田口ランディ Official Blog runday.exblog.jp

作家 田口ランディの新刊・イベント情報・近況をお知らせします。 


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「ふきのとうの歌」

佐藤初女さんのことを歌にしたいな、と思って詩を書きました。
初女さんと同じ弘前在住のシンガーソングライター、koyomiさんが曲をつけて歌ってくれました。
写真は初女さんと縁のある写真家の方たちが提供してくれました。

写真を曲に合せて編集するのは大好きだから、夢中になってもう夕方。
やっと完成。一日かかった。でも、そのあいだずっと初女さんと一緒にいた気持ち。
いろんな人にあったかーいイスキアの雰囲気が伝わるといいな。
それだけでも元気になる人もいるかも。
そんなことを思いながら。

楽しんでいただけたらうれしいです。






7月15日のイベント残席わずか。詳細はこちらです。
https://peraichi.com/landing_pages/view/mavv8
by flammableskirt | 2016-06-30 17:43
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「マアジナル」


「6人のうちいったい誰がUFOを見たのか」

KADOKAWAの文芸誌「野生時代」に連載された長編小説。角川文庫化版が電子書籍に。UFOを目撃した6人の少年少女の異世界体験を描くSF的な作品。大人になったガンダム世代は何を夢見るか。

著者は本作品を執筆前に石川県羽咋市在住の僧侶でありUFOの研究家でもある高野誠鮮氏から、石川県においてUFOの目撃例が非常に多いことを聞く。高野氏はUFOで羽咋市を地域活性化したことでも有名。UFOの国際会議も開催したUFO研究の第一人者。高野氏の全面取材協力のもと、UFO遭遇者と接触。取材を始めると予想外に多いUFO遭遇者に驚くと同時に、人間の意識とUFOが関連していることを知る。

文明が侵食していない古い土地には、人間の潜在意識をひらく「夢みる力」が残っている。中学時代に遊び半分でUFOを呼んだ6人の少年少女。そのうちの一人の少女が失踪して行方不明に。遺された5人も数奇な人生を歩むことに。再びそれぞれの人生が重なったとき少女が転生しUFOが現われる……。

UFOの存在は人間の潜在意識を揺さぶる。特殊な変成意識体験は若者の心にどんな影響を与えるのか。この現実は真実なのかそれとも幻……? カント哲学から量子論へ。冥王星の発見者パーシヴァル・ローエルの意識が時空を超えて現代と繋がり合う。見えないものが見えたとき、人はその無意識の力に抗えるのか? 

KADOKAWA代表取締役専務井上伸一郎に「これは実験的思想小説」と言わしめた異色作。単行本初版発売は2011年。

 「『想定外』の出来事が起きた今だからこそ、この作品は私の魂をこれほどまでに震わせたのだろう」——香山リカ(精神科医)


詳しくはカドカワ電子書籍のポータル「ブックウォーカー」へ!
https://bookwalker.jp/deb7dc243e-926a-4951-a88b-d0d7bae586e3/マアジナル/
by flammableskirt | 2016-06-21 10:35

「水の巡礼」


不思議満載な旅行記「聖地巡礼」の角川文庫版「水の巡礼」が電子書籍にエントリー。
この機会にぜひ、知られざるパワースポットの旅をごいっしょに。

楽天ブックスはこちら
http://books.rakuten.co.jp/rb/3973340/

booklive!はこちら
https://booklive.jp/search/keyword?keyword=水の巡礼&use_search_box=1


「水の巡礼」紹介

 KADOKAWAの情報誌「ダ・ヴィンチ」に連載された異世界旅行記「聖地巡礼」が角川文庫化に際して改変され「水の巡礼」に。
 二〇〇〇年にベストセラー小説を出版、彗星のごとく文壇にデビューした作家田口ランディが日本の知られざる聖地を巡る。超能力者、シャーマン、占星術師と毎回多彩なゲストが登場。事実は小説より奇なり。完全ノンフィクションの不思議ワールドが展開。節分の前に鬼をお泊めするという天河大弁財天社の儀式「鬼の宿」から始まり、多摩川の水源である水神社から渋谷の地下に広がる暗きょへと水を追う。「水は魂と似ている。水自身は穢れない」
 美しい水を求めて、屋久島の森、富士山と河口湖、青森の怖山、知床、広島、熊本、鹿島神宮、そして日本神話のふるさと出雲大社に秘められた謎へ。どんな願いも叶うというイワクラは実在するのか。田口が作家となるきっかけとなった驚くべき秘密が明らかに。 森豊による美しい旅の写真も満載。土地と人間の意識が接触できる場所を見つける旅。隠れたパワースポット、ミステリースポットのガイドブックとしても最適。


