田口ランディ Official Blog runday.exblog.jp

作家 田口ランディの新刊・イベント情報・近況をお知らせします。 


by flammableskirt
プロフィールを見る
画像一覧

<   2008年 04月 ( 30 )   > この月の画像一覧

キッシュと紅茶


タコ公園の前のアリデリに行って、夫と二人でランチを食べた。たまたま、旅館「阿しか里」のご主人もいて、世間話などする。

アリデリさんのところの、キッシュはすごくおいしい。スイスに行ったとき、キッシュをいっぱい食べたけど、スイスのキッシュより遥かにおいしい。小さなお店で、11時から開店で、キッシュはすぐ売れてしまう。今日のはトマトのキッシュ。

自分じゃ料理なんてぜんぜん作れないくせに「こういうお店をもったら楽しいだろうな……」なんて思えるお店だ。おいしいものを食べてもらって、みんなのにこにこする顔が見たい、という不思議な欲望がわたしのなかにもある。これってなんだろう。清々しい落ち着く場所をつくって、みんなを待ちたいと思う。女としての巣づくりの名残か。

今日も朝からガンガン掃除をして、気持ちよかった。掃除はいいなあ。
もしもわたしがお店をもったら、毎日、店の前を掃除してガラスもぴかぴかにして、誰かがこの店の前を通るだけで気持ちがいいような、そういう場所にするな。でも、たぶん永遠にお店はもたないと思うが……。
そんなことを考えながら、紅茶を飲んで仕事場に戻って来た。誰かがていねいにいれてくれた紅茶はやっぱりおいしい。
by flammableskirt | 2008-04-28 15:17

部屋の処分

ついに亡くなった父の部屋を処分することになり、廃品回収業者の方に見積もりに来ていただく。二トントラックでやってきた中年のお二人は、どうやら奥さんとだんなさんらしい。

作業着姿のだんなさんは無口。奥さんは、勢いよく部屋に上がり「まあ、財産持ちだこと」と父の残したガラクタをがんがん見て回り、そして言った。
「早いほうがいいでしょ、明日、もってきましょうか?」
「あ、あした……では仕分けが……」
「仕分けはこっちでやるから」
「いえ、あのいちおう私が必要なものを……」
「ああ、ああ、そうねでもそうすると連休明けになっちゃうわねえ」

連休明けでもいいので、そうしてもらった。
「うちはね、きれいに全部持ってくから安心して。もう誰も立ち合わなくても大丈夫よ、いっぱいで来て一気にやるから。終わったあとも掃除してくしね」
こういうことには慣れているらしく、とにかくありとあらゆる家財道具、全部、回収してくれるらしい。そうなったらこの部屋はがらんどうになり、そして、リフォームすることになる。
「だいたい、トラック四台分だわね」
ここのものがなくなると、父がこの世にいたという形跡もほんとうに消えるな……と思うと、息苦しいような、ひどくせつない気持ちになった。喪失というのはこういうものだ。涙なんかじゃなく、ものすごく乾いた欠如感としてやってくる。かわいて、からっぽで、ひりひりするような感じだ。ここに何を埋めても絶対に埋められない……。そういう空白をもつことが、肉親を亡くすということだ。でもまあ、そんな穴が体中に空いていると、これはこれで、そのせつなさがなんともオツだったりするものだ。
人間、穴の一つや二つ、空いていないと風通しが悪くていけない。

「じゃあ、あとはあたしたちにまかせて!」
こういうことは、相手がさばさばしていてくれると助かる。残しておいていいものなんてなにもないんだ。せいぜい、ひとつかふたつ。それでも、この部屋を消すのに、連休明けまで引き伸ばした私はやっぱり、ウエットだなと思う。
by flammableskirt | 2008-04-28 15:08

