水源である水神社から渋谷の地下に広がる暗きょへと水を追う。「水は魂と似ている。水自身は穢れない」
 美しい水を求めて、屋久島の森、富士山と河口湖、青森の怖山、知床、広島、熊本、鹿島神宮、そして日本神話のふるさと出雲大社に秘められた謎へ。どんな願いも叶うというイワクラは実在するのか。田口が作家となるきっかけとなった驚くべき秘密が明らかに。 森豊による美しい旅の写真も満載。土地と人間の意識が接触できる場所を見つける旅。隠れたパワースポット、ミステリースポットのガイドブックとしても最適。


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写真はイメージです。

# by flammableskirt | 2016-06-21 10:05
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 深く静かな人 佐藤初女さんを思う
 田口ランディ


 若い頃からずっと働いている。特に作家になってからは家事や育児を夫にまかせて外に出ていた。
 最も仕事に追われ生活から遠かった時期に、私は佐藤初女さんと出会った。執筆と出張ばかりの日々。でも、それは私にとって「社会的な成功」の証であり、華やかな毎日に満足もしていた。
 それなのに、初女さんにお会いした時、自然の中に暮らし、季節の食材で料理をし、ていねいに生きているその姿にコンプレックスを感じた。
「あんな面倒なことが私に出来るわけがないわ」と、思った。同時に、自分は生活を失っているという、女としての淋しさに気づいた。初女さんの発する輝きに嫉妬すら覚える。しっかり暮らしている人はなんと凛として美しいことだろうか、と。
 まだ若かった私は、暮らすということを見下していた。初女さんはそんな私に「できることからやっていけばいいのよ。なにごとも手抜きをせずに、やさしくそっとね」と、教え諭してくれた。
 初女さんが岩木山の麓に「森のイスキア」を建て、全国から訪ねてくる人たちを受け入れるようになったのは七十歳を過ぎてから。好奇心旺盛の初女さんは八十代から農業に興味をもち、ゆくゆくは酪農もやってみたいと語っていたと聞く。
 亡くなる直前まで、今を生き、前しか見ていなかった。
 初女さんの生き方は徹底していて妥協がなく、手抜きはいっさいしない。悩みを抱えた人が訪ねてきたらご飯を共にし、枕元に電話を置き夜中でも話を聞いた。私は初女さんに「そこまで他者に奉仕して苦しくはないですか?」と、質問をしたことがある。
 クリスチャンの初女さんは「私は、生活が祈りであり信仰だと思っています」と静かに答えた。信仰を持たない私にはそれがどういうことなのか、よくわからなかった。
 交流が十五年を過ぎ、私も五十代半ばを過ぎてようやく、初女さんの教えが腑に落ちてきた。
 ただ、ぼんやりと家事をするのではなく、大根を切るときも、味噌を溶くときも、青菜をゆがくときも、ていねいに集中して行う。そうすることが、頭から悩みや愚痴を追い払い、心を清めてくれる。心がさっぱりしていると、自ずと他者や生き物の姿に目が届くようになり、慈しみや、感謝の心が湧いてくる。体が老いて、若い頃のように働けなくなって、生活の大切さが身にしみてきたのだ。
「そういえば、禅僧の方たちは修行として飯炊きや掃除をしますね。女には修行は必要ありませんね」
 そう言ったら、初女さんは笑っていた。
 おととしの秋に対談をしたときは、足がずいぶんと弱られて車椅子で移動されていた。それでも、講演の演台に立つときはしっかりと自分で歩き、丁寧にお辞儀をなさった。いつもじっと周りに気を配り、訪ねて来た人の手をそっと両手で包み込む。その仕草はほんとうに優しく美しいものだった。どんな時も人を受け入れていく。悲しみに寄り沿う。でも、おせっかいや同情は言わない。寡黙で粘り強い方だった。
「私は我が強くてとても初女さんのようなことはできません」と言うと「私だって同じですよ……」とおっしゃった。
「初女さんにも、我はあるんですか?」
 と、私は思わず聞き返してしまった。それなら私と初女さんの違いはなんだろう。そのとき、気づいた。
「我があろうとなかろうと、どう生きるかは自分が決めているんだわ……」と。
 初女さんは、亡くなる直前まで「覚悟」することを身をもって教えてくれた。今どき、覚悟を教えてくれる人などいるだろうか。諦めても流されても生きていけるのに。
 なにがあろうと自分はこのように生きる。
 しっかりと定めて、そこからブレない。ただそれだけのことを示した初女さんが、たくさんの人たちを勇気づけてきた。行為とは力、姿こそ真実、そう思う。
「私はなにもたいしたことはしていません。生活をしているだけですよ」
 そうかもしれないが、どう生活するかをはっきりと決めて、覚悟をくくって貫いた。人間が一生でできることは限られているけれど、その限られた生を、どこまでも深めることができる。
 初女さんの生き方は、深さという言葉でしか表現できない。暮らすことに深く深く入っていき、いのちの源まで行き着いた方。深く静かな人、それが、佐藤初女さん。