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写真はイメージです。

by flammableskirt | 2016-06-21 10:05
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 深く静かな人 佐藤初女さんを思う
 田口ランディ


 若い頃からずっと働いている。特に作家になってからは家事や育児を夫にまかせて外に出ていた。
 最も仕事に追われ生活から遠かった時期に、私は佐藤初女さんと出会った。執筆と出張ばかりの日々。でも、それは私にとって「社会的な成功」の証であり、華やかな毎日に満足もしていた。
 それなのに、初女さんにお会いした時、自然の中に暮らし、季節の食材で料理をし、ていねいに生きているその姿にコンプレックスを感じた。
「あんな面倒なことが私に出来るわけがないわ」と、思った。同時に、自分は生活を失っているという、女としての淋しさに気づいた。初女さんの発する輝きに嫉妬すら覚える。しっかり暮らしている人はなんと凛として美しいことだろうか、と。
 まだ若かった私は、暮らすということを見下していた。初女さんはそんな私に「できることからやっていけばいいのよ。なにごとも手抜きをせずに、やさしくそっとね」と、教え諭してくれた。
 初女さんが岩木山の麓に「森のイスキア」を建て、全国から訪ねてくる人たちを受け入れるようになったのは七十歳を過ぎてから。好奇心旺盛の初女さんは八十代から農業に興味をもち、ゆくゆくは酪農もやってみたいと語っていたと聞く。
 亡くなる直前まで、今を生き、前しか見ていなかった。
 初女さんの生き方は徹底していて妥協がなく、手抜きはいっさいしない。悩みを抱えた人が訪ねてきたらご飯を共にし、枕元に電話を置き夜中でも話を聞いた。私は初女さんに「そこまで他者に奉仕して苦しくはないですか?」と、質問をしたことがある。
 クリスチャンの初女さんは「私は、生活が祈りであり信仰だと思っています」と静かに答えた。信仰を持たない私にはそれがどういうことなのか、よくわからなかった。
 交流が十五年を過ぎ、私も五十代半ばを過ぎてようやく、初女さんの教えが腑に落ちてきた。
 ただ、ぼんやりと家事をするのではなく、大根を切るときも、味噌を溶くときも、青菜をゆがくときも、ていねいに集中して行う。そうすることが、頭から悩みや愚痴を追い払い、心を清めてくれる。心がさっぱりしていると、自ずと他者や生き物の姿に目が届くようになり、慈しみや、感謝の心が湧いてくる。体が老いて、若い頃のように働けなくなって、生活の大切さが身にしみてきたのだ。
「そういえば、禅僧の方たちは修行として飯炊きや掃除をしますね。女には修行は必要ありませんね」
 そう言ったら、初女さんは笑っていた。
 おととしの秋に対談をしたときは、足がずいぶんと弱られて車椅子で移動されていた。それでも、講演の演台に立つときはしっかりと自分で歩き、丁寧にお辞儀をなさった。いつもじっと周りに気を配り、訪ねて来た人の手をそっと両手で包み込む。その仕草はほんとうに優しく美しいものだった。どんな時も人を受け入れていく。悲しみに寄り沿う。でも、おせっかいや同情は言わない。寡黙で粘り強い方だった。
「私は我が強くてとても初女さんのようなことはできません」と言うと「私だって同じですよ……」とおっしゃった。
「初女さんにも、我はあるんですか?」
 と、私は思わず聞き返してしまった。それなら私と初女さんの違いはなんだろう。そのとき、気づいた。
「我があろうとなかろうと、どう生きるかは自分が決めているんだわ……」と。
 初女さんは、亡くなる直前まで「覚悟」することを身をもって教えてくれた。今どき、覚悟を教えてくれる人などいるだろうか。諦めても流されても生きていけるのに。
 なにがあろうと自分はこのように生きる。
 しっかりと定めて、そこからブレない。ただそれだけのことを示した初女さんが、たくさんの人たちを勇気づけてきた。行為とは力、姿こそ真実、そう思う。
「私はなにもたいしたことはしていません。生活をしているだけですよ」
 そうかもしれないが、どう生活するかをはっきりと決めて、覚悟をくくって貫いた。人間が一生でできることは限られているけれど、その限られた生を、どこまでも深めることができる。
 初女さんの生き方は、深さという言葉でしか表現できない。暮らすことに深く深く入っていき、いのちの源まで行き着いた方。深く静かな人、それが、佐藤初女さん。

