所作

朝から投票所に行って来た。わりあい混んでいた。やはり関心が高いのだ。
投票を済ませて、仕事場へ向かう。

昨日は湯河原町の楠の森のなかで演劇の公演があった。巻上さんが演奏で参加するというので観に行ってみた。手づくりの公演会、野外には虫の音が響き、月も出て、涼しくて気持ちよかった。巻上公一さんが、一生懸命に裏方に徹して音響を担当しているのを見て、この人、すごいな〜、いい人だなあと思った。巻上さんは、いつもそうなのだが、自分以外の人間の価値観に対してとてもシビアだけれど、自分の尺度は別にしてそれを尊重する。自分の思いは貫く、そして他人の思いにも寛容なのだ。だから他者の公演を手伝う時も、不平不満を表明したりしないのだ。昔、沖縄でとても大変な音楽イベントがあって、そりゃあもう、ほんとうに、ミュージシャンなら怒って帰ってしまうような状況になったのだけれど、巻上さんは淡々と自分の演奏をとても丁寧にしっかりとやって、文句など言わなかった。夜に二人でご飯を食べて「いやーー、すごいイベントだったね、まいったね」と笑い合ったけど、それだけだった。ただし、自分が企画や主催したことには徹底的にこだわるし、自分のイベントに誰かが参加するときは本当にシビアなのだった。私なんか、他人の企画したことが気にくわないと、ぶうぶうぶーたれることがよくあるのだが、そういうことは、まったくおせっかいだし、くだらないことである。わかっているのだが、つい言ってしまう。黙々とかがんで音響係に徹している巻上さんを見て、いろいろ感じてしまった。人のふるまいというのは、ほんとに、ためになる。自分はどういう人間になりたいか、ってのははっきりしている。自分がじんときたような人と、同じことをする人間になりたい、それだけだよね。
たくさんの人に会っていると、ああ、こういう時はこういうふるまいをしたいな、こういう時はこんなふうにふるまいたいな、この人のふるまい方はとてもいいな、と、日々、思う。どういう人も、すてきな所作というものを持っていて、それを発見するのは楽しい。
by flammableskirt | 2009-08-30 12:07

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