 7月15日に「いのちのエール 佐藤初女さんから娘達へ」の講演会を開催します。
# by flammableskirt | 2016-06-17 12:54
7月15日「いのちのエール」
イベントに寄せて

「私にとっての田口ランディさん」

   森のこもれび 山崎直

田口ランディさんは、私にとって衝撃を与える作家です。
作品との最初の出会いは、「春秋」という冊子に佐藤初女さんのことを書いた短編でした。読んだ時、私はあまりの衝撃で言葉を失いました。

初女さんのことを私は、何も分かっていなかった
…このことを思い知らされたのです。

初女さんは、おむすびの作り方を教えているのではなく、本当に伝えたいことは信仰。でも、なかなか理解されず、おむすびの話になってしまうので、ランディさんにそれを書いてほしいと言われたのです。

信仰とは祈りだと…

私はおむすび講習会を企画し、初女さんのおむすびを結ぶ姿は数え切れないほど見てきたのに、何も分かってなかったのです。

初女さんが大切なことを頼む、田口ランディさんはどんな方だろう…そして、この短い文章の中に初女さんはめったに笑わないと、正直に書いてあったのに驚き、どうしても会ってみたくなったのです。

この日の出会いが、初女さんとの対談に繋がっていきました。

講演会が済んで、出演者と主催者という
私たちの関係も終わるものと思っていましたが、年末に、お約束はしてなかったのですが初女さんが、私たちが来るのを待っているという連絡があったのです。92歳の初女さんを待たせてはいけないと、年が明けて弘前に飛んで行きました。

殆ど交流のなかった作家との旅行…この展開に私は緊張していましたが、
会って程なくランディさんって初女さんと似ていると思ったのは、
どんな人にも分け隔てなく接して下さるということです。
これは、簡単そうでなかなかできないことです。

それと、さり気ない心使いも…直ぐに打ち解け楽しい旅となりました。
初女さんはその時「ぬか床は生物多様性だと思うの。

ランディさんに生物多様性のその先を書いて欲しいの」と言われたのです。
初女さんが一番伝えたいことを託す人、それが田口ランディさんなのです。

私はこの難問の宿題を貰ったランディさんを他人事のように見ていました。

ところが、つい最近

『みんな初女さんを見ているけれど、本当は初女さんの横に立って初女さんと同じものを見つめなければいけないのよね』

というランディさんの言葉に出会い衝撃を受けました。
私は初女さんが見ているものを見ようともしていなかったのです。
ランディさんの本質を突く言葉に立ち止まされ、自分を見つめる私
語りたくても言葉にできなかったものを、ランディさんに託す初女さん

初女さんにとっても、私にとってもランディさんは大切な人です。

このランディさんと共に、初女さんのことをわかち合いたい!という思いで
「いのちのエール 初女おかあさんから娘たちへ」の準備をしています。
心響く集いになることを、心に描きながら…

                山﨑 直



いのちのエールイベント特設ページ
# by flammableskirt | 2016-06-15 16:40
大好きな青森のお母さん、
初女さんのことばをお伝えします。