 7月15日に「いのちのエール 佐藤初女さんから娘達へ」の講演会を開催します。
by flammableskirt | 2016-06-17 12:54
7月15日「いのちのエール」
イベントに寄せて

「私にとっての田口ランディさん」

   森のこもれび 山崎直

田口ランディさんは、私にとって衝撃を与える作家です。
作品との最初の出会いは、「春秋」という冊子に佐藤初女さんのことを書いた短編でした。読んだ時、私はあまりの衝撃で言葉を失いました。

初女さんのことを私は、何も分かっていなかった
…このことを思い知らされたのです。

初女さんは、おむすびの作り方を教えているのではなく、本当に伝えたいことは信仰。でも、なかなか理解されず、おむすびの話になってしまうので、ランディさんにそれを書いてほしいと言われたのです。

信仰とは祈りだと…

私はおむすび講習会を企画し、初女さんのおむすびを結ぶ姿は数え切れないほど見てきたのに、何も分かってなかったのです。

初女さんが大切なことを頼む、田口ランディさんはどんな方だろう…そして、この短い文章の中に初女さんはめったに笑わないと、正直に書いてあったのに驚き、どうしても会ってみたくなったのです。

この日の出会いが、初女さんとの対談に繋がっていきました。

講演会が済んで、出演者と主催者という
私たちの関係も終わるものと思っていましたが、年末に、お約束はしてなかったのですが初女さんが、私たちが来るのを待っているという連絡があったのです。92歳の初女さんを待たせてはいけないと、年が明けて弘前に飛んで行きました。

殆ど交流のなかった作家との旅行…この展開に私は緊張していましたが、
会って程なくランディさんって初女さんと似ていると思ったのは、
どんな人にも分け隔てなく接して下さるということです。
これは、簡単そうでなかなかできないことです。

それと、さり気ない心使いも…直ぐに打ち解け楽しい旅となりました。
初女さんはその時「ぬか床は生物多様性だと思うの。

ランディさんに生物多様性のその先を書いて欲しいの」と言われたのです。
初女さんが一番伝えたいことを託す人、それが田口ランディさんなのです。

私はこの難問の宿題を貰ったランディさんを他人事のように見ていました。

ところが、つい最近

『みんな初女さんを見ているけれど、本当は初女さんの横に立って初女さんと同じものを見つめなければいけないのよね』

というランディさんの言葉に出会い衝撃を受けました。
私は初女さんが見ているものを見ようともしていなかったのです。
ランディさんの本質を突く言葉に立ち止まされ、自分を見つめる私
語りたくても言葉にできなかったものを、ランディさんに託す初女さん

初女さんにとっても、私にとってもランディさんは大切な人です。

このランディさんと共に、初女さんのことをわかち合いたい!という思いで
「いのちのエール 初女おかあさんから娘たちへ」の準備をしています。
心響く集いになることを、心に描きながら…

                山﨑 直



いのちのエールイベント特設ページ
by flammableskirt | 2016-06-15 16:40
大好きな青森のお母さん、
初女さんのことばをお伝えします。

