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みんなは
いま、
なにを思っているんだろう?




地震、津波、そして原発事故が起こってから、もうすぐ三週間が経ちます。
いま、この先の見えない状況のなかでみんなどんな思いを抱いているのだろう。それを知りたくて、友人のみなさんに声をかけて、現在の思い、考えをメールで送っていただきました。読んでみて、とてもほっとしました。みんなとまどっている。自分だけじゃないんだ。そう思えました。そして、勇気がわいてきました。いただいたメールをみなさんにご紹介します。

        

http://getnews.jp/archives/107705



アノニマス・エイド
東京慰霊祭のお知らせはこちら

by flammableskirt | 2011-03-31 14:27
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Anonymous Aid
無名の私たちが、名を知らぬ人たちを思う

アノニマス・エイド
『東京慰霊祭』

東北・関東大地震で亡くなられた方たちを悼む集い

4月10日(日)・11日(月)
共に13時~22時まで
場所 新宿 経王寺

http://www.kyoouji.gr.jp/about/access.html
〒162-0053 東京都新宿区原町1-14
03-3341-1314

ピアノ演奏 ウォンウィンツァン
      上畑正和
朗読    田口ランディ


3月11日午後2時46分、三陸沖を震源地としたマグニチュード9.0の大地震が発生しました。この地震により、1万人以上の方がお亡くなりになりました。現在も行方のわからない方が1万六千人以上いらっしゃいます。現地から離れている私たちはテレビの画面からたくさんの人たちが流され、町が濁流にのみこまれていく様子を見つめているしかありませんでした。情報は時に無情です。現実をつきつけられてもどうすることもできない無力さに、打ちのめされた方も多いのではないかと思います。
映像の前で、ネット情報の前で、無力と悲しみを感じた「アノニマス」がどれほどたくさんいたでしょうか。その方たちと現実につながり、共に哀しみを分かち合いたい。そして、この無念の思いを復興へと繋げていく絆にしたい。そう考えて、アノニマス・エイド「東京慰霊祭」を開催することにいたしました。



アノニマスとは、無名の集団の意味


くわしくはこちらへ
by flammableskirt | 2011-03-31 13:27

不安は悪い未来の先取り

「東京で慰霊祭」を企画しよう。
そう思ったのは、地震のあとに罪悪感をもっている人が多かったからだ。
地面が大きく揺れ、巨大津波が町を襲い、たくさんの人が亡くなった。悪夢のような現実、いまだに余震が続き、地面は毎日揺れている。緊急避難速報は頻繁に鳴る。そのたびにビクっとする。

テレビでは毎日、毎日、被災地の様子が映し出される。無残な海岸線。延々と続く瓦礫の町。白煙を上げる福島原発。体育館で避難生活を送る人たちを見ながら、自分はぬくぬくとお茶を飲んでいる。申し訳ないと思う。その反面、ほっとして、放射能の数値を見てはまだ安全と胸をなでおろす。その私の安全のために、決死の放水を続けいる自衛隊の方たち、原発関係者の方たちがいる。

無力だと思わざる得ない。ボランティアが支援活動をしている様子を見る。ああ、自分はなにもしていないなと思う。コンビニの募金箱にちゃりんと小銭を入れながら、むなしい……と思う。

災害が起こったとき、その渦中にいない人間には「申し訳ない」という気持ちと「よかった」という気持ちが同居する。そして「申し訳ない」気持ちがほっとしている自分を責めるのだ。罪悪感はストレスである。ありのままの自分を許容できない時、人はみな苦しい。

ましてや不安要因はいくらでもある。いつ来るかわからない大きな余震。テレビや新聞で報道される「シーベルト」「ベクレル」という聞きなれない単位。

精神科に勤務する友人は「震災のあと、具合の悪くなる患者さんが急増した」と言う。精神科だけではない。皮膚科も、内科も混んでいるという。多くの人が不調を訴えている。不安でよく眠れず、余震のために船酔いのようになり、耳鳴りや頭痛がする。身体がだくるて気力が失せて、わけもなく気持ちが昂ぶったり、涙が出てきたりする。

ほんとうは大丈夫なんだ。よくよく話を聞けば、放射線の専門家のだれもが「今の放射線量は健康に影響はない」と言っている。でも「この先は?」「ほんとうに?」と考えてしまう。テレビが「ヨウ素が大量に検出されました」と言うと、それが原発周辺のことであっても「えっ?大丈夫なの?」と思ってしまう。

こういう時はしょうがない。不安な時、人はより不安になるための材料を探す。不安はさらなる不安へと人を駆り立てる。不安とは悪くなることの先取りだから、今よりも先のことを考えてどんどん不安になっていく。

今、現在、この場所で自分になにか問題があるのか? と聞くと、不安な人はきょとんとする。「え? でも、もし……したら」と答える。「もし、じゃなくて、いま、なにか問題なんですか?」と聞いても、「今はいいかもしれないけれど、この放射線を浴び続けたらこの先は具合が悪くなるかもしれない……」と言うのである。それが不安というものだ。

今、現在というのは、身体感覚そのものだ。身体はここにしかない。動いている心臓。呼吸している肺。消化している胃腸、今ここに身体はいる。どこにもいかない。でも、頭は違う。頭は遠くに行ける。頭だけは未来に行ける。未来を不安に思っているときも、身体はいまここにいるのに、そこに意識が向かない。

身体と頭が分離しているとき、人の判断力はかなり低下する。最も集中力が上がるというα波は、身体がリラックスしている状態の時に現われる。だから、集中力を高めようとする人ほど、身体を鍛練するのである。頭だけで集中力が得られるなら、めんどうで時間のかかる身体の鍛練など無用だろう。

不安は、身体のほうに意識がもどればずいぶんと薄れる。身体はいつも、いまここに在るからだ。身体はほんとうにありがたい。足は地に着いて歩く。いっしょうけんめいに歩けば、地面と接触した足が「いま、ここ」へと引き戻してくれる。汗をかき、身体にじゅうぶんに酸素がまわれば、気分は晴れてくる。不安なとき、だいだい人は酸欠状態だ。