あなたはとってもとうといの
やさしく、そっと、たいせつにね。


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「いのちのエール」
 
講演:田口ランディ(作家)
「佐藤初女さんから娘たちへ」


映画上映「地球交響曲第2番」
 


2016年7月15日(金)
18時半開場・19時開演  21時終演
定員300名・全席自由 チケット:2,500円
かなっくホール(神奈川区民文化センター)

※京浜東北線・横浜線の東神奈川の駅から1分
 都心からも近いです

アクセスはこちら
facebookでも情報発信中(初女さんのすてきな写真がアップされています)
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講演会「いのちのエール」
開催にあたって

森のこもれび 山﨑 直

今年の2月に佐藤初女(はつめ)さんが亡くなり、動けなくなってしまった自分がいました。
ようやく「元気になりたい!」という思いが立ち上がって来た時に、追悼ではなく、初女さんのことをわかち合う集いをしたいと思ったのです。
もし追悼としたなら、初女さんのことを知らない人は、足が遠のいてしまうでしょう。
佐藤初女さんのことを、全く知らない人たちにも来て欲しいと思ったのです。
そんな時、田口ランディさんの著書『いのちのエール 初女おかあさんから娘たちへ』を読み「初女さんから教えてもらったことを、次の世代の人たちに伝えるために、心のバトンを手渡すような、そんな気持ちで、書きました。」
という一文が目に飛び込んで来て「これだ!!」と思ったのです。
講演会では、初女さんの出演する「地球交響楽第2番(ガイアシンフォニー)」の映像と田口ランディさんのお話で佐藤初女さんの心を感じて頂けたらと思います。
初女さんは「出あいは未来をひらく」と言っていました。この日の出会いが、どんな未来に繋がっていくか楽しみです。
わくわくしながら、皆さんのお越しをお待ちしています。


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プログラム
1. 佐藤初女さん紹介ビデオ(ガイアシンフォニー2番より)
2. 講演:田口ランディ
「いのちのエール・初女おかあさんから娘たちへ」
3. わかち合い
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お申し込み方法
●あらかじめメールまたは電話にて、お名前・ご住所・電話番号・枚数をお知らせ下さい。
電話:046-834-0386(山﨑)
メール:komorebi@sc4.so-net.ne.jp

●予約の確認連絡から10日以内にゆうちょ銀行へお振り込み下さい。
(10日を超える場合は自動的にキャンセルになりますので、改めて予約確認をお願い致し ます)
●お振り込みをもってご予約が確定致します。
●振込用紙の控えはチケットと交換させて頂きますので、当日必ずご持参下さい。 (チケットの郵送はありません)
●託児はありません。車椅子ご利用の方は、事前にお電話でお知らせ下さい
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お振込み先
ゆうちょ銀行 振替口座:00280-6-81909 名称:森のこもれび
振替口座へ銀行からお振込みの場合 支店名:029店 当座 0081909

主催:森のこもれび http://www014.upp.so-net.ne.jp/m-komorebi/ 協賛:ミュージックハーベスト 後援:神奈川県教育委員会、中央公論新社
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田口ランディ(たぐちらんでぃ)
1959 年生まれ・女性・2000 年に処女作「コ ンセント」を出版。大ベストセラーとなる。デビュー当時から佐藤初女さんと交流、初女さんの生き方に感銘を受け数多くのエッセイを執筆。2015年には交流を綴った「いのちのエール 初女おかあさんから娘たちへ」(中央公論新社)を出版 「初女さんとの約束」であった本の出版はお互いの誕生日である10月3日に。翌年、2月に初女さんは逝去。

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(写真は2015年7月 佐藤初女さんと共に)