あなたはとってもとうといの
やさしく、そっと、たいせつにね。


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「いのちのエール」
 
講演:田口ランディ(作家)
「佐藤初女さんから娘たちへ」


映画上映「地球交響曲第2番」
 


2016年7月15日(金)
18時半開場・19時開演  21時終演
定員300名・全席自由 チケット:2,500円
かなっくホール(神奈川区民文化センター)

※京浜東北線・横浜線の東神奈川の駅から1分
 都心からも近いです

アクセスはこちら
facebookでも情報発信中(初女さんのすてきな写真がアップされています)
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講演会「いのちのエール」
開催にあたって

森のこもれび 山﨑 直

今年の2月に佐藤初女(はつめ)さんが亡くなり、動けなくなってしまった自分がいました。
ようやく「元気になりたい!」という思いが立ち上がって来た時に、追悼ではなく、初女さんのことをわかち合う集いをしたいと思ったのです。
もし追悼としたなら、初女さんのことを知らない人は、足が遠のいてしまうでしょう。
佐藤初女さんのことを、全く知らない人たちにも来て欲しいと思ったのです。
そんな時、田口ランディさんの著書『いのちのエール 初女おかあさんから娘たちへ』を読み「初女さんから教えてもらったことを、次の世代の人たちに伝えるために、心のバトンを手渡すような、そんな気持ちで、書きました。」
という一文が目に飛び込んで来て「これだ!!」と思ったのです。
講演会では、初女さんの出演する「地球交響楽第2番(ガイアシンフォニー)」の映像と田口ランディさんのお話で佐藤初女さんの心を感じて頂けたらと思います。
初女さんは「出あいは未来をひらく」と言っていました。この日の出会いが、どんな未来に繋がっていくか楽しみです。
わくわくしながら、皆さんのお越しをお待ちしています。


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プログラム
1. 佐藤初女さん紹介ビデオ(ガイアシンフォニー2番より)
2. 講演:田口ランディ
「いのちのエール・初女おかあさんから娘たちへ」
3. わかち合い
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お申し込み方法
●あらかじめメールまたは電話にて、お名前・ご住所・電話番号・枚数をお知らせ下さい。
電話:046-834-0386(山﨑)
メール:komorebi@sc4.so-net.ne.jp

●予約の確認連絡から10日以内にゆうちょ銀行へお振り込み下さい。
(10日を超える場合は自動的にキャンセルになりますので、改めて予約確認をお願い致し ます)
●お振り込みをもってご予約が確定致します。
●振込用紙の控えはチケットと交換させて頂きますので、当日必ずご持参下さい。 (チケットの郵送はありません)
●託児はありません。車椅子ご利用の方は、事前にお電話でお知らせ下さい
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お振込み先
ゆうちょ銀行 振替口座:00280-6-81909 名称:森のこもれび
振替口座へ銀行からお振込みの場合 支店名:029店 当座 0081909

主催:森のこもれび http://www014.upp.so-net.ne.jp/m-komorebi/ 協賛:ミュージックハーベスト 後援:神奈川県教育委員会、中央公論新社
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田口ランディ(たぐちらんでぃ)
1959 年生まれ・女性・2000 年に処女作「コ ンセント」を出版。大ベストセラーとなる。デビュー当時から佐藤初女さんと交流、初女さんの生き方に感銘を受け数多くのエッセイを執筆。2015年には交流を綴った「いのちのエール 初女おかあさんから娘たちへ」(中央公論新社)を出版 「初女さんとの約束」であった本の出版はお互いの誕生日である10月3日に。翌年、2月に初女さんは逝去。

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(写真は2015年7月 佐藤初女さんと共に)


