田口ランディ Official Blog runday.exblog.jp

作家 田口ランディの新刊・イベント情報・近況をお知らせします。 


by flammableskirt
プロフィールを見る
画像一覧

<   2011年 12月 ( 8 )   > この月の画像一覧

休養

今年一年、ずいぶんとあちこち動き回り、自分をいたわっていなかった。
目の手術をした。
目にはいつも不調が真っ先に現われる。
しばらくお休みをして目をいたわることにした。
とうめん、年末年始はゆっくりと家で散歩をしたり掃除をしたりして過ごす。
今日もほんとうに透明で悲しいような冬の陽ざしで、
ありきたりのことがすごく優しく感じる。
こういうありきたりなのんびりした空気のなかに、
どっぷり浸るのが休養というのだと思う。
家もぴかぴかになって、布団も干して、ずいぶんと気分が軽くなった。
寒いときにあったかくしてぬくぬくするのは、とても和むね。
by flammableskirt | 2011-12-26 14:58

私の愛した男について

c0082534_1243940.jpg

12月22日に新刊が出ます。
「私の愛した男について」(角川書店)


装丁の写真は友人である写真家のにのみやさをりさんの作品。
短編集です。四つのお話を収録しています。
表題作は、妻子ある男性との肉体関係に悩むアラサー女子のお話です。
それ以外の作品はどれも、障がいをもった人の傍らでなにもできずにただおろおろする健常者のお話です。
長年、福祉関係の取材を続けていますが、障がい者を主人公にした物語はまだ書けません。
そういう意味で、私はまだ私に限界を設定しそれを超えられないのだなあ……と思います。
でも、こういうことは長くかまえていればいいんでしょう。
だんだん私も病気がちになり、能力も衰え、昨日は網膜剥離の治療をしてきました。
レーザー光線を眼に打ち込まれ、神経にずーーーんと響く痛みを感じながら、こういうことがこれからもっと増えるんだなあ……とぼんやり思いました。
目が見えないということについて、少しだけ、深く考えるようになった。
体験しないと、人の考えはなかなか深まらないものです。

おっと、作品の話でした。
そんなわけでこの短編集は、表題作だけが異質に見えるかもしれませんが、私のなかで、根っこはひとつなので四作品にまとめました。
どうひとつなのか、うまく言葉で言えませんが、きっと読んでいただければわかると思います。
ちょっと痛いんだけど、読み終わると優しい気持ちになれるんじゃないか……と、
勝手に思っています。
春を内包した冬を感じる静かな装丁、とても気に入っています。

田口ランディ
by flammableskirt | 2011-12-20 12:13
昨夜の下北沢のイベントは「感情の見つけかた」がテーマだったけれど、本日は「カラダの見つけ方」がテーマです。パパ・タラフマラの舞台、私は二十代の頃から知っています。ものすごくかっこ良かった。そしてずっとかっこ良くあり続けた世界的な舞踏集団……と言っていいのかな。その芸術性は海外での評価のほうが高いかもしれない。舞踏とか、芸術とか、冒険とか……そういうものが日本ではどうしてもすぐに「利益換算」されてしまうところがあって、なんだか淋しい気分になります。
わたしはカラダのことは素人なのに、カラダに関するお話をしてくださいとお願いされることがよくあります。なんでだろう……と不思議に思うのですが……。たぶん、人より「乗り物としてのカラダ」を意識していて、それを大切に扱っているからなのかもしれないですね。感情とかカラダとかって、この世で生きている間に自分が使える創造性のためのツールだと思っているところがあります。言葉もそう。人生を創造するためのツールだから、うまく大事に使って自分を表現することを楽しみたいと思っているんです。私は、自己表現に興味があり、自分が表現したいだけの人なので、あまり人の表現を解釈したり分析したり紹介したりするのは得意ではありません。だから、パパ・タラフマラの舞台もただただ「すごいな〜!」と感動して観ているだけの、観客の一人です。なので、小池さんとどんなお話ができるのかちょっと不安だし、なんだか頭の良い小池さんを前にして墓穴を掘りまくり、場違いトークを炸裂させそうで怖いのだけれど、そういう私を観たい人は遊びに来てください。場所は荻窪の六次元という小さなカフェで、とってもすてきなスペースです。ほんとうに小さな会場なのですぐいっぱいになってしまうと思うから、当日まで告知しませんでした。まだ、ちょっと空きはあるようです……。でももしいっぱい……って言われても、来ちゃえばなんとかなるんじゃないかな。入りきらなかったときは私の膝に座らせてあげます(笑)

12/15(木)田口ランディ×小池博史トーク「カラダの見つけ方」 ※予約受付中
 パパ・タラフマラ ファイナルフェスティバル スペシャル対談
 時間:19:30~(19:00開場) 参加費:2000円(ドリンク付)
 予約:お名前、参加人数、お電話番号を明記の上、
 rokujigen_ogikubo@yahoo.co.jp  まで。
by flammableskirt | 2011-12-15 10:27
アニシモフさんは、私がたいへん尊敬するロシア人の演出家です。今年の11月11日、ドストエフスキーの誕生日を記念して公演された「白痴」の舞台はすばらしかった! わたしはこの演劇からたいへん大きな予感……、自分が生きていくうえで必要なことに気がつくためのヒントを得ました。