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イベントに寄せて
『初女さんとの出会い』

田口ランディさんに「すなおさんは、どうしてそんなに初女さんが大好きなの」と聞かれたとき、間髪入れず「初女さんがいなかったら、今の私はいないから」と答えていた自分がいました。
そう、初女さんに出会っていなかったら、あの悲しみと折り合いがつけられずいまだに「なぜ」を繰り返していたかもしれません。
 「元気が取り得!」と言っていた息子が、放課後、友達とリレーをした後で「疲れた」と言って校庭に寝転がり、なぜかそのまま心臓が止まってしまったのです。
何がなんだか分からないまま葬儀を終え、2~3日経ったときに息子の空のお弁当だけが返ってきたのです。
最後に息子が食べたのは、私が作ったおむすびでした。
もっと美味しいものを食べさせたかった。この思いは消えない苦しみとなってさらに私を苦しめていきました。
悲しむことにも疲れ果て、ボロボロになっていた時に、新聞の小さな告知で初女さんの講演会を知り飛んで行きました。初女さん出演の『ガイアシンフォニー2番』を観て泣き崩れてしまいした。
そして、講演で初女さんが「おむすびはソウルフードです」と話されたのです。
その一言で、息子の最後の食べ物が「おむすび」で良かったんだと初めて思えました。帰って直ぐに初女さんに手紙を書きました。すると間もなく「佐藤です」というお電話があり、夢のような思いで初女さんのお声を聴いていました。
森のイスキアに呼んで頂き、息子の写真を長い間見ていた初女さんの頬に一筋の涙が伝わっていくのを見た時、私の抱えて来た悲しみや苦しみはすべて受け止められた。生きていこう!と、思えたのですあれから13年。
講演会を6回やらせて頂き、最後の講演会が田口ランディさんとの対談でした。
ランディさんとの出会いも初女さんが与えてくれたのです。
今年の2月に初女さんが亡くなり、心の中に初女さんの存在と不在を感じながら、ランディさんが語る初女さんを聴きたく、講演会の準備をしています。
「初女さんとの出会いなくして、今の自分はいない」
どんなに歳を重ねても、この思いは色あせないと思います。

森のこもれび 山﨑 直

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いのちのエール」講演会を応援しています。
 エッセイスト 山田スイッチ

2014年11月24日に、佐藤初女さんと田口ランディさんの
講演「深き森の語らい」を聞きに、青森から逗子文化なぎさホールへ出かけた。

初女さんはこの時、たしか92歳だった。
大好きな初女さんと、ランディさんの対談。
どんなことを語られるのかと、のんきにわくわくしていた私は
講演が始まってすぐ、田口ランディさんが初女さんへと朗読された
詩によって、あまりにも深い深い場所へ意識を連れていかれ、
呆然と涙を流していた。

「自分が
 自分が
 そう思って生きて来た
 自分のことばかり考えて
 自分の都合を押しつけて
 何かをしてあげようと思い
 してあげることに夢中になり
 相手の話はよく聞かず
 一を聴いて十を知った気になり
 何かが上手くいかないと
 外側に理由を探し
 苦しいのは自分だけだと感じ
 持っているものの有り難みをわかろうとせず
 ないものばかりの数を数えて
 ああしようこうしようと計算し
 思い通りにならないと
 腹を立てて苦しみ
 苦しいことも全部人のせいにして
 誰かが自分を幸せにしてくれると思い
 叶わぬと嘆いて
 手に入らぬものは あれはすっぱい葡萄だといい
 手に入れたものは たいしたものではないと満足が出来ず
 そういう自分をどうにかできると思い
 自分ではないものに憧れて
 自分が
 自分がと
 自分のことばかりしゃべってきた
 自分のことばかり考えていると
 だんだん苦しくなってどうしようもなくなって
 心が破れそうになった
 そんな時
 初女さんは
 そっと教えてくれました
 言葉を超えてね
 言葉を超えるってどういうことかな
 と思った
 ずっと分からなかった
 言葉はいつもここにある
 私を満たしている
 私は考えで一杯
 でも初女さんの隣にいる時
 しんとする
 初女さんはとても静か
 ああ、なんて静かで深いんだろう
 深い森の中の湖のよう
 ほんとうは静かになりたい
 求めているのは静けさなのに
 心はいつも波だっている
 この静けさに、触れたい
 何も話さなくていい
 ただじっと、この沈黙の中にいたい
 沈黙の中にある 無音に耳を澄ます
 こんなに豊かな静寂が
 言葉と言葉の間に満ちている
 すると、はるか遠くから
 私を呼ぶ声がする
 呼ばれた時
 やっと私はここにいると気づいた
 呼ばれている
 空の果てから美しい鐘の音に
 なんだ、私はあの音に
 ずっと呼ばれていたんだ」
 