たくさんの人の死によって心に受けたダメージは、不安とはまた違い、もやもやとした痛みを伴う。この痛みは、時がたてば自然に癒えるものだけれど、癒えるためには「人と人のつながり」がとても大事だ。見知らぬ人たちの死を悼み哀しむ心は、罪悪感で否定されるべきではない。でも、自分がいま生きていること、その意味は私の力だけで獲得できるものではない。誰かがいてくれるから、確認できる。

哀しみは人と共にわかちあうことで、慈しみに変る。同じように無力の者同士で集まれば、無力もまた絆に変わるだろう。そう思った。

あなたも無力かもしれないけれど、わたしも無力です。だから、それでいいじゃないか。そこからなにかを始めよう。いっしょになにかを始めよう。

そんなわけで、みんなと共に亡くなった方たちを悼む集いを企画してみたのです。
by flammableskirt | 2011-03-30 16:48
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Anonymous Aid  
無名のわたしたちが、名を知らぬ人を思う
アノニマス・エイド
『東京慰霊祭』

東北・関東大地震で亡くなられた方たちを悼む集い

4月10日(日)・11日(月)
共に13時~22時まで
場所 新宿 経王寺

http://www.kyoouji.gr.jp/about/access.html
〒162-0053 東京都新宿区原町1-14
03-3341-1314

ピアノ演奏 ウォンウィンツァン
      上畑正和
朗読    田口ランディ


3月11日午後2時46分、三陸沖を震源地としたマグニチュード9.0の大地震が発生しました。この地震により、1万人以上の方がお亡くなりになりました。現在も行方のわからない方が1万六千人以上いらっしゃいます。現地から離れている私たちはテレビの画面からたくさんの人たちが流され、町が濁流にのみこまれていく様子を見つめているしかありませんでした。情報は時に無情です。現実をつきつけられてもどうすることもできない無力さに、打ちのめされた方も多いのではないかと思います。
映像の前で、ネット情報の前で、無力と悲しみを感じた「アノニマス」がどれほどたくさんいたでしょうか。その方たちと現実につながり、共に哀しみを分かち合いたい。そして、この無念の思いを復興へと繋げていく絆にしたい。そう考えて、アノニマス・エイド「東京慰霊祭」を開催することにいたしました。

アノニマス・エイド
「東京慰霊祭」について


私たちはいつもネットやテレビから情報を得ている「名もなき集団」です。一般人、市民、大衆と呼ばれたりします。でも、一人ひとり心と身体をもった人間です。たくさんの人が亡くならていくのを見るのはとても辛く、知ることによって傷ついています。その感情は行き場がなく、誰とも共有することができません。いま、この大きな哀しみの時に、同じように無力さや、やりきれなさを感じている人たちと出会い、共に悼み、そして私たちの小さなや、弱さを絆にしたい。そう思ってアノニマス・エイド「東京慰霊祭」を企画しました。どうか、お近くの方はぜひ参加してください。
希望はどこか外にはない、それぞれの心のなかにしかありません。
あなたが傷ついていると、世界も哀しみます。
悼み、哀しむことを絆に、明日へ。
(呼びかけ人 作家・田口ランディ)

アノニマスとは?
匿名の人たちの集団のことです。最近では広く、名づけられていない集団のことを指します。


経王寺へのアクセス
http://www.kyoouji.gr.jp/about/access.html
お釈迦さまの浄土では、天空から妙なる音楽が流れ、身も心も清らかになるお香が漂い、池には清浄で無垢な「白蓮華」が咲いています。その蓮華の花の種が私たちの心の中にもあるといいます。みなさんの心の中の蓮華を咲かせるお手伝いをさせていただくのが経王寺です。
■所在地 〒162-0053  東京都新宿区原町1-14 
■電話番号 03-3341-1314 ファックス 03-3359-9907 
■住職 互井 観章(たがい かんしょう)
■交通のご案内 
・都営大江戸線 「牛込柳町」駅下車 東口駅前 
・東京メトロ東西線 「早稲田」駅下車 馬場下口改札より徒歩15分 
・都営新宿線 「曙橋」駅下車 曙橋口改札より徒歩15分
・バス JR新大久保駅前より「新橋」行きにて「牛込柳町」下車

■慰霊法要式について
この慰霊祭はいろいlなご縁を通じてお集まりいただいた、超宗派の僧侶のみなさまのご協力で執り行います。
10日、11日の13時、16時、19時に読経と慰霊のための音楽演奏が行われます。それ以外でもお寺は法要のために解放しておりますので、ご都合のつくお時間にご焼香、ご灯明をお願いいたします。共に悼み、語りあいましょう。

■お香典について
お香典を受け付けております。集まったお香典は被災地への義援金として、被災地復興のために役立てていただきます。

「東京慰霊祭」タイムスケジュール
4月10日、11日とも同じ
13時、16時、19時
   入堂
   読経
   お焼香
   呼びかけ人挨拶
   慰霊音楽演奏 

   両日の20時より
   「般若心経現代語訳」田口ランディ作・朗読
    

お寺は夜10時まで開いております。
いつでもいらしてください。
共に悼み、弱さを絆に……。

   

主催 アノニマス・エイド実行委員会
   代表 田口ランディ・互井観章・橋爪謙一郎
by flammableskirt | 2011-03-30 07:26
この映像を見てあなたは何を感じますか?

http://microsievert.net/




-----以下は見た人たちの感想です-------

美しくて、泣けてきた。
福島の五月雨のような雪のような画像が、胸が痛くてみれん。知らない間に殺されるというのは、こういうことなのだろうと思う。テレビのワイドショーのように、私に所には関係ないという感覚をもてるほど、悲劇が芸術になると、なんとも言えない気持ちになる。わかりやすいね。



私は、印象に残りました。
おそらくこれを見る見え方は、自分の状況で違うと思います。私は都内の視点で見るので、まず感じたのは、関東は、濃度が上がったといってもほぼ自然放射能の降り注ぎ方と変わらないな。細かい数字で一喜一憂するのはやめよう、ということでした。
自分のツイートでも紹介してみましたが、「わかりやすい!」「イメージしやすい!」という反応です。
しかし、福島30キロの方々はかえって不安になるでしょうか。