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イベントに寄せて
『初女さんとの出会い』

田口ランディさんに「すなおさんは、どうしてそんなに初女さんが大好きなの」と聞かれたとき、間髪入れず「初女さんがいなかったら、今の私はいないから」と答えていた自分がいました。
そう、初女さんに出会っていなかったら、あの悲しみと折り合いがつけられずいまだに「なぜ」を繰り返していたかもしれません。
 「元気が取り得!」と言っていた息子が、放課後、友達とリレーをした後で「疲れた」と言って校庭に寝転がり、なぜかそのまま心臓が止まってしまったのです。
何がなんだか分からないまま葬儀を終え、2~3日経ったときに息子の空のお弁当だけが返ってきたのです。
最後に息子が食べたのは、私が作ったおむすびでした。
もっと美味しいものを食べさせたかった。この思いは消えない苦しみとなってさらに私を苦しめていきました。
悲しむことにも疲れ果て、ボロボロになっていた時に、新聞の小さな告知で初女さんの講演会を知り飛んで行きました。初女さん出演の『ガイアシンフォニー2番』を観て泣き崩れてしまいした。
そして、講演で初女さんが「おむすびはソウルフードです」と話されたのです。
その一言で、息子の最後の食べ物が「おむすび」で良かったんだと初めて思えました。帰って直ぐに初女さんに手紙を書きました。すると間もなく「佐藤です」というお電話があり、夢のような思いで初女さんのお声を聴いていました。
森のイスキアに呼んで頂き、息子の写真を長い間見ていた初女さんの頬に一筋の涙が伝わっていくのを見た時、私の抱えて来た悲しみや苦しみはすべて受け止められた。生きていこう!と、思えたのですあれから13年。
講演会を6回やらせて頂き、最後の講演会が田口ランディさんとの対談でした。
ランディさんとの出会いも初女さんが与えてくれたのです。
今年の2月に初女さんが亡くなり、心の中に初女さんの存在と不在を感じながら、ランディさんが語る初女さんを聴きたく、講演会の準備をしています。
「初女さんとの出会いなくして、今の自分はいない」
どんなに歳を重ねても、この思いは色あせないと思います。

森のこもれび 山﨑 直

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いのちのエール」講演会を応援しています。
 エッセイスト 山田スイッチ

2014年11月24日に、佐藤初女さんと田口ランディさんの
講演「深き森の語らい」を聞きに、青森から逗子文化なぎさホールへ出かけた。

初女さんはこの時、たしか92歳だった。
大好きな初女さんと、ランディさんの対談。
どんなことを語られるのかと、のんきにわくわくしていた私は
講演が始まってすぐ、田口ランディさんが初女さんへと朗読された
詩によって、あまりにも深い深い場所へ意識を連れていかれ、
呆然と涙を流していた。

「自分が
 自分が
 そう思って生きて来た
 自分のことばかり考えて
 自分の都合を押しつけて
 何かをしてあげようと思い
 してあげることに夢中になり
 相手の話はよく聞かず
 一を聴いて十を知った気になり
 何かが上手くいかないと
 外側に理由を探し
 苦しいのは自分だけだと感じ
 持っているものの有り難みをわかろうとせず
 ないものばかりの数を数えて
 ああしようこうしようと計算し
 思い通りにならないと
 腹を立てて苦しみ
 苦しいことも全部人のせいにして
 誰かが自分を幸せにしてくれると思い
 叶わぬと嘆いて
 手に入らぬものは あれはすっぱい葡萄だといい
 手に入れたものは たいしたものではないと満足が出来ず
 そういう自分をどうにかできると思い
 自分ではないものに憧れて
 自分が
 自分がと
 自分のことばかりしゃべってきた
 自分のことばかり考えていると
 だんだん苦しくなってどうしようもなくなって
 心が破れそうになった
 そんな時
 初女さんは
 そっと教えてくれました
 言葉を超えてね
 言葉を超えるってどういうことかな
 と思った
 ずっと分からなかった
 言葉はいつもここにある
 私を満たしている
 私は考えで一杯
 でも初女さんの隣にいる時
 しんとする
 初女さんはとても静か
 ああ、なんて静かで深いんだろう
 深い森の中の湖のよう
 ほんとうは静かになりたい
 求めているのは静けさなのに
 心はいつも波だっている
 この静けさに、触れたい
 何も話さなくていい
 ただじっと、この沈黙の中にいたい
 沈黙の中にある 無音に耳を澄ます
 こんなに豊かな静寂が
 言葉と言葉の間に満ちている
 すると、はるか遠くから
 私を呼ぶ声がする
 呼ばれた時
 やっと私はここにいると気づいた
 呼ばれている
 空の果てから美しい鐘の音に
 なんだ、私はあの音に
 ずっと呼ばれていたんだ」
 