俳句

うちのおじいちゃんは、俳句が趣味で、毎日新聞の俳句の賞にいつも応募するが、入選したことはない。

まあ、客観的に見て「うーーーん」と悩む俳句である。
つーか、これって俳句なのか?
まあ、五七五だから、俳句だろうが、だからって俳句なのか?
そう考えると俳句とはなにかという深遠な疑問に行き着くのでやめる。

今日のは、「春深しピンクのじゅうたん芝桜」だった。
それをニコニコしながらもってきて私に読ませて、つぶらな目でじっと待っている。
なにか感想を言わねばならない。
「いや〜、写実的で実にいいですね。春って感じですよねえ」

 すると、じいちゃんは「頭も春ですわ」と言って、去っていった。
 それを俳句にしてはどうでしょうか〜、おじいちゃん!
by flammableskirt | 2008-04-27 17:59

半襟

 子どもが熱を出して寝ていたので、今日は子どものそばで半日、着物に半襟をつけた。

 ちくちくと慣れない裁縫を、老眼鏡をかけてやっていたら「まるでお母さんみいだ」と言われた。まるでお母さんみたいって、あたしゃお母さんじゃないか。
「うーん、昔のお母さんみたいだ」
 ああそうですか。

 私が死んだあと「うちの母は、病気で寝ているそばでよく着物に半襟をつけていた」なんてエッセイに書いたらかっこいいぞ、娘よ。「着物の半襟を見ると母を思いだす」とかね。めっちゃ和装の似合うかっこいい母親って感じじゃん、ほほほほ。

「だが、母はふだんはいつも青いジャージに長靴をはいていた。ほとんど毎日その格好で湯河原の町を歩いていた」
 う、うるさい!そういうことは覚えておらんでよろしい。
by flammableskirt | 2008-04-27 17:55

肉を食う


「カタログギフト」というものをもらった。
自分の好きなものをカタログから選んで、ハガキを出すと送られてくるというアレだ。
地方もおいしいものがたくさん掲載されている。
さてなににするか……と選んでいたら、子どもがやって来て、
「にく〜、にく〜」と叫ぶ。
うちは宗教上の理由はなにもないが肉はあまり食べない。特に牛肉はほとんど食べない。よって子どもは牛肉に対して、高級品信仰があり、ステーキを食べたいという夢をもっている。
「にく〜、にく〜」とばたばた駆け回るので、宮崎牛というのを注文してやった。
一度食べたら、こんなもんかと思うだろう。

その肉が昨日届いた。宮崎牛のけっこうぶあつい肉片が六枚入っていた。
それを焼いて、焼き肉のたれ「ジャン」で食べたのだが、私はどうも牛肉が苦手だ。なんか臭いんだよ。やっぱ豚だよな〜と思う。
子どもも「にく〜」と騒いでいたわりには、あんがいすぐにお腹一杯になってしまったらしい。
食い慣れていないので、肉の油を分解できないのだろう。
おまけに、夜になったら熱が出て、38度にも上がって、今朝はうんうんうなっていた。
「ほら、食べつけないものを食べるからだよ」
しかし、これで牛肉を食べると熱が出る……というトラウマになったらかわいそうだな(笑)

 沖縄に行っていたときに、沖縄の人が、
「ステーキは沖縄文化じゃない! 沖縄人は牛肉食わない」と断言していた。
「そうなんだ〜、どうして?」
「牛は働き手だから、食べない」
 だよな〜。

 今夜は湯豆腐である。経済的だ。身体にもよい。
by flammableskirt | 2008-04-27 17:43

家事の幸せ

天気も良かったので、一日、家事に夢中になった。
掃除、洗濯、着物の半襟の付け替え、旅行で着たものをクリーニングに出し、ちょっとした模様替えなど。ああ、楽しい、こういうことをやってると一日があっという間に過ぎる。
庭のサツキを切って花瓶にさした。洗濯もアクロンで手洗いしたし、家のなかはピカピカで、十分に部屋に風を通したから清々しい。主婦をやったぜ!はっはっは。
あー中年女で良かった。この幸せ感はなんだろう。