感覚に訴える力が強いので、危機感があおられる感じがあります。そして、騒いでいる東京がそれほどでもないこともはっきりと解りますね。今パニックに陥っている人にこれ全体を俯瞰で見せることが良いのかは。さらに、買占め等に走る人が出てきそうな感じがします。



グラフなどの「可視化」ならば、多少めんどうくさくむずかしくても数値との間を行き来しながら読みとる手間にある意味があるのですが、それぬきに画像としてデザインしてしまう乱暴さには、作り手の意図がどこにあろうと、その「わかりやすさ」の手法にはどうにも疑念が残ります。これほど恐ろしいことが起こっているのだ、の、「これほど」を起こっている状況に即してのより正確な把握や、微妙な数値一つ一つに込められた意味や説明こそが今は求められているのであって、「恐いんだぞう」だけを抽出し、問答無用に不特定多数の人に拡散させてあおる仕方には、「放射能が来る」と「防護マスク」表紙で売った某週刊誌やスポーツ紙と同じ、ある種の劣情ないし「煽情」が感じられます。



どういう計算をしているのか分かりませんが、医学も含め科学の情報の視覚化はとても重要な素養です。そして、その視覚化には作法があります。この可視化の計算方法がソースを見てもわからないため、恐らくは横軸1ピクセルの密度を変化させ、ランダムに分布させているのだと思います。つまり最上段の1ピクセルのみが科学的な吟味に耐えうる正確さなんでしょう。(簡単には最上段の横一列に1000のピクセルがあれば、1000μSv/hなら全て白くする。1μSv/hならそのうち1つを白くする)
あとの下に向かうスペースは全てアニメーションで視覚的な装飾。そして、落下するスピードには何ら科学的な意味を持ちません。科学的には無意味です。
結論ですが、これは科学的吟味に耐えうる可視化とはいえず、ビジネス界のプレゼンテーションで理解を助けるための視覚化です。例えば3D棒グラフとか、国旗の絵柄で棒グラフとか、葉っぱのマークで折れ線グラフとか。



美しいイメージ映像。
何の映像だか分からないように見せられて、
正体を説明されたら、衝撃です。



いまだ市民に対するわかりやすい説明も可視化も公式にできていない政府や科学者の人達に比べると、素性はわかりませんが、これをデザインしプログラムした市井の人の仕事は百歩リードしていると思います。



涙の数に見えます。
by flammableskirt | 2011-03-29 18:53
専門家が答える 暮らしの放射線Q&A
東京電力(株)の福島第一原子力発電所事故で放出された放射性物質による放射線影響等に関し、皆さまが抱く不安や疑問にQ&A方式でお答えしています。

http://radi-info.com/
なんと、質問にも随時答えくださるそうです。
とってもわかりやすくて、主婦の方は必見ですよ!
by flammableskirt | 2011-03-28 18:24
 被災地に入って復興支援活動をしている「てんつくマン」さんと電話でお話をしました。
 てんつくマンさんhttp://tentsuku.com/home.shtml
 てんつくマンさんとは今年の3月2日に初めて神戸でお会いしました。
 
 なぜ、てんつくマンさんと会ったか。てんつくマンさんは原子力の問題に関わっていて、原子力をなくしたほうがよいと考え活動していました。でも、現状では具体的な施策がなく対立があるばかり。「これから原発をどうしていったらいいのかわからなくなった……」と、原発をめぐる問題の難しさに悩んでいました。それで、ダイアローグ研究会で原発の問題をめぐる対話の困難さをテーマにしていた私と意見交換をしたのです。

 その時は、まさか3月11日にこんな大きな事故が起こるとは、想像もできませんでした。でも、そのとき「日本政府が原子力エネルギーを見直すには、大きな事故でも起こらない限り難しいのでは……」という話をしたのです。こんなに早く現実の事になるなんて、正直、思ってはいませんでした。

 地震後に、てんつくマンさんはすぐに被災地に飛びました。
「自己責任、ガソリンも自分で確保。現地に迷惑はかけない」という条件で集まった若い人たちと9人で現地入りしましたが、あまりに惨状にショックを受けて抜けていった方もいるそうです。

 てんつくマンさんは、とてもユニークな活動をされている方なので、誤解されることも多いと思います。私は二時間ほどお話しをしましたが、お会いする前に思い描いていた印象とはずいぶん違いました。

 率直に言えば「てんつくマン」なんていう変な名前(人のことは言えませんが)で活動しているし、どちらかといえば「ポジティブシンキング」の単純な人で、勧善懲悪的な考え方をもっているのではないか……と警戒したんです。

 でも、実際にお会いした「てんつくマン」さんは「なにが良くて、なにが悪いのかわからない」と悩み、わからないことをなんとか解決しようと、自分で考え行動している人でした。けっして「正しいこと」と「間違っている」ことを浅薄な考えで分けることはせず、事実を自分の目で確かめて慎重に判断しようとしている人でした。また、とても他者の話をよく聞く方でした。

 なので、私は「てんつくマン」さんを信頼し、彼のお話をここに紹介します。

 てんつくマンさんは、現在、石巻市で活動しているそうです。いま、石巻にはNPOとNGOの運営本部が立ち上がり、そこにボランティアの方たちが集結しています。ようやく本部が立ち上がったばかりですが、まとまりが出てきたそうです。http://maketheheaven.com/megumijapan/

「集まって来る人たちは、どこから情報を得て来ているのですか?」とお聞きすると、
「みんな自分で情報収集したり、知りあいから聞いたりして、とにかく石巻に行こう、ということで集まってきています。自分の判断で来た人が圧倒的です」