アニシモフはロシアの偉大な演出家スタニフラフスキーの思想を受け継いだ人です。若い方には馴染みがないかもしれないけれど、六〇年代から七○年代にかけて「スタニフラフスキーシステム」というのは日本の演劇を志す人たちの間で、ブームになったことがありました。私は年代的にはもう一世代下なので、この演技者養成システムについては本の知識しかありません。でも、不思議なメソッドだと思いました。

それは「役者の内発性」を引き出すことを目的としており、まるで……心理療法のサイコドラマのメソッドのようだと思ったのです。その後、いまはなき竹内敏晴先生の演劇ワークショップに参加したとき、再びスタニフラフスキーシステムというメソッドについてお聞きし、さらに興味をもちました。若き日の竹内先生もたいへん影響を受けたと語っていたからです。

演じるのではなく……、いま、ここに、自分のこころに湧き上がってくる感情を表現すること……。
それは、それまでの演劇の常識を覆してしまいました。
そして、人間の生きかたそのものを問い、行動そのものを見つめ直すシステムだったと思います。
今回、アニシモフと「内発的ことば」「内発的な動き」というキーワードで、人間の心、さらには魂の問題、つまりはアートとはなにか、という問題と語りあう機会を得て、とてもうれしく思っています。

なんでも、大きな会場なのに、ぜんぜん人が集まっていないとか(笑)
私は、こういう問題は興味のある人、それを必要としている人だけが深く聴いてくれればいいんじゃないかと思うのですが……。ご縁があったらぜひどうぞ……。

田口ランディ




公開講座 “こころの上手な使い方

目には見えないけれど、誰もがもつ『こころ』
苦しい時、不安な時に、もし『こころ』を上手に使う方法を知っていたら、今よりも楽により良く生きられるのではないでしょうか?


人生をクリエイティブに、自分の望むように生きたいと願う人にとって有益なスタニスラフスキー・システムの話をロシア功労芸術家・演出家のレオニード・アニシモフ氏から伺います。

ゲストには、作家の田口ランディさんをお迎えし、『こころ』を上手に使うためのヒントや貴重なお話を聞かせて頂きます。



開催日
2011年 12月14日 (水)
時間
19:00~21:00(開場18:00)


会場
北沢タウンホール(下北沢駅 徒歩5分)
世田谷区北沢2-8-18
地図はこちら → http://kitazawatownhall.jp/map.html

入場料
一般¥3,000
学生¥2,000 (学生証をご提示頂きます)

お申込→  http://tnrt.cart.fc2.com/
ゲストパネラー 田口ランディさん (作家)
予約・お問合せ
NPO法人 東京ノーヴイ・レパートリーシアター
Tel/Fax 03-5453-4945(平日10:00~17:00)
info@tokyo-novyi.com
by flammableskirt | 2011-12-13 16:47
「あなたのアール・ブリュットを見たいんだ」
……滋賀の近江八幡でアール・ブリュットに関する講演をした時、一人の男性が質問の時間に発言した言葉。
この時、たぶん会場にいる人たちは「この人はなにを言っているんだろう?」と思ったと思う。いっしょにトークしていたキュレーターの保坂さんも「田口さんはアール・ブリュットの作家ではありませんから」と言った。その通りで、私はアール・ブリュットの作家ではない。だから、この質問をしてくれた男性は、「近江八幡のアール・ブリュット講演会における場のコモンセンス」から明らかにずれていたと思う。
 でも、それにも関わらず、わたしがこの講演会において心に突き刺さった唯一のメッセージ。それは「あなたのアール・ブリュットが見たいんだ!」という彼のひと言であった。
 それは、時間が経過してからどんどん強くなる。
 つまり、こういうことだ。場のコモンセンスとどんなに合致していなくても、私が生きるもう一つの別の世界「ドリームタイム」においては、この人のメッセージが意味をもっていたということだ。人はいつも、二重に三重に重なった世界を生きている。生活しながら変性意識のなかで夢を見続けている。それはあたりまえで、潜在意識というものが自覚できないけれど存在する以上、潜在意識の夢を生きている自分がいるに決まっているではないか。
 だから、現実的な枠組みのなかではいかに無意味に見えても、私の夢の世界において強い意味を持つ言葉は存在する。今回は「あなたのアール・ブリュットとは?」という問いこそ、それであり、わたしはそれを無視し、スルーすることができなかった。それは、いままさに私にとってジャストな問いに違いなかったからだ。
 そして、他の人には無意味でも私にだけ意味のある言葉こそが、私の魂にとって必要な言葉なのである。だから私はそれを、しっかりと受け止めようと思う。

 私にとってのアール・ブリュット、私がアール・ブリュットを生きるとはどういうことか?