田口ランディ「いのちのエール 初女おかあさんから娘たちへ」
(中央公論新 社)より

詩が朗読されて、一瞬のうちに
会場の空気が変わった。
誰もが、自分の深い場所へと連れていかれ、
自分の心と呼応していた。

朗読を聞き、初女さんが
「まあ有難うございました。何と申し上げてよいのか。胸がいっぱいになりまし た……」とおっしゃって。初女さんとランディさんは、本当に一つ一つ の気持ち を、正確に伝えようと丁寧に、お話をされて。どんな深く抽象的なことにも、明 瞭に答える初女さんは、本当に年齢を感じさせなかった。

たくさん涙を流した講演の後、
楽屋でお休みになっていた初女さんのお姿を見て、お声をかけられなかった。
初女さんは来場者の方のすべての質問にランディさんと答え、講演時間は長かった。
あれほどがんばった初女さんに、これ以上の気遣いをさせたくなくて。
心の中に「行っちゃダメ」という声が響いた。

この変な気持ちを帰り道、細々とランディさんにお伝えすると
「みんな、初女さんを見ているけど、
本当は、初女さんの横に立って、初女さんと同じものを見つめなければいけない のよね」と、おっしゃってくれた。
初女さんの観ている世界。そこに、少しずつ近づいていきたい。

この講演会が、「森のこもれび」を主宰する
山﨑直さんという、普通の主婦の方が企画し、運営したと聞いて
私は驚いた。
大きなホールに人をこれほど呼ぶには、大変な苦労があったはずだ。

そして初女さんは、直さんが一つの講演会を成功させると、
「次はこんなことをしましょう」と、新たなお題を出されたという。

初女さんが最期に出されたご著書『いのちをむすぶ』(集英社)
では、こんなことが語られていた。

動く……

「悩んでいる人も
本当はどうすればいいかわかっています。
私は、本人が気づくのを見守るだけ。
自分で納得して答えが出せた人は
すぐに行動に移ります。
まわりが驚くほどに
あっさりと変わっていきますよ。

過去にとらわれると
後悔だけになってしまいます。
「過去は終わりました。
また新しく進んでいきます」
と考えてください。
お水もじっととどまっていると
くさってしまうでしょ。
心もまたおなじで
動くことによって生かされるのです。」

初女さんからの、メッセージだと思った。
同じところにとどまらず、動いていきなさいと。
「さあ、動いていきなさい」と。
 
私たちは、初女さんの教えを守って
動いていこうと思う。
ランディさんから語られる初女さんの言葉!
楽しみです。

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(弘前「森のイスキア」にて 山崎直さんと山田スイッチさん)

みなさんのご参加をスタッフ一同楽しみにしています(このイベントは営利目的ではありません。収益が出た場合は森のイスキア、森のこもれびの活動に寄付されます)。
# by flammableskirt | 2016-06-08 19:08
6月4日のアートワークショップは大盛況、アーティストの中津川浩章さんご夫妻も参加してくれて、絵画ワークと工作ワーク、思いっきり楽しみました。芸術は爆発だー!臨床心理士の中谷恭子先生も参加。発見と驚きの一日でした。参加してくださったみなさんありがとう。兵庫県から来てくれた親子さん、本日の講演でもお会いしましょう。よろしくお願いします。
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毎年6月に、湯河原で中谷恭子さんの講演会を企画している。中谷さんとは20年来の友人。亡くなった精神科医安克昌さんを偲ぶ会で出会い、彼女の精神医療への取り組みにめっちゃ共感。「す、すごい、この人と絶対に友だちになりたい!」と思った。

今回も、恭子ちゃんに2泊、我が家に泊まってもらい一緒に過ごした。そして、彼女の人間観察力、集中力の高さに圧倒された……。半日のワークショップに参加してもらったのだけれど、その間にどれくらい人間を観ているか。私だって観察力はあるほう、なんて思っていたのだけれど、激しいショックと驚き。人間に対する興味がケタ違いであることを痛感。ああ、なんて何も見ていないんだ!と、清々しいような敗北感。