「現地の様子はどうですか?」
「いま一番必要なのは、物資もですが、なにより人力です。というのは、現在、へどろ出しの作業が難航しているのです」
「へどろ出し?」
「はい。津波による浸水でへどろが家の中に入ってしまっているのです。このへどろは、現在のところは液状なのですが、これから日が経つと乾燥して固まってしまうのです。固まってしまうと外に出すことが難しくなるのです。どろどろのうちに家の外に出したいのですが、人手がとても足りません」
「へどろ……だから、汚いんですね?」
「そうです。排泄物とか混じってしまっていますから……。これから時間が経つと、衛生的にもとてもよくないです。だから、早く、へどろ出しをしたいのですが、人が足りません」

「近辺では治安も悪化していると聞いたのですが……」
「残念ながら、そうです。実際に強奪なども起こっています。また、外国人の方たちへの心ないデマも出ています。女性の性的被害も出ています。あまりこんなことを言って、みなさんの不安の煽るのはよくないかなと思うのですが……」

「あれだけの災害が起きたのだから、一時的に治安が悪くなることは仕方がないかもしれないです。でも、なんとかそれを最小限に食い止めたいですよね」
「はい……」
「みなさん、放射能汚染のことを心配なさっていると思うのですが、それはどうですか?」
「石巻では放射能の汚染は、まったくないです。観測されていません」

 これからまた、石巻に戻る……ということで電話を終えました。
 また、現地情報が入ったらお知らせします。

 ボランティアで石巻に行こうと思っている方へ。
「自己責任」「移動・帰宅の足も自分で確保」「現地に迷惑をかけない」
 という、てんつくマンさんの言葉を繰り返します。

また、単独ではなくてんつくマンさんのクルーとして働きたいという方は必ずこちらを読んでから応募してください。http://maketheheaven.com/megumijapan/?page_id=347
-------------------------------------------------------------

 阪神淡路の震災の時に、私は神戸のボランティア事務局でボランティア受け入れと資材管理および仕分け配送の手配の仕事をしました。
 その時に、ボランティアを希望する方がたくさん電話をくれました。その応対をしました。

「会社を休んでボランティアに行きたいのだけど、証明書を出してくれますか?」
「私もボランティアですが、私の証明書でいいんですか?」
「本部みたいなのがあるでしょう?」
「本部も全員ボランティです。ここは会社組織ではないので……」

「あのう、ボランティアに行きたいのですが、泊まるところはありますか?」
「ボランティア専用の宿泊施設はありません。避難所に泊まっていただきます」

「明日からボランティに行きます。寒いですか?靴下とか何足くらいもっていったらいいでしょうか?」
「お好きなだけ持ってきてください。大変寒いです」

「三日間くらい滞在したいのですが、短期間でもいいですか?」
「できれば、長期でお願いします……」

毎日、こういう電話がかかってきました。
現状というものは、現地に入っていかなければわからないものだと思いますが、ボランティアの予備知識は頭に入れて行ってください。被災地のボランティアの経験のある方に相談したり、本を読んだりと情報収集の方法はたくさんあります。

「被災地にはあなたのために用意されたものはありません」
by flammableskirt | 2011-03-28 11:57
コミュニケーションの回路ができなければ、世界は悪循環に陥る

田口ランディ


■きっかけは東海村の臨界事故

私が原子力……しいては核エネルギーというものと向きあうようになったのは、1999年に起こった東海村の臨界事故がきっかけでした。メールマガジンを通じて知りあった元JCO(事故元の企業)社員のSさんと、臨界事故に関する意見をメールで交換しあい、それを当時は10万人の購読者がいた私のメールマガジンに掲載しました。

東海村での事故当時、やはりさまざまな噂が飛び事故の詳細は、一般人の私たちにはよくわかりませんでした。私はまだ小説家としてデビューする前で、無名でした。原子力に携わる友人すら一人もいませんでした。

Sさんは、事故の原因究明をせずに、責任をJCOという一企業にかぶせてしまうような報道のあり方を批判していました。しかし、元社員だったというSさんの意見を鵜呑みにしていいものかどうか悩みました。明け方まで何度もメールを交換し続け、Sさんの意見はこの事件を判断する上での情報の一つとして重要であると思い、私からの質問形式で記事をまとめて発表しました。

当時、その時の記事を読んでいらしたのが、今回、いっしょにメーリングリストを立ち上げた北村正晴先生でした。東海村での臨界事故におけるSさんとのやりとり、その後の北村先生との出会いは、私の著書である「寄る辺なき時代の希望」(春秋社)に記しているので詳しい説明は省きます。

東海村の事故から1年後に、Sさんは私にメールでこう言いました。「田口さんご自身が原子力に深入りすることはあまりにリスクが大きいように感じています。以前、田口さん宛てに送付されているメール等も拝見し、このことは実感致しました。ある程度距離をおきながら末永く見守っていただければと思います」

原子力の問題に関して発言すると、確かにかなり辛辣な言葉を投げつけてくる方たちがいらっしゃいます。でも、たいがいその方たちはご自身のプロフィールを明かさずに、匿名で意見を一方的に送りつけてきます。私は、そういう意見はとるにたらないものだと思いました。ですが、心が傷つくことは確かです。

専門外の人間が、このような科学技術の分野に首を突っ込む必要があるのか。必要はありませんでした。他に研究したり意見を述べている方がたくさんいらっしゃいます。東海村の事故以降、私とSさんの交流も個人的なものになりました。

■原発と原爆はつながらなかった

2000年8月6日に、広島テレビの依頼で広島に行き、原爆に関する取材をしました。今度は「核兵器」と向きあうことになりました。ここにも「放射性物質」「被曝」という問題がからんできます。最初のうちは、原子力の問題と、原爆の問題は、私のなかではとても遠い位置にありました。

2000年〜2004年まで継続的に広島に行って「原爆」ということを考えてきましたが、どうも自分のなかでしっくりときません。やはり遠い昔に起こった他人事……という感じがしてしまいます。自分のなかに臨場感をもったリアリティが作れません。そういう自分のジレンマを小説に描いた作品が「被曝のマリア」(文春文庫)でした。

それからも、原爆の取材は続けてきましたが、だんだんと興味が「そもそも原爆とはなにか? 核とはなにか?」ということに移ってきました。核エネルギーはどのようにして発見され、それが兵器になったのか。