 答えが簡単に出るはずもない。でも、寺山修司はこう言った。
「わたしはなにになりたいか? わたしは質問になりたいのだ。大きな質問に!」

明日、寺山修司の誕生日に、私は寺山ナイトに出演する。
この言葉こそ、胸に刻むべきだと……いま、思う。

 わたしは、大きな、質問になりたい。
 まさにそれが、アール・ブリュットを生きることである。と、わたしは思う。

寺山ナイトのご予約はこちらへ
音楽実験室新世界http://shinsekai9.jp/2011/12/10/tarayama/

by flammableskirt | 2011-12-09 11:06
『第一回 新世界不完全死体寺山修司総会』
c0082534_1193662.jpg


寺山修司生誕日イベント 「第一回 新世界不完全死体寺山修司総会」 開催! 六本木音楽実験室「新世界」

故寺山修司の生誕日である十二月十日に、「第一回 新世界不完全死体寺山修司総会」(※三上寛氏命名)を開催いたします。

世界一不道徳な聖夜(クリスマスイヴ)をあなたに
十二月十日は寺山修司生誕日です

新世界はこの日が「我々のクリスマスイヴ」と勝手に認定しました。
ケーキなどいりませぬ、
ココロに毒薬(ポイズン)と幻想(マボロシ)を。

出演は、寺山映画の名作『田園に死す』、天井桟敷の代表作『邪宗門』にも出演していた、寺山修司と縁の深いシンガー、三上寛。

自らの著書『寺山修司さんの宿題』で「十代の時、寺山修司と直接出会い、その文才を見出された」と記す小説家の田口ランディ

そして、寺山修司と同郷のヴォーカリスト、山崎ゆかり(空気公団)も、寺山修司をリアルタイムで知らない世代の代表として、氏に惹かれるその謎を解き明かすべく駆けつける。

否定形で語るのも
きみに敬意を払うひとつの方法
きみは子供を残さなかった
家を残さなかった
土地を残さなかった
勲章を残さなかった
残さぬことできみが残した
目に見えぬもの
谷川俊太郎「寺山修司への七〇行」より

詩人、歌人、俳人、劇作家、演出家、映画監督、脚本家、作詞家、脚本家、小説家、随筆家 、スポーツ批評、競馬評論家等、多方面に活躍し、膨大な量と、高い質を伴なった芸術・文芸作品を発表した“言葉の錬金術師”寺山修司。

自身の創作に止まらず、幅広い分野に個性・才能を有した人材を数多く輩出した、卓越した審美眼の持ち主であった事も忘れてはならない。

「百年たてば その意味わかる 百年たったら 帰っておいで」(寺山修司)
主生誕の夜、待ちきれない我々は百年を待たずして門外不出の錬金術の奥義を知る為、遂にその扉を開ける。

寺山修司つながりの、この磁力でしか、ありえない希有な顔触れが勢揃いし、トークセッションを中心にリーディングやライブも行う。この3人が寺山ワールドに結集する事によって、果たしてどんなスパークが起こるのか?お楽しみに!!

ご予約はこちらへ
音楽実験室新世界http://shinsekai9.jp/2011/12/10/tarayama/

by flammableskirt | 2011-12-06 11:11
よしもとばななさんの新刊「スウィート・ヒアアフター」を読んだ。
ばななさん本人が「とてもわかりにくいとは思いますが、この小説は今回の大震災をあらゆる場所で経験した人、生きている人死んだ人、全てに向けて書いたものです」とあと書きに書いてあるように、この世界ともうひとつの世界について描きながら、生きていることのかけがえのなさ、美しさを教えてくれる本だった。
やっぱり、ばななちゃんはすごい!よ。ほんとうに、いろんな人に、たくさんの人に読んでほしい傑作です。
私自身がこの小説を読んで、とてもとてもほっとしたし、心の深い部分で共感できたし、なによりああ、こんなふうに生きていきたい、いろんな重い荷物を降ろして、あちらの世界とこちらの世界をうまく調和させながら、日々を大切に生きていきたいと思った。
装丁もすばらしいし、もう本からオーラが出ている感じです。
by flammableskirt | 2011-12-01 15:19

祈りについて。

ふと思ったのだけれど……。
書くということは、私にとっては一番、祈りと近い行為のように思う。そう思うようになってきた。
なんで書くのかわからないけれど、書くことは祈りなんだなあと。
お寿司屋さんにとっては、お寿司をにぎることが祈りなんだと思う。カウンターをきれいにぴかぴかに掃除することも祈りなんだと思う。クリーニング屋さんは、衣類をきれいにしてていねいにたたむことが祈りなんだと思う。パン屋さんはパンを焼くことが祈りなんだと思う。ちがうかなあ。
今年、私は「ヒロシマ、ナガサキ、フクシマ」という本を書きました。
いつも、ヒロシマに行っても、ナガサキに行っても、どうやって祈っていいかわからない。亡くなられた方々に対してなにをどうすることが祈ることなのかわからない……って思って悩んでいた。
でも、この本は、私の祈りだと思う。
これが私の祈り方で、たぶん、みんなそれぞれの祈り方があるんだと思う。祈りって特別なものではなくて、自分の日々の営みのなかに現われてくる慈しみのようなものかなと思う。
c0082534_1510339.jpg

by flammableskirt | 2011-12-01 15:11