田口ランディ「いのちのエール 初女おかあさんから娘たちへ」
(中央公論新 社)より

詩が朗読されて、一瞬のうちに
会場の空気が変わった。
誰もが、自分の深い場所へと連れていかれ、
自分の心と呼応していた。

朗読を聞き、初女さんが
「まあ有難うございました。何と申し上げてよいのか。胸がいっぱいになりまし た……」とおっしゃって。初女さんとランディさんは、本当に一つ一つ の気持ち を、正確に伝えようと丁寧に、お話をされて。どんな深く抽象的なことにも、明 瞭に答える初女さんは、本当に年齢を感じさせなかった。

たくさん涙を流した講演の後、
楽屋でお休みになっていた初女さんのお姿を見て、お声をかけられなかった。
初女さんは来場者の方のすべての質問にランディさんと答え、講演時間は長かった。
あれほどがんばった初女さんに、これ以上の気遣いをさせたくなくて。
心の中に「行っちゃダメ」という声が響いた。

この変な気持ちを帰り道、細々とランディさんにお伝えすると
「みんな、初女さんを見ているけど、
本当は、初女さんの横に立って、初女さんと同じものを見つめなければいけない のよね」と、おっしゃってくれた。
初女さんの観ている世界。そこに、少しずつ近づいていきたい。

この講演会が、「森のこもれび」を主宰する
山﨑直さんという、普通の主婦の方が企画し、運営したと聞いて
私は驚いた。
大きなホールに人をこれほど呼ぶには、大変な苦労があったはずだ。

そして初女さんは、直さんが一つの講演会を成功させると、
「次はこんなことをしましょう」と、新たなお題を出されたという。

初女さんが最期に出されたご著書『いのちをむすぶ』(集英社)
では、こんなことが語られていた。

動く……

「悩んでいる人も
本当はどうすればいいかわかっています。
私は、本人が気づくのを見守るだけ。
自分で納得して答えが出せた人は
すぐに行動に移ります。
まわりが驚くほどに
あっさりと変わっていきますよ。

過去にとらわれると
後悔だけになってしまいます。
「過去は終わりました。
また新しく進んでいきます」
と考えてください。
お水もじっととどまっていると
くさってしまうでしょ。
心もまたおなじで
動くことによって生かされるのです。」

初女さんからの、メッセージだと思った。
同じところにとどまらず、動いていきなさいと。
「さあ、動いていきなさい」と。
 
私たちは、初女さんの教えを守って
動いていこうと思う。
ランディさんから語られる初女さんの言葉!
楽しみです。

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(弘前「森のイスキア」にて 山崎直さんと山田スイッチさん)

みなさんのご参加をスタッフ一同楽しみにしています(このイベントは営利目的ではありません。収益が出た場合は森のイスキア、森のこもれびの活動に寄付されます)。
by flammableskirt | 2016-06-08 19:08
6月4日のアートワークショップは大盛況、アーティストの中津川浩章さんご夫妻も参加してくれて、絵画ワークと工作ワーク、思いっきり楽しみました。芸術は爆発だー!臨床心理士の中谷恭子先生も参加。発見と驚きの一日でした。参加してくださったみなさんありがとう。兵庫県から来てくれた親子さん、本日の講演でもお会いしましょう。よろしくお願いします。
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毎年6月に、湯河原で中谷恭子さんの講演会を企画している。中谷さんとは20年来の友人。亡くなった精神科医安克昌さんを偲ぶ会で出会い、彼女の精神医療への取り組みにめっちゃ共感。「す、すごい、この人と絶対に友だちになりたい!」と思った。

今回も、恭子ちゃんに2泊、我が家に泊まってもらい一緒に過ごした。そして、彼女の人間観察力、集中力の高さに圧倒された……。半日のワークショップに参加してもらったのだけれど、その間にどれくらい人間を観ているか。私だって観察力はあるほう、なんて思っていたのだけれど、激しいショックと驚き。人間に対する興味がケタ違いであることを痛感。ああ、なんて何も見ていないんだ!と、清々しいような敗北感。