核エネルギーの歴史を調べていくうちに出会ったのが「レオ・シラード」という人物でした。シラードはもともと分子生物学者だったのですが、どうやら彼はエネルギーというものに興味をもっていました。そしてあるとき《核分裂の連鎖によって巨大なエネルギーを手に入れる》というアイデアを思いつくのです。

私はシラードを題材にした小説を書きたいと考えるようになり、シラードのライフヒストリーや独自の考えを取材し始めました。その経緯は私が連載している「風の旅人」というグラビア誌に二回に渡って掲載しています。

■物理学者、レオ・シラードとの出会い

シラードは日本への原爆投下を食い止めるために、最も行動した科学者です。広島・長崎への無警告原爆投下を食い止めようと駆け回り、書名を集め、必死になって活動しましたが、彼の努力は実りませんでした。

戦後、核に関する様々な発言を行っていますが、彼は「原子力エネルギー」について、いち早く警告していました。そして、戦後すぐに原子力エネルギーに関する国際的な合意や、その扱いに関する話しあいが必要であると提言します。
「原子力の産業利用の管理システムを作らなければ、核製造物質の管理は困難。各国が平和時の原子力利用を控える合意が必要だ」
しかし、世界はすでに核の原料争いに突入していました。

シラードは世の中の人に言わせれば「かなり変人」であり、奇抜な発言や思いつきを繰り返してもいましたので、誤解も受けています。シラードに関する評価はいろいろです。でも、私のなかでは、シラードによって初めて、核兵器と原子力エネルギーがテーマとして結びついていったのでした。

「核兵器」も「原子力」も、私たちにある特殊な反応を起させる言葉だと思います。誰でもが即「危険」と感じます。それなのに、まるで必要悪でもあるかのように存在を許している部分もあります。

シラードの指摘を私流に解釈します。
「第二次世界大戦後に核エネルギーを利用した兵器も、原発も平和で豊かな世界を「担保」とすることで存在してきた」

しかし、そもそも「平和で豊かな世界」を「担保」にして、危険なものを維持するという発想は矛盾しています。矛盾していることを続けることに、そろそろ限界がきつつあるのかもしれない……と思うようになりました。もし、私たちがこの技術を使い続けるならば、別のパラダイムが必要ではないか?

■コミュニケーションを失うことの危機

北村先生は、東海村の臨界事故以降、「専門家には説明義務がある。なるべくわかりやすく、ていねいに、誠実に、技術について説明する義務がある」とお考えになり、単身でさまざまな原発に関する集会や、原発の反対運動がある地域に出向いて「一人の科学者」として「一人の人間」として、技術的な説明をし、可能な限りていねいに質問に応える、という活動を10年間、続けられてきました。

ですが、原発に関する反対派と推進派の間の亀裂は、誰もが感じているようにとても深く、しかも、複雑によじれてしまっています。長い年月の間の不信感、不満、推進派側の説明不足、対応の強引さ、地域を壊してしまう補償金の使い方など、行われてきたことの結果として、対話は不能なのではないか……と、誰しもが暗澹とした気持ちになることが多いのではないでしょうか。

そしてまた、大部分の方たちは「原子力エネルギーの平和利用に関しては、賛成でもないが、反対でもない」つまり「わからない」という立場ではないでしょうか。もし、これがなくて困るのであれば、簡単に捨てるわけにもいかない……と。ほんとうのところ、どれくらい危険なのかわからない……と。

科学技術は専門家でなければわかりません。現代にように科学が進んだ時代では専門分野は細かく分かれています。ちょっと専門を離れると、もう「わからない」ということが出てきます。

それでは、高校で物理を習った程度の私がどうして「危険かどうか」判断できるでしょうか。もし、私が判断しなければならないのであれば、私はこれから大学に行ってそれを勉強するのでしょうか。無理です。

いったいなんのための専門家なのか。北村先生はずっとその問いを発信し続けてきました。専門家と市民の間に信頼関係を築けなければ、あらゆる問題がねじれてしまいます。人間としての信頼関係を、どう築いていくのか。しかし、そんなことは大学の授業では教えません。
http://eprints.lib.hokudai.ac.jp/dspace/bitstream/2115/32373/1/3_016-029.pdf

2010年10月に、明治大学をお借りして隔月で「ダイアローグ研究会」を立ち上げました。「対話とはなにか?」をテーマにして、さまざまな立場や専門の違う人間が、どうしたら対話をしていくことができるのかを考えるための研究会でした。
http://runday.exblog.jp/15728929/
インターネットによる告知だけでしたが、たくさんの若い方たちが参加してくださいました。

■ゆっくりを恐れないこと。

東海村のJCOの事故から10年以上が経過して、まだ自分が「核エネルギー」という問題と関わっていることが不思議です。

今回、福島原発事故のブログの記事をすみやかにまとめることができたのは、「ダイアローグ研究会」を通じて知りあったたくさんの方々のご協力があり、時間をかけて築いてきた、北村先生との信頼関係があったからです。

もし、私が先生と面識がなければ私はどんなにその方の肩書きが素晴らしくても、このような非常時に自分の文責として内容を発表することはなかったと思います。

すべてにおいて時間がかかる。でも、時間をかけてよじれたものを、時間をかけずに元に戻すことなんて、不可能じゃないでしょうか? 時間をかけることを、惜しんではだめだ。そう痛感します。

この文章を、なにか結論をつけてまとめるつもりはありません。まだ福島原発の状況はどうなるか不確定ですし、今後、どのような事態になっていくのか、たくさんの人間がかかわり、気象などの自然の影響を受けることゆえ、誰も正確な予測などできません。わからないことだらけです。でも、考え続けていこうと思っています。

