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by flammableskirt
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熊本県の津奈木美術館で、いま福島をテーマにしたアート作品の展示を行っています。この「福島県立博物館/はま・なか・あいづ文化連携プロジェクト」は、博物館、美術館という枠を超えて、福島を紡いでいく試みです。アール・ブリュットが作業所と美術館という枠をとっぱらい、美術と福祉が連携して広がったように、人間の創造的な活動は区分けができるものではなく、連携して、多様化していくほうが、みんなにとって楽しく生きやすい社会になると思います。医療や介護も、もっと交じり合ったほうがずっと便利なのに、人間にとっての快適よりも、別のものが優先されがち。でも、少しずつ溶け合っていっているし、ボーダレスは加速していると感じます。その過程で摩擦が起こるかもしれないけれど、拮抗しながら、力は流動的に変化していくんだよな、って世界を見ていて思うんです。

今回は福島と水俣の出会い。大津で福島智さんと「やまゆり園」のお話をして、水俣に移動し、原発事故と水俣病の話題になったわけですが、この三つの点がわたしのなかでは分け難くつながっていました。ただ、どうつながっているのかをことばで説明するとなると、まるっきり説得力を持たなくなってしまうんですよね。福島も水俣もわたしにとっては懐かしい友達がいる場所です。もし友達がいなかったら、再びは行かなかったろうし、繋がりも切れていたと思います。友人を通してなにかを感じとっている。それは広島でもそうなんですね。とっても具体的な人との関係を通して土地と繋がっています。わたしは、ただの人だから、そのような繋がり方しかできないんです。なにかの専門家でもないし、なにか主義主張があるわけでもないからね。ですから、ただ話を聞いて、聞いて、聞いて、いろんな角度からいろんな立場の人の話を総合して、ぼやーっとしていることしかできないんです。こういう立ち位置は中途半端で、まったく役立たずなんですが、それこそがわたしなんだなあと思います。立場がないんです、わたしは。あえていえば、遠縁のオバサンが遊びに来たみたいな感じですよね。

今回は福島県立博物館の赤坂憲雄館長が対談のお相手で、緊張しました。ずーっと福島に関わっている、東北学を背負っている赤坂さんです。赤坂さんは、福島に近い分だけ切実です。その切実さはわたしとは全く違うから、話が噛みあわないんですが、でも、噛みあわなくていいか、と無理をして噛み合わせなかった。そのズレこそ、大事な気がしたから。人と人って、たいがいズレているものなんです。ズレていないとしたら、嘘をつきあっているような気がします。ズレてるから、面白いし、面白いから興味をもつし、お互いを照らし合うんだと思える。

会場には天草の宮崎忠國さんや、現在は水俣病の語り部の会の会長さんになっている緒方正実さんが聞きに来てくださって、ほんとうに懐かしい友人に囲まれて、うるうるしてしまいました。みなさん一人ひとりとゆっくりご挨拶したり、お話したり、ができないことが、残念だった。申し訳ない気持ちでいっぱいになりました。本の読者の方も来てくださって、ありがたくてたまらないけれど、ありがとうとしか表現できない。
じっくりと時間をとってお会いすることがどんなに大事かよくわかります。人生のなかで出会う人はとても限られていて、一緒に過ごせる人はわずかなんです。多くの人とは、ほんのわずかな時間しか共有できない。だから、会える人とはできる限りお会いしたいし、お会いするときは思い切りどっぷり時間を共有したいと思うので、いつも写真を撮るのを失念してしまいます。この日はかなりがんばって撮りました。みなさん、ほんとうにありがとうございます。

そして、今年もやります。東京慰霊祭。無料コンサート!
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by flammableskirt | 2017-02-18 12:06 | イベントのご案内