「神経は小指の側から発達していくから、親指とひと指し指がうまく使えない子は言葉の発達も遅い。あの子は手先が不器用だったから言葉は単語くらいしか理解していない」とか、「漢字を鏡文字で書いていた」「周りを気にしてアンテナが立っていてよけいな情報を拾いがち」「裂けるチーズの感触は自分の口の大きさに合せられるので安心する」などなど、目からウロコのすさまじい発言を繰り返し、どの指摘も的確。

恭子ちゃんは人間が好きなんだ。人間に見惚れているんだなあ……と、今回、一緒にワークショップをやってみてつくづく思った。これからはもっと恭子ちゃんと一緒にワークをやりたい。友だちだから二人で過ごす時はダラダラ飲んでばかりいて、彼女の人間観察力を私が観察できていなかった。ほんとうにすごい人なんだと、自分の友だちの魅力を再発見。ますます恭子ちゃんを好きになったし、「この人はすごい!」と最初に思った私の直感は正しかったんだ。

もっとこの人のスキルをいろんな人に知らせたいなあ。彼女と一緒に仕事ができる若い人たちは幸せだ。こんな観察力、身近に感じることができるなんて、最高にクリエイティブ。観察力や注意力がまだ自分はこの程度か、と思えて幸せ。また明日から、初心に戻ってスタニスラフスキーのメソッドに取り組もう。がぜん、楽しくなってきた。優れた人と一緒に過ごす時間は素晴らしいね。

中津川浩章さんと一緒にワークショップが出来たことも、刺激的だった。あ、他の人はこんなふうにワークするのか、こういう課題を与えるのか。こう考えるのか。一つ一つが新鮮で、次はこうしてみようああしてみようと、どんどんアイデアがわいてきて、次の8月の子どもたちとのワークショップが待ち遠しくなってきた。

自分とは違うジャンルの人たちと共同でなにかをするのは、刺激的で、わくわくして、たまらなく楽しい。発見ばかり。こんなにいろんなことを教えてもらってありがたい。やっぱり人間こそ最上級のメディアで、人間からじかに学べることはいくつになっても無限にあり、学ぶ喜びは尽きることなく、生まれてきてよかったなーとしみじみ。みんなの力を借りてじぶんが学んでいるんだなあ。ありがたいなあ。

兵庫県から泊まりがけでやってきてワークショップと講演会に参加してくれたJYOさん。「楽しかった、サイコーでした!」とほんとうに感激してくれた様子。「また会いましょうね!」とお別れするとき、あれ、ずいぶんと身軽に去っていくなあ……と思ったのだけれど、後から置き去りにされたリュックを発見。これはJYOさんのでは? と思って連絡をすると、やっぱり荷物を持たずにもう駅まで行ってしまったとか。リュックを置きわすれるほど楽しんでくれたのか!と思うとうれしい。取りに戻って大変だったね。JYOさんは、私に「君は兵庫の山田スイッチだ!」と言われてきょとんとしていたけれど、友人のスイッチさんと似てるんだよ。だから、いつかスイッチさんと会わせたい。ぜったいに気が合うはず……、そう思っていたら、名前も聡子で一緒だった!これはもう出会うしかないね!

今回のワークショップで、中谷さんや、中津川さんと一緒にワークをして、興味があるから観察する。興味や関心って愛なんだ、と実感。人間が好きで、愛情をもっているから興味が生まれて、それで魅入ってしまう。やっぱり愛なんだよ、観察って。エゴじゃなくて、純粋な興味。マザー・テレサが「愛の反対は無関心」……のようなことを言ったと聞いたことがあるけれど、関心が愛だということを納得すると、マザーの言葉の意味が立体的になるなあって思った。実感をともなわない言葉や文章は平べったいけれど、言葉がいきなり立体になって手触りを感じる瞬間があって、そういうとき、なんかすごくしあわせだ。

すてきな二日間でした。みなさん、ありがとう!

田口ランディ
by flammableskirt | 2016-06-05 11:46