季節の変わり目

娘が熱を出した。秋分の日間近の季節の変わり目にきっちり風邪を引いて熱を出すなんて、なんという健全な身体なのだろうかと感服した。リセットである。うらやましい。すかっと熱を出して汗をがんがんかいて、今朝はとても清々しい顔をしていた。三九度の熱を出せばすっきりするであろう。私も熱を出したい。だが、身体のなかにじくじくと悪寒がこもっている感じで、熱にはならない。でも、娘のおこぼれをあずかって、夜にたくさん汗をかいた。

オトナになってから、ほとんど熱を出さない。もっと熱を出したい、発熱してみたいと思う。特にこういう季節の変わり目にどかっと熱を出したら気持ちいいだろうなあ……と。だが、すでに熱を出す体力もないんだろうか。ぜんぜん熱が出ない。そういえばここ数年、まったく風邪すら引かない。出産してから歯医者以外の医者にかかっていない……。医者嫌いということもあるが、病気というものをしない。ありがたいことだが、でも、たまに熱を出したいと思うのはぜいたくだろうか。

子供の頃はよく高熱を出した。しょっちゅう高熱を出して、熱が引いたときのあの爽やかな感じが好きだった。熱が出るのは嫌なことではなかった。娘は朝に熱が下って「あー、下っちゃった」と残念そうに言った。「もっと熱を出していたかった?」と聞いたら「うん……」という。ちょっとした風邪というのは引くとうれしいものである。その心覚えが私にもある。体温計が下るに従って、なんだか寂しいような……。それでこすってわざと上げたりして。

寒い季節に向けての身体の切り替えがなかなかうまくいかない。春もそうだった。このごろすかっとは移行しない。一番の問題は運動不足である。わかっているのだが、出張の多い不規則な生活ゆえ、散歩を日課に組み込むと逆にストレスになってしまう。それで、いつでもできる気功を習ったのだが、気功のゆったりしたペースに自分の身体を自然と向けられるようになるには、まだあと10年くらいの年月が必要のようだ。

10年やった人は10年の気功、20年やった人は20年の気功、ほんとうにそういうものです、こればかりは時間で積み重ねていくしかないものなんです。そう、帯津良一先生が言っていたっけ。
by flammableskirt | 2009-09-23 13:47

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