最後にレオ・シラードの言葉を添えます。

「たとえ現実的な世界が理想とする世界とズレていたとしても、長期的なビジョンを描くことは変化のプログラムのために必要である。そして、一歩ずつ実行すること」

「コミュニケーションの回路ができなければ、世界は悪循環に陥る」





レオ・シラード 1898年~1964年
ハンガリーの首都ブタペストに生まれる。東欧系ユダヤ人物理学者。核連鎖反応のアイデアを得て、原子爆弾開発のきっかけをつくった人物として知られる。シラードはナチスドイツが先に原子爆弾を保有をることを危惧し、アインシュタインを説得し、ルーズベルト大統領に核開発に関する行政措置を促す信書を送ったことで有名。だが、シラードの思惑ははずれて核開発は完全な軍主導となり、結果としてヒロシマとナガサキの民間人に対して、無警告で原爆が投下されたことに関して、シラードは激しく怒りと絶望と責任を感じた。戦後は独自のロビー活動を展開、米ソが対立する冷戦のさなかで、米ソ間のホットラインの設置に尽力、コミュニケーションの重要性を叫び、国際社会に対して軍縮を訴える政治的な発言を続けた。しかし、当時の政治状況のなかでシラードの発言や行動は、しばしば、そのユニークさゆえに困惑や嘲笑を招くこともあった。

by flammableskirt | 2011-03-21 14:21

福島第一原発事故が発生してから、さまざまな情報が錯綜しました。非常時に風評被害が出ることは、ネット社会では避けられないかもしれません。実際にはどういう状況なのか。そしてこれからどうなるのか?

3月15日に個人的に知りあった原子力関係者の方たち、さまざまな分野の友人に声をかけて、メーリングリストを立ち上げました。私が最も信頼し、共にダイアローグ研究会を立ち上げた、原子力の技術者である東北大学の北村正晴先生は仙台で被災したために連絡が取れませんでしたが、15日にやっとメールを交換できるようになりました。それで、先生を中心に意見交換ができるような場を作ろうと思いした。

この三日間、非常に活発な意見交換が行われ、さまざまな情報がポストされました。やはり一人で考えていては知りえないことがたくさんありました。ネットワークの大切さを痛感いたしました。

意見交換されたことの主軸は「現状の危険性」「放射線被害」でした。それに関して、被災してご不自由な生活の中でたいへんていねいにお答えくださった北村先生の意見はこちらで見ることができます。

「退避すべきかとどまるべきか」放射線被ばくを深く心配されている方々へ(2011年3月17日午後時点の情報を踏まえて)
http://getnews.jp/archives/105218

また、ネット上で話題になっていた、広瀬隆さんの「ニュースの真相」における発言に関しても、メーリングリスト上で意見交換が行われました。それは、メンバーであるふかみえいいちろうさんによって、こちらにまとめてアップされています。

広瀬隆氏『ニュースの深層 福島原発事故 メディア報道のあり方』での発言へのいくつかの修正(2011年3月17日放送)
http://getnews.jp/archives/105404


そしてメーリングリストでは「マスコミが言う最悪のシナリオ」の内容がわからない、ということで意見交換しました。「最悪というけれども、その内容を具体的に開示しないとなにが最悪なのかわからない」このような状態では人間の不安は強くなってしまいます。

それに対して、「想定しうる一番悪いケース」の意見交換をし、それはほぼ一致したので、こちらに発表することにしました。

「最悪のシナリオ」という言い方はよくない。メディアで発するべきではない。その内容を説明しないで言葉を独り歩きさせるのは、ジャーナリストや科学者はしてはいけない。具体的に、一番悪い状況ではどうなるのか知りたい。
という発言に対しての、北村先生からの意見です。


前段の再臨界可能性に関しても,小生は若干厳しい見方をしておきたいと思います.話が錯綜するので箇条書きにします.「最悪の可能性」というと『どこまでがありうることなのか?』という議論が避けられません.「悪い方のシナリオ」と言い換えさせていただきます.
①まず,燃料貯蔵プールについてです.プールの中には今のところ海水と一緒にホウ素が投入されたとは聞いていません.設計段階からホウ素入りの仕切りが入っている燃料プール設計もありますが,福島第一発電所は違うように思います.いずれにしてもホウ素はないと考えておいた方が,燃料プールの安全性を評価する上では合理的でしょう.

②燃料プールが再臨界になる可能性については,簡単な計算評価をすれば一応可能と思います.大学が機能停止していて小生の手元には物理定数や核反応断面積のデータがないので今は計算できません.手順としては,燃料集合体中のウラニウム総量(重量,体積)を導出する.それが燃料プール底面に一様に広がって横たわったとして,タテヨコは10m×12mでしたかね.堆積した厚さを計算すると,多分形状的に臨界になりにくいと思います.
通常炉心部分を構成している直径4m,高さ4mの円筒形が臨界になりやすい形状だとするとプールの底に沈んで広がった溶融燃料は,臨界になりにくい(体系外への漏れが大きい)形状になるのではないかと思うのです.
でもまぁ仮に臨界になったとしたら,⑤へ.(現実には燃料の関しては⑤の記述がより正しく,ここ②での想定は計算上の仮定です)

③原子炉の炉心内の燃料(正確には燃料被覆管)が大部分溶けて燃料が圧力容器底部に集まった場合は,燃料プールの場合より相対的に臨界になりやすいかも知れません.この計算も定数データがないと困難ですので,以下,仮に再臨界になったと想定します.

④その再臨界現象を定性的に考察しましょう.圧力容器の底部を想定します.詳細に言うと燃料がどろどろに溶けて流れながら集まってくるのではなく,燃料被覆管という部分が破損することによって燃料ペレット(小さな円柱状の核燃料)が下部に落っこちてきて集積するように思います.なぜなら被覆管が溶融する温度は,ウラニウム燃料が溶ける温度より大幅に低いからです.集まった燃料ペレットの量がある限度(臨界質量)を超えたときに再臨界状態が出現します.ただしこのシナリオでは,ホウ素の投入量が大きければそれだけ臨界状態が生じにくくなります.