天気のいい日に家を片づけたときの、充実と爽快感は、仕事では得られないものだ。しかも年をとればとるほど、この充実感に目覚めていく。若い頃はこんなに掃除好きじゃなかったもんな〜。中年の幸せだな。だんだんささやかな幸せでよくなっちゃう。
じーさんばーさんの部屋も掃除しちゃったもんね。
子どもベッドのシーツもはがして洗ったもんね。

いよいよ人生の坂道も死ぬ方へと下り始めた今日この頃。
来年五十歳。半世紀生きた。あとどれくらい生きるかなあ。八十までは生きないような気がするから、桜を見るのもせいぜい30回くらいか。そう考えると、八十になった佐藤初女さんが「確実なのは今だけです」という言葉の重みがずしっとくる。
そうよそうよ、確実なのは今だけさ。今日は天気がよくて、家が片づいた。
いい日だった。主婦やるとシンプルに幸せ。

さて、夕方から編集者コジマヨシオ君がやって来るので支度しなくちゃ。主婦から作家に戻ると、いきなり悩み多くなるな。悩まないと書けないってのが、いやだね。この仕事は。
コジマ君、ほんとユニーク。ものすごく変っているが私は好きだ。コジマ君の話はずーっと聞いていたいくらい面白い。コジマ君が解説してくれた「戦争と平和」(トルストイ)が忘れられない。特に文中の擬音をコジマ君が語るときが最高。とてつもなく長い猫の話も好きだ。いつか「コジマ小話集」出したい。
by flammableskirt | 2008-04-25 17:13

私信のようなもの。

昨日の寺子屋上映会
「水になった村」とアフタートークに来ていただき、ありがとうございました。
「水になった村」はしみじみといい映画ですね。
じょおばあちゃん、魅力的でした。
アンケートを見せてもらったら、このブログを見て来てくれた方がたくさんいたことを知りました。

「ナージャの村」や「アレクセイと泉」を見たいと思っている人。
チェルノブイリ原発事故の日、4月26日に合わせ、ポレポレ東中野で “忘れないー4.26”
「ナージャの村」と「アレクセイと泉」のアンコール上映がありますよ。
(4月26日〜5月2日の一週間です)

4月26日(土)と29日(火)の初回上映後は、
本橋成一監督とゲストによるトークも行います。
26日は、故高木仁三郎氏のパートナーの高木久仁子さん、
29日は批評家/立教大学教授の前田英樹さんです。

また、今年は26日が土曜日ということもあり、
原発に関する映画4本をオールナイトで上映します。


■上映情報詳細

4月26日(土)〜5月2日(金)
「ナージャの村」12:30〜★
「アレクセイと泉」15:30〜
「ナージャの村」17:45〜
「アレクセイと泉」20:15〜★
★のある回上映後には、監督自身が撮影し、
朝日ニュースターのフリーゾーンでで放送した映画ロケ前の現地映像を
約30分上映します。(トークショーのあるとき以外)

前売券1300円
当日一般:1500円/大学・専門/1300円/中高生・シニア1000円/小学生700円

■4.26オールナイト
23:15開場 23:30開映 終映5:54予定
学生:2000円
一般:当日2500円/前売2000円
【上映作品】
ゴジラ(監督:本多猪四郎/1954年)
生きてるうちが花なのよ死んだらそれまでよ党宣言(監督:森崎東/1985年)
原発切抜帳(監督:土本典昭/1982年)
アレクセイと泉(監督:本橋成一/2002年)

私は29日の本橋監督と前田英樹さんのトークに顔を出そうと思っていたのだが、その日は水俣記念講演会と子どもの学校説明会が重なって、全部に行くのは物理的に不可能そうだ……。どうにかならんかなあ。

