ドラマで泣いて、人生充実するのか、おまえ。
2008年 03月 17日
「ドラマで泣いて、人生充実するのか、おまえ」 バジリコ
きつかわさんの新刊、これは詩集です。
きつかわゆきおさんは、ひと言では言えませんが私がもし「あんたが尊敬している人を一人だけあげろ」と言われたら「きつかわゆきお」と答えると思う。そういう人です。ほんとにからっぽです。つまり達観してるってことです。難しい言葉で言えば解脱とか言うんでしょうか。そういうもってまわったつまんない言い方をしなくても、この人と20年もつきあっていると、からっぽってこんなことか、そしてこんな力があるのか、と思います。
きつかわさんは中心に我がありません。そんな人はめったにおりませんが、この人はそうです。だからただの器です。でっかい器ですが、とても強いので虚勢など張らずにふつうに暮らしています。なんでも入ってしまいます。なにしろからっぽなので……。
そもそも、私がネットに文章を書き始めるきっかけをつくったのはきつかわさんです。海外出版のきっかけをくれたのもきつかわさんです。打ち出の小槌みたいに相談すると必ず返事をしてくれます。だからって、きつかわさんに頼ってもなにもしてくれないのだけど(笑)きっかけをくれます。あらゆる人のとっかかりになってきた人です。とっかかりだ作って去って行ってしまいます。風のようです。まったく妙な人です。
でもきつかわさんの言葉を読むと、きっと納得できます。
とっても短いシンプルな詩集だけど、ものすごく深いです。
わかる人にはわかるし、わからない人には永遠にわからないと思うけれど、読むとほっとするんだよなあ……。