⑤その時何が起こるか?これも色々なシナリオがありえます.しかしはっきり指摘してきおくべきことは,その状態をチェルノブイリ事故と類似のものとみなすと大きな誤解が生じることです.チェルノブイリの場合は,飯田さんが引用されている資料にも記されているように「出力上昇率高」(炉周期20秒以下)とか,冷却水が全部なくなったときの反応度添加は+5βであり、フィードバックのドップラー効果は-4βという状況です.反応度印加量が即発臨界を大幅に超えていて,かつ反応度印加速度も大であるという,再臨界では到底ありえない状況が生じています.つまり出力の爆発的上昇に続いて,/炉心部が丸ごと中央ホール空間に浮かび上がり空中で核暴走にともなう爆発が発生した/というような極めて激しい現象が起こっています【この部分,専門語の説明をしていると長くなるので,とりあえず飯田さん向けの書き方ということで読者の皆様ご了解ください.最後で要約補足します.】

⑥これに対して,圧力容器下部の再臨界が起こった場合には,そのような爆発的事態は起こりえません.(再度臨界になる⇒核的出力が急上昇する⇒反応度フィードバックがかかるがある程度までは出力上昇が続く⇒どこかのレベルで出力がほぼ安定する⇒燃料温度が上昇し燃料溶融が起こる⇒出力と温度がさらに上昇する⇒溶融した燃料の体積膨張が起こり反応度フィードバックがかかる⇒臨界状態が解消し出力が少し低下する⇒また臨界になる)のような形で事象が推移するでしょう.もちろん極めて乱暴な推測にすぎません.しかし,即発臨界や爆発的な事象は起こらないということは言えると思います.圧力容器の中で臨界現象が起こることは,望ましくはないが圧力容器内に燃料が閉じ込められていれば事態の深刻さはチェルノブイリとは比較にならないほど小さいといっていいでしょう.

⑦この後,圧力容器の底部が破損して溶融した燃料が漏れ出るというシナリオになります.しかしその後にもなお今度は格納容器内で臨界が継続する事態は空間的な広がりから言ってとても考えにくいと思います.この段階以降でさらに臨界状態が継続し格納容器や建物底部を突き破るというチャイナシンドローム(これも説明略.すみません)のような事態は考える必要はないでしょう.そして不完全ながら格納容器が機能していれば,放射性物質の直接的大規模放出は回避できます.「悪い方のシナリオ」としてはこの段階まで推測しておけばいいのではないでしょうか?
・・・・・・・
わかりにくいと感じられたMLメンバーの方々には申し訳ありません.以下,考察の結果を簡潔に要約します.

判断1:燃料プールで燃料が溶融し,そこで原子炉臨界状態が出現するという再臨界現象はおそらくは起こらない.(なおホウ素投入はないと仮定している)
判断2:再臨界状態が起こる可能性は圧力容器内部の方が相対的に高い.(こちらの場合もホウ素投入の効果はある.しかし再臨界を抑止できると保障することまでは困難)
判断3:再臨界は望ましくないことは当然であるが,実害はチェルノブイリ事故とは比較にならないくらい小さい.爆発的事象は起こらない.再臨界による中性子放出量の増加は圧力容器,格納容器,遮蔽壁が存在しているので中性子線による住民への悪影響は生じない.
判断4:以上を要するに,苫米地さんのHPで引用されている/1つの原子炉がメルトダウンしても、被害が出るのは50キロ圏内。2つ以上の原子炉がメルトダウンしても、被害はあまり変わらない。現在の20キロ圏内の避難勧告は、妥当な判断。/という記述は理にかなっていると考えます.

なおチェルノブイリ事故相当のシナリオにならないと考えれば,藤本さんが今懸念されている,地下水汚染や食物を通じての内部被ばくの可能性も小さいと思います.


他のメンバーからも、具体的な「悪い状況とはなにか?」に関しての意見や情報が届きました。

(サイエンス誌18 MARCH 2011)
「最悪ケース:もし福島原発の水が失われたら」
The Worst Case: What If the Water Ran Dry in the Japanese Reactors?
この記事では炉心と燃料プールについて再臨界や水蒸気爆発などの最悪シナリオの可能性を認めつつ、その可能性は低いだろうと締めています。
http://news.sciencemag.org/scienceinsider/2011/03/the-worst-case-what-if-the-water.html?rss=1

■福島原発の放射能を理解する■
野尻美保子(高エネルギー加速器研究機構/東京大学IPMU)
久世正弘(東京工業大学理工学研究科)
前野昌弘(琉球大学理学部)
衛藤稔・石井貴昭・橋本幸士(理化学研究所仁科加速器研究センター)
  翻訳の許可をオリジナル作成者よりいただいています。
2011年3月18日:バージョン1を公開
翻訳者:
素粒子原子核分野の研究者/院生の皆さん
http://ribf.riken.jp/~koji/monreal.pdf

MLメンバー飯田さんの見解。結論が微妙に違います。放射線被曝についてより細かく考察していらっしゃいます。
■「最悪シナリオ」はどこまで最悪か
~楽観はできないがチェルノブイリ級の破滅的事象はない見込み~
環境エネルギー政策研究所所長 飯田哲也
http://www.isep.or.jp/images/press/script110320.pdf

さまざまな見解は、おおむね、北村先生のご意見と一致したために、私たちはやっと具体的に「もし電源が復旧せずに冷却ができなかった場合、どうなるのか」という問題にたいして、信頼できる予測を手に入れたとして、ずいぶんとほっとしました。

くり返し、要約を記します。
「事態が悪化した場合」の具体的な予測は……
判断1:燃料プールで燃料が溶融し,そこで原子炉臨界状態が出現するという再臨界現象はおそらくは起こらない.(なおホウ素投入はないと仮定している)
判断2:再臨界状態が起こる可能性は圧力容器内部の方が相対的に高い.(こちらの場合もホウ素投入の効果はある.しかし再臨界を抑止できると保障することまでは困難)
判断3:再臨界は望ましくないことは当然であるが,実害はチェルノブイリ事故とは比較にならないくらい小さい.爆発的事象は起こらない.再臨界による中性子放出量の増加は圧力容器,格納容器,遮蔽壁が存在しているので中性子線による住民への悪影響は生じない.
判断4:以上を要するに,苫米地英人さんのHPで引用されている/1つの原子炉がメルトダウンしても、被害が出るのは50キロ圏内。2つ以上の原子炉がメルトダウンしても、被害はあまり変わらない。現在の20キロ圏内の避難勧告は、妥当な判断。