それから、「がんばらないドットコム」を手渡してくれた方。
帰りの電車のなかで読みましたが、え〜っ!と驚く面白さでした。
マジ。いい感じでした。

いつも来てくれる、男の子。そうです、君です。
声をかけようと思いつつ、別件があり慌てておりました。
元気そうでよかったよ。

さて、これから、沖縄に出発します。
書きたいことはいろいろあるけど、とりあえず。
今夜は読谷です。
by flammableskirt | 2008-04-21 09:42

自意識

ブログって、勢いづいて真面目なこと書くと、翌日にものすごくこっぱずかしい。
なにこれ、なに息がっちゃってんの、熱くなっての、ばっかみたい……と思う。
その反動で、ブログの文体が変になる。

いわゆる自意識丸出しのことやると、すかしっぺをしたように臭くて恥ずかしい。いやだ。
本なんて、自意識にカバーかけて置いてあるようなものだから、自分の本はものすごく恥ずかしい。本屋では絶対に自分の本と目を合わせないようにしている。
あーーー私の自意識が帯つけてここにあるよ! と思うと、発狂しそうになる。
by flammableskirt | 2008-04-18 17:10

着物はコスプレ

来週から沖縄に行くので、Tシャツなど買いに小田原のショッピングセンターにやってきた。ここで、自分のものを買うつもりが、つい、娘の服を買いあさり、しかも、やっぱり「来年も着れるかしら……」とややデカめのものを買い、しかし、そのデカめのものが、だんだん自分の服とサイズが近くなっており、だけど、共用はできないわよねえ。わたし来年50だもん……などと思い、ちょっとかわいい娘のピンクのシャツをうらやましく思い、買い物は終わった。

買い物のあと、腹がへったので一階の食品売り場の奥の、テーブルがいっぱい並んでいる「ここで食べてもおっけいよ」という場所で、ミニギョーザと、ミニカツヒレ弁当を食べ、気が狂ったのかケンタッキーフラインドチキンも食べたがさすがに半分残した。
服を買うとき、あんなに「痩せよう」と思ったのに、10分後にはこれかよ。と、かなり自己嫌悪になり、通りがかりに売っていた「わらびもち」を三パック買って帰ってきた。
わらびもち、ものすごく好き。本わらび、使ってなくちゃダメだけど。
そして、今夜はわらびもちだけでがまんしようと思う。

明日は浜松町のお寺の仏教の勉強会に行くので、たまには着物を着ていこうかな……と思う。そういえば、着物の雑誌から取材依頼が来ていた。しかし、着物雑誌に出るような、そういうキャラでもないしなあ……。私のばあい着物はコスプレだから。
by flammableskirt | 2008-04-18 17:03

来週から沖縄

日曜日は「水になった村」の上映会でお話をすることになっている。このお寺の住職の互井さんとは、ずいぶんまえに、やはりここで「アレクセイと泉」の上映会のあとにお話させてもらって以来の、淡くてでもなんとなく切れないつながりなのだった。

そのときはじめて、本橋成一監督と会って、そのあと私は本橋監督とロシアまで行ってしまうのだけれど、今回は大西監督とはじめて会って、いったいどこまで行くのか……どこにも行かないよね。たぶん。

このあと、赤坂で年下の友人と、年上の友人と三人でファミレスでごはんを食べる。というのも三人とも酒を飲む予定がないからだ。酒を飲まずに長居をするにはファミレスってとってもすてきだ。

それから翌日には羽田から飛行機に乗って、沖縄の那覇に飛び、そこからさらに読谷まで移動して、読谷一すてきな飲み屋の「読谷物語」で、版画家の名嘉睦念さんとご飯を食べて、たぶん沖縄なので泡盛なども飲む予定。翌日、取材で名嘉さんの生まれ故郷の伊是名島に行くので、泡盛をたっらふく飲ませて伊是名の秘密の場所を、名嘉さんから聞きだそうという魂胆なのだが、たぶん自滅して終わりだろう。

まさかと思うほど酒が弱くなった私にとって、沖縄はかなり危険な場所だ。無事に戻って来れるだろうか……。
by flammableskirt | 2008-04-18 16:44