「神経は小指の側から発達していくから、親指とひと指し指がうまく使えない子は言葉の発達も遅い。あの子は手先が不器用だったから言葉は単語くらいしか理解していない」とか、「漢字を鏡文字で書いていた」「周りを気にしてアンテナが立っていてよけいな情報を拾いがち」「裂けるチーズの感触は自分の口の大きさに合せられるので安心する」などなど、目からウロコのすさまじい発言を繰り返し、どの指摘も的確。

恭子ちゃんは人間が好きなんだ。人間に見惚れているんだなあ……と、今回、一緒にワークショップをやってみてつくづく思った。これからはもっと恭子ちゃんと一緒にワークをやりたい。友だちだから二人で過ごす時はダラダラ飲んでばかりいて、彼女の人間観察力を私が観察できていなかった。ほんとうにすごい人なんだと、自分の友だちの魅力を再発見。ますます恭子ちゃんを好きになったし、「この人はすごい!」と最初に思った私の直感は正しかったんだ。

もっとこの人のスキルをいろんな人に知らせたいなあ。彼女と一緒に仕事ができる若い人たちは幸せだ。こんな観察力、身近に感じることができるなんて、最高にクリエイティブ。観察力や注意力がまだ自分はこの程度か、と思えて幸せ。また明日から、初心に戻ってスタニスラフスキーのメソッドに取り組もう。がぜん、楽しくなってきた。優れた人と一緒に過ごす時間は素晴らしいね。

中津川浩章さんと一緒にワークショップが出来たことも、刺激的だった。あ、他の人はこんなふうにワークするのか、こういう課題を与えるのか。こう考えるのか。一つ一つが新鮮で、次はこうしてみようああしてみようと、どんどんアイデアがわいてきて、次の8月の子どもたちとのワークショップが待ち遠しくなってきた。

自分とは違うジャンルの人たちと共同でなにかをするのは、刺激的で、わくわくして、たまらなく楽しい。発見ばかり。こんなにいろんなことを教えてもらってありがたい。やっぱり人間こそ最上級のメディアで、人間からじかに学べることはいくつになっても無限にあり、学ぶ喜びは尽きることなく、生まれてきてよかったなーとしみじみ。みんなの力を借りてじぶんが学んでいるんだなあ。ありがたいなあ。

兵庫県から泊まりがけでやってきてワークショップと講演会に参加してくれたJYOさん。「楽しかった、サイコーでした!」とほんとうに感激してくれた様子。「また会いましょうね!」とお別れするとき、あれ、ずいぶんと身軽に去っていくなあ……と思ったのだけれど、後から置き去りにされたリュックを発見。これはJYOさんのでは? と思って連絡をすると、やっぱり荷物を持たずにもう駅まで行ってしまったとか。リュックを置きわすれるほど楽しんでくれたのか!と思うとうれしい。取りに戻って大変だったね。JYOさんは、私に「君は兵庫の山田スイッチだ!」と言われてきょとんとしていたけれど、友人のスイッチさんと似てるんだよ。だから、いつかスイッチさんと会わせたい。ぜったいに気が合うはず……、そう思っていたら、名前も聡子で一緒だった!これはもう出会うしかないね!

今回のワークショップで、中谷さんや、中津川さんと一緒にワークをして、興味があるから観察する。興味や関心って愛なんだ、と実感。人間が好きで、愛情をもっているから興味が生まれて、それで魅入ってしまう。やっぱり愛なんだよ、観察って。エゴじゃなくて、純粋な興味。マザー・テレサが「愛の反対は無関心」……のようなことを言ったと聞いたことがあるけれど、関心が愛だということを納得すると、マザーの言葉の意味が立体的になるなあって思った。実感をともなわない言葉や文章は平べったいけれど、言葉がいきなり立体になって手触りを感じる瞬間があって、そういうとき、なんかすごくしあわせだ。

すてきな二日間でした。みなさん、ありがとう!

田口ランディ
# by flammableskirt | 2016-06-05 11:46