この意見への支持は私だけの判断ではなく、複数で検討した結果であるので、みなさんにも情報を公開したいと思いました。(メーリングリストにポストされたものを原文のまま引用しています)


震災時に停止中で原子炉に燃料が残っていた5、6号機は相次いで復旧し20日に冷温停止の状態になりました。2号機への電源接続が完了。電源回復に向けて工事は進んでいますが、汚染水の流出が止まらないことから30日に圧力容器の破損という見解が示されました。北村先生の説明にあるように仮に再臨界が起こっても爆発的な事象は起こりません。電源復旧に向けて作業を続ける方たちの安全を祈りつつ、繰り返される様々な報道に注目するあまり、テレビで不安にならないように意識しましょう

以下に、放射線量を正確に知るための情報を付け加えます。
ご自身でチェックなさってください。

つくば市の高エネルギー加速器研究機構放射線科学センター(通称KEK)
の専門家からの情報です.
下記,「お知らせ」ページから
 http://www.kek.jp/quake/radmonitor/index.html
に移行して,3月16日の分を見てください.
測定結果から,環境放射線レベルは着実に減少しています.
またこのリアルタイム表示は,仮に今後,放射性物質の放出があった場合の第3者モニタリングとしての意味も持つでしょう。国や東電による「情報操作」などは不可能だと思います.

放射線量で不安を感じたら専門家に相談してみましょう。
こちらのサイトでは専門家が質問に答えてくれます。
専門家が答える 暮らしの放射線Q&A
http://radi-info.com/

ネット社会はいろいろリスクもありますが、こういう非常時に簡単に皆が意見交換し真実を追究することができるすばらしい社会でもあります。そのことを痛感しました。私たちは簡単につながることができる。いまはこのネットという道具を使えばマスメディアが繰り返す「最悪のシナリオ」という無自覚な脅しにも、無力ではなくなりました。
また、情報はあくまで、誰かがある意図をもって報せているものです。どう行動するかを決めるのは、個々の方たちです。この情報がみなさんの判断のお役にたつことを願います。

文責 田口ランディ
by flammableskirt | 2011-03-19 10:12

身体にもどろう

テレビを観て具合が悪くなっている方たちが多いです。
なぜテレビを観ただけで、具体が悪くなるのか。テレビと心身の関係を少し考えてみました。


■人体と脳の関係と洗脳

私はオウム真理教の事件の取材のために、洗脳のことをたくさん調べました。オウム信者の洗脳を解いたことでも有名な、苫米地英人さんにも取材をしました。
洗脳と言うと、おお事のようですが、実は人が洗脳状態になるのはほんとうに簡単です。洗脳はいたるところにあります。

被災現場を繰り返しテレビで見ていて具合が悪くなるのも洗脳です。
人間の脳内では、バーチャルな映像も現実も同じ方法で処理されます。
だから強い臨場感をともなう刺激によって、汗が出たり、動悸がしたり、具合が悪くなったりします。

テレビで評論家や科学者が原発の危険を話す。その話しと映像がセットになって臨場感が強くなれば、視聴している側の脳は現実と同じように認識し、身体はそれに反応するので、動悸や眩暈が起こったりします。ガンになるという臨場感が強ければ、身体もそのように反応してしまう可能性もあるのです。

脳が臨場感を感じていることが、その人の身体にとっては現実です。
これは脳を高度に発達させてしまった人間の弱点といえます。

■報道で病気になる

ですから、報道にあまりにのめりこむと本当に病気になる可能性もあるのです。ただ、これは報道のせいではありません。報道側はそのことに無自覚です。ほんとうは自覚してほしいです。

カリスマ性をもった人は、暗示によって相手の脳内に臨場感を作り出して、その身体性の変化によって相手をコントロールしてしまいます。非常時に強いカリスマ性を出す人には人心は動きます。ですから、非常時における被曝報道はほんとうに難しいのです。


■被曝は、複雑


被曝によって起こる症状はさまざまです。たとえばむかむかする……。被曝してムカムカすると思っているとムカムカしてきます。
やばい……と病院に行きます。病院は薬を処方します。薬を飲みます。治らない。当然です。より強い洗脳を与えるカリスマ性をもった医師に出会わない限り治りません。また薬を飲みます。繰り返しているうちに不安が増して薬依存の状態になり、ほんとうの病気になる……。
あくまで仮定ですが、このようなことが起きる可能性はあります。

テレビを見続けていて、気分が塞いだり、なんとなくウツっぽくなってやる気が出なくなったり、涙が止まらなくなったりした場合には、テレビによって洗脳されていると考えてもいいかもしれません。

番組を見続けていることによって、脳がその臨場感を現実として身体に信号を送ってしまったのでしょう。でも、それは現実じゃない。テレビを消してしまえば消えます。

刺激的な映像はなぜか依存のような状態を引き起こし見続けてしまう。私にもそういう経験があります。

どうしたら……と思うのですが、私の場合はやはり、ものすごく現実的な下世話な話しを友達して、冗談を言って、バカ笑いする……というのが一番リセットできるかな。人との直接的なつながりは、人間を現実に引き戻す強い作用をもっていると思います。

それから、強制的に別のバーチャルに逃げ込むという手もあるかもしれません。テレビを切って、面白いDVDを借りてきて見てしまう。

笑うという行為はすごく人間の身体によい影響を与えます。笑っただけで免疫力がとても上がることは科学的に証明されている。笑えない状況をテレビがどんなに放映しても、笑えばいい。

笑うということは人間しかできないらしいです。なぜでしょうね。笑いというのは、たぶん、あまりに脳を発達させてしまった人間のリセット機能なのかもしれないですね。

みなさんは、どういうリセット方法を発見するんだろう。なんにせよ原因がわかれば、あとは試行錯誤して自分の身体に戻ればいいんです。身体はほんとうに正直で、そして素直で、そしていつも「私の味方」です。
by flammableskirt | 2011-03-18 18:57